12.私─加減を覚える。
やり過ぎた。
うん、コレがやり過ぎると言うことか。
とりあえず、お金の有りそうな青年を見つけては路地に連れ込んでは食べてみた。
青年はここの商人らしかった。
そして、この街の出身みたいで色々と有益な情報を持っていた。
こう言うのを極上の食料って言うんでしょ?
私はしっかりと学んでいた。
情報は最高のスパイスなのだ。
その後は、その情報を元に芋づる式に食べた。
冒険者ギルドの冒険者は違ったスパイスで美味しかった。
スキルと経験。
社会という枠組みから、弾かれては育ってはソレしか選べなかったという社会の学び。
稼いだお金を、自分の育ててくれた孤児院へと寄付していた。
え~と、確か尊い行為?
どんな、恩恵があるんだろう?
甚だ疑問だが、美しいらしい。
後は、結婚資金? で恋人に素敵なドレスを贈る為?
ドレス? あのヒラヒラしてるのか。
商人からは改めて、物の価値と相場関係を学んだ。
そう、ある程度資金も潤沢に稼げたから丁度良いと思っていたら忘れていたのだ。
私も忘れるということがあって感動した。
薬師ギルドでも聞いた。
腕が良いという薬師だ。
私は夜中に扉を叩いては急患? として、招き入れて貰っては食べたのだった。
美味だった。
色んな知識を彼は持っていた。
一番気になったのは学び舎の存在だ。
色んな学びを得られるらしい。
記憶によれば、私でも読んだ事が無いような本も沢山蔵書? されているらしい。
素晴らしい。
王都? にあるらしい。
もう少し、資金を集めたら向かおうと思っていたら、街の雰囲気がきな臭くなった。
極悪人が現れたらしい。
傍迷惑だ。
色んな人が犠牲になったらしい。
上手く私みたいに証拠を残さずに食べろと言いたい。
きな臭い空気はいち早く読み取れるのは山賊から頂いた直感のスキルの恩恵もあるのだろう。
スキルは優秀だ。
今回も沢山食べたから、多くのスキルを得られた。
ただ、得ただけではダメだから。
沢山、沢山、試さないと。
私はまた少女の姿に戻っては朝早くに街を出る。
「あぁ、嬢ちゃんじゃないか。薬は、薬は何とか手に入ったのかい?」
「薬師さんが消えちゃったから、ママとパパのお金だけでは足りなかったから、沢山、沢山働いたから、何とか薬師ギルドの在庫から買えたの」
「それは良かった! でも、気を付けて行くんだよ。今、俺の下にも沢山の話が寄せられてるが人拐いが横行しているんだ」
「怖い」
「大丈夫だ! この街の衛兵の俺がそんな奴はとっ捕まえてやる! 俺の目の黒い内はそんな奴は逃がしはしないさ」
「お兄さんカッコいい!」
「あぁ! そうだろ? だから、嬢ちゃんも気を付けて帰るんだぞ?」
「ありがとう。お兄さんも気を付けて」
──ありがとう。
──ご馳走様。




