11.裏─新しい街の遭難事件。
「なぁ、聞いたか? 隣の隣の人の遭難の話さ」
「なんだ、それ?」
「ある日、突然フラッと消えてしまったんだと。それにそいつは一儲け当てたとか吹聴してやがったらしい」
「バカだなぁ。そりゃあ、襲われたんだろうさ」
「でも、街中でだぞ?」
「それは怖い話だな?」
そんな話は1つや、2つではない。
実際はもっと多い。
この街の衛兵を務めている俺の下にはもっと多くの遭難情報が寄せられていた。
時には冒険者の遭難情報だ。
基本的には冒険者は自由責任で、どこかフラッと旅立ったのでは? と当初は言われていたが、クエスト中だったりの者や。はたまた、長年この街で貢献していた冒険者が消えたりもしたら疑惑が疑念が浮上しては冒険者ギルドでも冒険者殺しとして、その討伐&捕縛のクエストが公表されている位だ。
商人ギルドも同じだ。
先の話もそうだ。実際は若い商人が成功していては、店を構えると長年の夢が叶うと物件を購入しては、その気の緩みから話をしてしまった青年の話だ。
購入の為にギルドからお金を下ろしては不動産屋に向かう所で、何かがあったらしい。
それまでは掴めているのに、それ以降が分からない。
目撃者によれば、迷子の【少女】に会っていたとかホラ話もあるくらいだ。
そして、衛兵の俺にまで話が上がっては街全体でその何かを捕まえようと躍起になる原因は薬師ギルドの方で、安価に薬を卸しては腕の良い薬師が突然消えた事から、この話がここまで大きくなってしまっていた。
彼は隣街の流行り病の特効薬を作る腕にも長けていた。
コチラにまで、まだ流行り病の脅威は無いが、それだから安全という訳では無い。
それに彼ほどの薬師がこの街には居ないのだ。
隣街は流行り病で多くの人が死ぬだろう。
ウチだって分からない。
昨夜遅くまで、患者を見ては、明日も開院するとは当の本人が語っていたと通院している患者が話している。
そんな彼が立ちどころに消えたのだ。
街の中でも噂話になっていた遭難事件は、噂から現実となっては俺たちに牙を剥いたのだ。
あぁ、なんて恐ろしい事が起こってしまったんだ。
何も証拠が無いのも、俺達が悩む原因だ。
この街には悪魔が居るのか?
誰か、誰か──教えてくれ。




