午前7時 図書館
僕は情報を得るために町の図書館にきた。
昔の事件について調べるためだ。行方不明事件の町内新聞があるはずだ。レイコが生きていたのは大体今から50年以上前だからそのくらいの新聞が欲しい。
「あの、50年以上前の行方不明関係の事件の新聞ってありますか?」
「行方不明ですか…あると思いますけど、なに目的で使用しますか?」
やっぱり不審がられた。不審がられるのは仕方ない。正直に「今起きている行方不明事件と関係があるか調べるため」なんて言ったら見せてもらえないだろう。学校の課題ということにしたら見せてもらえるだろうか。
「勉強です。学校課題で昔の町の事件について調べるものがありまして。」
「わかりました。ですが、写真を撮ったりコピーをするのはお控えください。」
「ありがとうございます。」
よかった。写真もコピーもする予定はなかったからこれから不審がられることはないだろう。
「こちらのファイルの中身が全て50年以上前の行方不明事件の町内新聞です。」
「ありがとうございます。」
町内新聞はこの辺りの地域で起きた事件や不審者情報が載っている新聞で、最近はあまり発行されなくなったが、少し前までは毎週発行されていた。
「えっと…50年前のは……この辺りか。…行方不明事件が20件。後に発見された事例は…19件……」
行方不明になった後に無事に発見されなかったことは1度だけ。それもピッタリ50年前の事件。
「見つからなかった人の名前は……桐崎…麗…子……」
いつも会っているレイコと同じ名前で事件が起きたのがちょうど今から50年前。
「レイコって…」
寒気がした。唯一見つかっていない桐崎麗子がレイコのことだとしたら、「今回の事件に絡んでいるかも知れない」とレイコが言っていた内容が現実味を帯びる。しかも遺体すら見つかっていない。レイコに色々と聞く必要が出てきた。
19××年 5月×日
またこの村で行方不明事件が起きてしまった。
〇〇高校に入学した1年C組桐崎麗子15歳。
当日は授業を受けていて、16時に学校から帰路についたことはわかっている。しかし18時を過ぎても帰宅せず警察に行方不明届を出したが、未だ見つかっていない。