第二話
十時の十分ちょっと前に会議室に入ったときには、もう半分の人数が揃っていた。
どこ座ろうかキョロキョロしてると、赤坂先輩が
「もっちゃん、こっちこっち」
と手招きしてくれた。
赤坂先輩は同じ部の先輩で、事業所内きってのバリキャリ。仕事には厳しいけど、普段はとっても優しいお姉さん。
とは言っても年は私よりお母さんの方が近いんだけど‥。
「赤坂先輩~、おつかれさまです。
早いですねぇ」
赤坂先輩の隣りの席にパソコンを置きながらいうと、
「なんか変な電話とかで捕まって遅刻とか、初日早々イヤだし、沖田君と早めに逃げてきた」
って、私と反対隣りに座っていた沖田さんと笑いながら答えてくれた。
「そーだったんですね!
それなら私も誘って欲しかったですー!!
わたし、こーゆーのはじめてだから、この部屋入るのにも緊張しちゃって。。。」
「あはは、むっちゃんカワイイー。大丈夫だって、誰も取ってたべたりしないから~」
「それはそーなんですけど、、
あ!沖田さん、私、はじめましてですよね‥??
営業管理部の望月です。よろしくお願いします。」
抗議しようとしたとき、赤坂先輩の影でクスクス笑う沖田さんに気付き、慌てて自己紹介。
見掛けたこととかあるし、お互い顔も名前も知ってるけど、話したりするのは初めてだったきがする。。。
「はじめまして‥うーーん、確かに話したりするのはそうかもだねぇ。
経理部の沖田です。よろしく」
「そーいえばさぁ、
沖田君って本社からきた大沢さんと同期なんでしょ?仲良いの??」
私達の挨拶が終わったのを見て、赤坂先輩が今思い出したかのようにきいた。
「え、同期なんですか?
沖田さんって‥お幾つなんですか??」
「そうそう、同期なんですよー。本社にいた頃は何回か飲みに行ったりしましたよ。
オレはね、今年で11年目かな。」
畳み掛けるような私の質問にも笑って答えてくれたところで、ドアが開いた。
現れたのはウチの部長―平田部長と本社の三人。
「お、みんな揃ってるな」
と言いながら、三人に席を勧めつつ自分も席に着く。
平田部長は本社の人と目配せし、立ち上がった。
「お忙しいところ集まっていただいて申し訳ない。
営業管理部の平田です。
以前より話が進んでいた本社合同プロジェクトを、これからこのメンバーで進めていってもらいたい。
私もオブザーバーとして参加はするが、基本的には君達にやってもらうことになるので、よろしく」
そして、本社部長はうなずくと
「はじめまして、本社経営企画部の葛城です。私もオブザーバーとしての参加になるので、よろしく。
では、初対面の人も多そうだし、自己紹介からいこうか。水上。」
そうして、水上さんからはじまった自己紹介をしたプロジェクトメンバーは計6人。
本社経営企画部の大沢さん、水上さん。
経理部の沖田さんと根本さん。
そして、営業管理部の赤坂先輩と私。
この日は役割と今後の予定だけを決めての解散となった。
‥私が自己紹介したときの水上さんの表情がおかしかった気がするが、気にしないことにした。