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冬眠
ピピピピッ、ピピピピッ。
あたしはむくりと上体を起こし、目覚まし時計を止める。
昨夜のことを思い出す。ついに悠真くんと一夜を過ごした。甘い甘い一夜。
その余韻に浸りつつ、ぼーっと目覚まし時計を眺めて急に現実に戻される。
「悠真くん、悠真くん、寝坊した! 大学行かなきゃ!」
彼も目を擦りつつ、のそりと上体を起こす。
「……陽菜さん、今日は日曜日ですよ? 忘れました?」
……そうでした。飲んだくれのあたしは昨夜も飲んでいたので感覚がバグっていた。
悠真くんはあたしを抱き締めて、また布団に潜り込む。
そして再び肌を合わせてそのまま冬眠するように眠りにつくことにした。
「春(昼)になったら出かけましょうか」
そう言い彼はあたしにキスをする。
あたしは悠真くんの腕枕で春まで冬眠した。




