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東雲さんと本田くん  作者: 藤谷 葵


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初雪

 初雪をみると思い出す。今通っている大学に受験するときのこと。あの時も初雪が降っていた。

 電車内で他の受験生たちもチラホラ見えた。その中で一際目立つイケメンがいた。

 周囲の女子たちは教科書よりもその男の子についつい目がいってしまう。あたしもその一人だった。

 電車のブレーキがかかり、その男の子を押す感じになってしまった。

 

「すみません」


 慌てて謝ったがその男の子はたった一言。


「……いえ」


 その時、なぜかマジマジと見られた。

 勉強して寝不足のせいでくまでもできていたから?

 途端に恥ずかしくなり顔を背けた。


 ***


 今も今年の初雪が降っている。あたしは悠真の家でこたつに入っていると、悠真が二人分の温かいコーヒーを持ってこたつの机に置いた。

 こたつに入りつつ窓の外を見て呟く。


「初めてあった時も初雪だったね」


 彼は電車の中でぶつかったあたしを覚えていた。

 まさか付き合うことになるとは、あの時は思いもしなかった。


「そういえば、なんであたしの顔をマジマジと見ていたの?」

「……いや、好みだったから同じ大学の受験生ならいいなって思わず見た……」


 照れくさそうに彼は言う。

 あたしはあの頃の彼の内心を知れて嬉しかった。そしてその照れくさそうに言ったということは、嬉しいことに今も好みと思ってくれているのだろう。

 あたしは彼がいれてくれた湯気の出るコーヒーを飲んで、更に心から温まった。

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