侍女のわたしが突然マリア伯爵に夜の指名を受けて倒錯した愛と服従を思い知った 〜 ファンタジー小説「あねふく」番外編
※生成AIで作った画像を挿絵に使っています。その為一貫していない部分がありますが雰囲気モノとしてご容赦ください。
これから何が起きるの・・・
私は初めて横たわる大きなベッドの上で小刻みに震えていた。
◇ ◇ ◇
カルメサス伯爵家に仕えるようになって3ヶ月目になった日のこと。
ようやく慣れた一日の仕事を終えて自室に戻ろうとしたその時、私は執事のレイモンドさんに声を掛けられた。
レイモンドさんは伯爵の側近中の側近で、新米侍女の私は目を合わすことさえ恐れ多い存在。
直接お話したのはこの時が初めてだった。
「ゾーイ、夕食を終えたらマリア様の別室に来てくれ」
「別室…あの…伯爵様が私をお呼びなのですか?」
「ああ。お前と話したいそうだ」
電撃が走った。伯爵様が私を…?
マリア・カルメサス伯爵は今年30歳。
先代が急逝されて若くして爵位を継いだお方。
私は貴族社会のことは分からないけども、カルメサス家を訪れる方々の言葉を借りると、強いリーダーシップとカリスマ性によって先代に勝るとも劣らない名君だそう。
さらにカルメサス家は王家と親戚でとても偉い方なんだとか。
そういえば、訪れる方は一様にすごく緊張した面持ちで伯爵と話している。
仕事にはとても厳しく、多くの奉仕と成果を求めるお方。
私たち侍女や執事たちは毎日忙しく働くけども、マリア伯爵の指示で次から次へと新しい仕事が増えていく。他の貴族家はここまで忙しくないってベテランのハンナさんが言ってた。
そのマリア様に何か粗相があったのかもしれない。
侍女長や執事からではなく、伯爵から直接お叱りを受けるとなったら、間違いなくこの家を出ていくことになる・・・
やっと手に入れたこの仕事を2ヶ月にして失うことになるの?
ここ最近の自分の仕事を思い出してみても全く心当たりがない。
あ! 今日、執務室の掃除をしている時だ。
マリア伯爵がレイモンドさんに話しかけた言葉を突如思い出した。
「レイモンド、あの者は?」
執務室での話は重要な仕事の話、全て聞こえなかったものとして即座に忘れる、侍女の仕事に徹することをきつく言われている。
それが身についた事で今の今まで気に留めていなかったけど、あれは私のことを指していたのかもしれない。
ああ、何をしてしまったのだろう。分からない・・・。
緊張と絶望で夕食がまともに喉を通らず、他の侍女たちに心配された。
体調が悪いの?疲れているんじゃない?と気を遣われたけど、笑って誤魔化すこともできなかった。
明日はもうこの食堂にも来ることは無いだろう。そう思うと涙が出そうで必死に堪えた。
ほとんど何も食べられないまま部屋に戻り、再び侍女服に着替えて別室の前まで来た。
覚悟は決まっている。
何を言われようとこの仕事にしがみつく。
私の落ち度は深く謝罪し、すぐに改善する事を誓う。
いまこの仕事を失ったら家族が路頭に迷う。命懸けでお願いする。土下座でもなんでもする。
ノックすると、中から「入りなさい」と返事が来た。
この声は侍女長のエヴェリンさんだ。良かった、伯爵様と2人ではない。ガチガチにこわばっていた体が少し緩んだのを感じた。
いや、まだ何も終わっていない。再び気を引き締めて中に入る。
拍子抜けなことに、部屋にはエヴェリン侍女長しかいなかった。
別室は向かい合わせのソファ、大きなベッドと奥に執務テーブルがあるだけの部屋だった。とはいえ、私が普段寝泊まりしている部屋と比べたら3倍くらい広い。
最小限のロウソクとパチパチと不規則に音を立てる暖炉だけがこの薄暗い部屋を照らしていた。
「エヴェリンさん、マリア様はまだいらしていないのですか?」
「ああ、これからいらっしゃるよ。お前はこれに着替えて、これで目隠しをしてベッドに寝て待っていなさい」
エヴェリンさんは、ベッドの上に置かれたシルクの寝間着を指さした。
え・・・着替えるの・・・?
「くれぐれもマリア様に失礼のないようにね。分かってるとは思うけどマリア様はとても素晴らしい方だよ。あの方にお仕えできることに心から感謝するんだよ、ゾーイ」
「あ、あの…」
そこまで言うと、侍女長は質問しようとする私を待たずにさっさと出て行ってしまった。
着替えて寝て待つ? ここで一緒に寝るのだろうか? でもなんで目隠しを?
ともかく言われた通りにするしかない。
指示された寝間着に着替えて恐る恐るベッドに入った。
寝間着もベッドも柔らかくて肌触りが良くて驚いた。
貴族の方々はこんなにも心地よいところで毎日寝ているの?
これならよく眠れそう。お父さんをこんなベッドで寝かせてあげられたら、長年悩んでいる腰痛も治るんじゃないかな・・・。
あ、そんな事考えてる場合じゃない、目隠しを忘れてた。
枕元にあったスカーフを折り畳んで目のところで結んだ。周りは見えない。これでいいのかな・・・
不安を抱えながらベッドに寝て待つ。
緊張が蘇ってきて自然と体が小刻みに震える。
お叱りを受けて即刻解雇という訳ではなさそうだけど、伯爵に一体何をされるのだろう。
目隠しで見えない分、周囲の物音に敏感になるけれども、暖炉の音以外に何も聞こえない。
ギィ…
しばらくすると部屋の扉が開く音がした。
「あ、伯爵様」
起き上がって挨拶しようとすると「そのまま寝ていろ」と鋭い声で制された。
目隠しの闇の中、マリア伯爵の足音とともに、ほのかな香水の香りが近づいてくる。
空気がぴんと張り詰めた。その圧倒的なオーラに心臓が跳ねる。
姿勢を戻して横になったけど、体中が緊張でこわばっている。
「そう堅くなるな。お前と話してみたい、そう思っただけだ」
その声は普段執務室で聞くものとは違って、深く柔らかなものだった。
伯爵がベッドに入ってきた。
や、やっぱり一緒に寝るみたい。
伯爵は私の隣に横になると、腕を回して私を抱きしめた。
ひ、、、思わず驚いてビクッと体が反応してしまった。
しまった・・・怒られる。
「は、伯爵様…」
「マリアでいい。お前、名前は?」
威厳ある声に、自然と心が引き込まれ、支配されていく。
「ゾ…ゾーイです」
「ゾーイ、お前は何故ここで侍女をしている」
え、どういう意味だろう・・・
「はく…マリア様にお仕えする為です」
「機嫌取りをするな。何故ここで働いているのかと聞いている」
さらに鋭い声だった。
執事の皆さんがいつも浴びているお叱りのトーンだ・・・
「お、お給金をいただく為です」
「では給金が2倍の仕事があったら、お前はその仕事に行くのか?」
「い、いく…と思います」
「何故だ」
「家族がいます。ち、父が病気がちで働けず、長女の私が8人を養わねばなりません。お給金が多ければ、その分、家族が助かります」
すごいスピードで次々質問されたけど、なんとか正直に答えられた、と思う。
ここまで矢継ぎ早に質問していたマリア様が、突然黙った。
と、突然首を触られた。またビクッとなる。
それを気にすることなく、マリア様の手は私の首を押さえつけた。
「あ…!」
「ゾーイ、お前はここに仕える時になんと誓った?」
「…は、伯爵様に身を捧げ…伯爵様に尽くすと誓いました」
首を押さえられたまま話すのは苦しい。
離してほしいけど怖くて言えない・・・
急に体の向きを変えられ、背を向ける形にされた。
強引に私を引き寄せると背後から腕を回し、伯爵は肘の内側を私の首に当てて締め上げた。
「はっ…」
口の中にあった息が押し出されて声が漏れた。
な、なぜ絞められているの?
訳も分からず押し寄せてきた苦しみで、目隠しの中で涙が流れる。
もしかして…このまま殺される…の?
伯爵の腕を外そうともがくけども、ガッチリと絞められていて、外せない。
「そうだ、いいか。この屋敷の人間は全員私のモノだ。お前もそうだ。私はお前たちを愛し、お前たちも私に愛を誓うのだ。それ以外は許さん。お前の家族はここでは関係ない。そして勝手にここを辞めることも絶対に許さない」
マリア伯爵は一気にまくし立ててきた。
愛…愛しているならなぜ首を絞めるのですか・・・
意識がぼーっとしだしてくるのを感じる。
マリア伯爵は…私に怒っているの?
でも・・・でも家族は関係ないと言われてもそうはいかないです・・・
首が・・・苦しい・・・
「ベレンニアの民は王国が守り、お前たちを養う。カルメサス家も王家の血筋だ。つまりベレンニアの民は私の子だ。お前もお前の家族も私が守り、養う。もう一度くだらない事を言ったら最後まで絞める」
そう言うと伯爵は腕を緩めた。
締められていた気道が解放され、咳き込んだ。
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ…」
今度は背後から顎を掴まれ、枕に押しつけられた。
「私を愛さず、私の愛に応えない者は生かしてはおかぬ。家族もだ。覚えておけゾーイ。私はお前を愛する。お前はどうだ?」
・・・どういうことなの?
頭の悪い私にはよく分からないです、マリア様・・・
涙が止まらない。目隠しは涙に濡れて重たくなっていた。
マリア様は私を愛し、家族も守ってくれると言った。
だけど、目の前のマリア様はとても怖い・・・怒っている・・・
でも奇妙な安心感が湧いていた。どういうことなのか自分でも分からない。
理解できない感情のせめぎ合いの中で、私は自分がもう震えていないことに気がついた。
「お前は私を愛してくれるのか?」
ドキッとした。
再びマリア様の腕が私の首に回るとき、そこに期待が混じっていた。
マリア様の求める答えを間違えれば、その期待がすぐに恐怖に変わることを知りながらも。
もう抗うことはできない。
マリア様は私を愛していると言ってくださる。
私は心を決めた。
「はい、マリア様…」
私の声は震えながらも、恐れから解放されていた。
「私の全ては、マリア様のものです。あなたへの愛と忠誠を、誓います。」
マリア様はその答えに満足されたようだった。
首の圧迫は解放され、再び私をぎゅっと抱きしめた。
「嬉しい…ゾーイ、お前のことが好きだ」
その言葉を聞いた瞬間、私の体が熱くなり、心がときめいた。
背中にぴったりとくっつくマリア様を愛しく思う自分がいた。
「マリア様。マリア様の方を向いていいですか」
「ダメだ…恥ずかしい…」
後ろから強く抱きしめられた。
なぜ目隠しをさせられているのかが、今分かったかも。
雲の上の存在だったマリア・カルメサス伯爵がとても可愛い存在になっていた。
この方の為にこの身を捧げたい。
仕える時に誓った言葉が今ようやく本心になった気がする。
◇ ◇ ◇
ダメだと言われたけど、我慢ができなかった。
私もマリア様を抱きたい。
向き直ってマリア様の腰に手を回そうとした。
しかし一瞬にして手首を捻られ、喉元を強く押し込まれた。
「ダメだと言ったのが聞こえなかったか?」
そのまま私を仰向けに倒すと、マリア様は馬乗りになり両手で首を絞めてきた。
「も、申し訳…ありま…」
言葉が最後まで出せない。
急激に顔が充血するのを感じた。
目隠しはいつの間にかズレていて、目の前に物凄い形相で睨む、マリア様がいた。
恐怖に全身が包まれてビリビリと痺れ始める・・・
「お前は私のモノだ。勝手な事をするな・・・」
マリア様の腕を剥がそうとするが敵わない。
足もバタバタと暴れさせたけど、それでも絞める力は緩まない。
やがて、意識が遠のき始めた。
パッと手が離され、マリア様は私の横に倒れ込んだ。
「ガハッ、ガハッ…」
激しく咳き込む。今回のは今までで一番苦しかった。
そんな事を気にせず、マリア様はまた私に背を向かせて、後ろから手を回し喉を強く掴んだ。
「ゾーイ、お前はまだ分かってないようだな…」
耳元で背筋が凍るような低い声が囁いた。
「お、お許しください! 私が間違っていました! マリア様に愛を捧げます! 私はマリア様のモノです!! もう逆らいません!!」
早口で叫んでいた。ガタガタと体が震えている。
沈黙の後、低いけど暖かい声でマリア様が答えた。
「…いい子だ、ゾーイ」
マリア様の手が服の中に入ってきた。
その手が身体中をまさぐる。
もう、私は抵抗しない。
「この体は私のモノ、そうだな?」
「…はい。マリア様のモノです…」
もう片方の手が私の首を掴む。
「お前がいつ死ぬかも私が決める。死ぬまで私に尽くせ」
「…はい。死ぬまでマリア様に尽くします…」
首を掴んでいた手が上に上がり、私の顔を撫でまわす。
「ゾーイ…お前を…食べたい」
マリア様はそう言うと私の首を甘く噛んだ。
「あ…」
そして、体を撫で回していた手が下に降りてきた。
◇ ◇ ◇
目が覚めると、マリア様は窓際の椅子に腰掛けて外を眺めていた。
一日の始まりの空を朝焼けが赤く染めている。
「申し訳ありません。寝てしまいました」
「ゾーイ、私は頭がおかしいと思うか」
マリア様は、外を向いたまま尋ねた。
「い、いえ…」
なんと答えたらいいのか分からなかった。
朝日に照らされたマリア様は美しく、体がまた熱くなるのを感じた。
「お前の父親はここで働くことを何と言っている?」
「父はとても喜んでいます。カルメサス様にお仕えできるなんてお前が誇らしいと言ってくれています」
「・・・そうか。ゾーイはお父様に認められているのだな」
「はい、母も本当に喜んでいて…」
その時、マリア様の横顔が一瞬曇った。
「母親は子を産んだら終わりだ。あとは何もしてくれない」
話を遮ってそう吐き捨てる。その言葉には鋭い棘があった。
「え…」
「お前の父親は幸運だ。少なくとも娘のことを誇りに思っているのだから」
マリア様の言葉に少し戸惑ったけども、何か褒められた気がして胸をなでおろした。
その後もマリア様と色々な話をした。
この時間のマリア様を独占できていると思うと、とても嬉しかった。
今まで感じたことのない、とても変な気持ち。
「もっとお前の話を聞かせろ。8人も家族がいると言っていたな。さぞかし賑やかだろうな」
「はい、それはもう…。でも本当はもう一人、弟がいたんです。弟はまだ小さい時に病で亡くなりました。今でも時々思い出すと悲しい気持ちになります」
マリア様は驚いた様子だった。そして目を伏せて語り始めた。
「弟を亡くすのは…辛いことだな。私にも弟がいた…」
その言葉は重く悲しい感情に包まれていた。
知らなかった。マリア様も弟君を亡くされていた。
「家族というものは複雑だ。愛も憎しみも同時に存在することがある」
その言葉は、まるでマリア様ご自身に語りかけているかのようだった。
「憎しみ…ですか」
「私は家族のため、国のため、そして何より私のためにマリア・カルメサス伯爵を生きてきた。この復讐が果たされた時、ようやく私は解き放たれるのだろうな」
難しくて私には分からなかった。
何を意味しているのかは分からないけど、マリア様は”復讐”という言い方をした。
どうして復讐なのだろう・・・こわい・・・
「お前はこの国が好きか? この国にどうなってほしい?」
マリア様は引き続き、外を眺めている。
「わ、私はカルメサスしか知りません。知りませんがマリア様が治められているこの国が好きです!」
一瞬驚いた表情の後、マリア様は口を開いた。
「ふ…馬鹿だなゾーイ。私は伯爵だ。国を治めてなどいない。お前が住んでいるのはベレンニア王国の中のカルメサス領だぞ」
マリア様が私の方に向き直る。微笑んでいた。
恥ずかしさで顔が真っ赤になる。
「も、申し訳ありません。何も分かっておらず…あと、この国がどうなってほしいのか…私は頭が悪くて…分かりません、すみません」
私はベッドの上でひれ伏して謝った。
「まぁいい。国のことを考えるのは私やベレンニア王の仕事だ」
「マリア様はベレンニアの王様ともお話しされるのですか?」
顔を上げて、恐る恐る聞く。
「ああ、ベレンニア王は親戚だ。年上だが若い頃からあいつは頼りない。私が支えてやらねばならない」
椅子から立ち上がり、マリア様はこちらに歩いてきて私に笑顔を見せた。
「お前は知らんだろうが、マリア・カルメサス伯爵はベレンニア王国の命運を握っているんだ」
◇ ◇ ◇
マリア様がナイトガウンを羽織ったその時、コンコン、とドアがノックされた。
「入れ」
ドアが開き、レイモンド執事とエヴェリン侍女長が深くお辞儀をして入ってくる。
「おはようございます、マリア様。本日の予定ですが、朝、ブラウン商会の理事が陳情に参ります。その後、風刺巧芸杯の開催場所について…」
執事はこちらに歩きながら、今日の予定をどんどん読み上げていく。
はだけた寝間着姿だったことを思い出して急に恥ずかしくなり、布団の中に隠れた。
取れて首輪になっていた目隠しも急いで直し、布団の中で丸くなる。
突然、バサァっと布団を取り払われた。
「お前は何をやっている。早く起きて自分の部屋に戻れ」
呆れた声でマリア様が言い、服を投げつけられた。
「あ…」
目隠しを取ると、エヴェリンさんがベッドの上に散らばった私の服を集めていた。
「おはよう。マリア様とたくさんお話できたかい?」
優しく微笑むエヴェリンさんを見たら緊張が解けて自然と涙が流れ始め、私は泣き崩れた。
それに驚いた侍女長が私を抱き寄せる。
「これゾーイ、マリア様の御前だよ。そんなに大声で泣くんじゃない」
失礼なのは分かっていたがどうしようもなかった。
昨日レイモンドさんに声を掛けられてから今まで、全てのことが人生初めての事で、体の節々が痛くなるくらいに緊張していた。
それが解かれて私は自分を制御できなくなっていた。嗚咽しながら号泣していた。
「あ、マリア様!」
エヴェリンさんが叫んだその時、背後から首を締め上げられた。
「ぐ・・・!」
耳元でマリア様の低い声が響く。
「うるさい。黙れ、ゾーイ。早く着替えて仕事を始めろ。私への忠義を示せ」
その言葉を残し、私をベッドの上に投げ捨てると、マリア様はレイモンド執事とともに部屋を出て行った。
「だ、大丈夫かい、ゾーイ?」
エヴェリンさんが心配そうに尋ねる。
私の顔には、なぜだか笑みが浮かんでいた。
止まらない涙とともに、体中が熱くなり、痛みと恐怖、愛情と依存が一つに混ざり合い、奇妙な高揚感を生んでいた。
ふと確信した。
マリア様に尽くしたい。マリア様には私が必要なんだ。
(完)
読んでいただきありがとうございます!
「面白い」「この話の背景が気になる」と感じましたら、『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけますと嬉しいです!
皆様の応援が作者のモチベーションとなりますので、是非協力よろしくお願いいたします!
★あとがき★
この物語は別で連載してます作品「姉は旅芸人の道化師なのに魔物相手に無双してまして、これ絶対伏線だと思うんです」、通称「あねふく」の番外編です。
物語のキーパーソン、マリア・カルメサス伯爵を描いた短編です。
支配欲が強くサディスティックで歪んだ愛情を示すマリアは本編でもこうした行動をしています。
そんな彼女が何を抱えているのかは本編では描けそうになかったので短編にしてみたところ、人物像がだいぶ鮮明になりました。彼女が抱えるコンプレックスは本編に通底するテーマとも繋がっています。
興味を持っていただけたら「あねふく」で本編を検索してお読みください。
お待ちしています!