余命が一日しかないのでいじめてきた奴らをぶん殴ります
それは、いつものように学校へ行こうとしていた朝のことである。
「うっ、い、痛い……」
急に胸の痛みを感じたのだ。その痛みは、今まで感じたことが無い程辛い者だった。
私の母は、すぐに私を病院へ連れて行った。
「先生、私の娘は大丈夫なんでしょうか?」
先生は「うーん」と深刻な表情でしばらく唸った後、先生は口を開けた。
「はっきりと言います。娘さんは、月下美人病です」
「そっその、月下美人病と言うのは何でしょう?」
「月下美人病とは、余命が一日しか残されていないという病気です。そして、現在の医学では直すことは不可能です」
私は耳を疑った。そんな病気などあるのだろうか? しかし、ここで冗談を言う理由はある筈が無いため、信じるしかなかった。
私と母は、一度家へ帰った。その時には既に時計は八時を指していた。
「今日は、あなたがやりたいことを何でもしてあげるわ。なっ何がしたい?」
母の笑顔の中には、悲しみが溢れていた。
「いいよ、今から学校行くから」
「え? きょっ今日しか、無いんだよ?」
「学校でやりたいことがあるんだよ」
「あぁ、そう。じゃあ止めないけど」
私は昨日準備していた鞄を持ち、学校へと向かった。
学校にはもちろん遅刻していたので、担任の先生から理由を聞かれた。
私は包み隠さず、本当のことを言った。
すると先生は私のことを笑った。まぁ、そうだろう。こんな話、信じる訳がない。
すると私の頭の中に、コイツからされてきた数々の嫌な記憶が蘇ってきた。
そうか、もう一日しか無いんだ。
そう思うと楽になった。
私は拳を高くあげ、大きく膨れ上がった担任の腹目掛け、思いっきり殴った。
「グハァァァァァ!!」
あぁ、スッキリした。担任の重苦しい叫び声を聞くと、今までの記憶が嘘のように、華やかな気分になった。
「お前! 何やってんだよ!?」
声の主は、私のことをわざと無視するようにクラスのみんなへ言った奴だった。
私は迷わずそいつの頭を殴った。
これこそ夢見た世界だ。今まで抑圧されていた「常識」が一気に解き放たれた。
するとクラスのみんなは、私のことを取り押さえようと駆け巡ってきた。
私は倒れている担任の持っている鍵を取り、生まれて初めて廊下を走った。そして、屋上へと向かい、担任から奪った鍵を使って屋上の扉を開けた。
後ろから追って来ているクラスメイトたちの上履きの音がした。
クラスメイトたちが追いついたときには、もう既に私は屋上の手すりの外側へと立った。
「やめなよ!」
「俺たちが悪かったから」
あは。
急に笑いが込み上げて来た。今まで散々私のことを無視して来た奴らが、私が飛び降りるってなったら必死になって止めるなんて。
やめるわけがないでしょ。
私はゆっくりと後ろから落ちてった。
――さよなら、この世界。
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