表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/37

2話 戦士ミゲルは見た

異世界視点ということで、名前がユーリの表記になっています。

脛当て(レガース)付きのサイクロプスだと・・マズい!」

ベテランの戦士ミゲルはユーリに向かってくるサイクロプスを一瞥するや

即座に走り出し、優理の前で盾を構える。


ミゲルやユーリのもっている武器では身長5メートルもあるサイクロプスの腿までしか届かない。

しかし、ただでさえ皮膚が木の皮のように頑健なサイクロプスの足に、鉄製と思われるレガースが装備されているのだ。

ひとまず守りを固め、弓や魔法で遠距離から一斉に攻撃しなければ倒せない。


サイクロプスの持つ樹木がうなりを上げ、ミゲルの盾に叩きつけられる。

「ごはっ!」

ミゲルは盾ごと軽々と吹き飛ばされ、半壊した民家の外壁を突き破り、落ちてきた屋根の残骸に埋もれる。

「ミゲル!」

優理が悲鳴を上げる。それを聞きつけた周囲の兵士が優理を守ろうと、ある者はサイクロプスの脚部に切りかかり、ある者は盾をかざすも、剣戟はレガースにはじかれ、蹴り飛ばされ、ミゲルと同じように樹木で殴り飛ばされる。


「ユーリ・・逃げろ・・」

民家の残骸から這い出たミゲルが声を出すも、肺が傷つき囁くようなしゃがれ声しか出せない。

次の獲物を優理と定めたサイクロプスの前で、優理は武器を落とし、両手を組み、目を閉じる。

「兄さん・・助けて、兄さん!」


その瞬間、戦場にパキンとガラスが割れるような硬質な音が響き、

サイクロプスの背後に発生した黒い繭のような空間から、全身青い服の一人の青年がまろび出る。

(召喚? ユーリが人を召喚したのか?)

ミゲルは遠くなりかける意識を必死につなぎ止め、目の前の出来事を目をこらす。

その青年はサイクロプスに向かって走り出し

「どけぇ!」

ありえない程の速さ、高さ、まるで一本のバリスタのような飛び蹴りで、サイクロプスを突き抜ける。

「え?」

ミゲルは何が起きたのかを目で理解はしたが、頭では理解できなかった。

(蹴りで貫通? 嘘だろ? そんなことが人間に可能なのか)

「無事だったか、優理」

「兄さん・・兄さん!」

(いつも聞かされているユーリの兄か? ユーリが兄を召喚した?)

(しかし異世界人の召喚は莫大な人員と準備がいるはず・・一人で可能なのか?)

混乱するミゲルの前で、青年とユーリは周囲を掃討する。

青年は見事な拳術でオーガも素手で倒してしまった。


残敵はほぼ掃討され、ミゲルにもようやく治癒魔法がかけられ、ユーリの無事を確認しに行く。

「すまん・・ユーリ無事だったか」

「ミゲルこそ大丈夫?」

「ああ・・もうなんともない。ところでそちらは・・」

「ボクの兄さん!」

「はじめまして、優理の兄の誠です。妹を守っていただきありがとうございます」

「ミゲルという。ユーリのパーティの副リーダーだ。しかし凄まじい強さだな・・」

「立ち話もなんだし、とりあえずあっちで話そ!」

ユーリはパーティの荷物置き場になっている簡易テントへ誠を案内するのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ