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1話 初の従者召喚

入隊もほぼ確実になったころ、誠は優理の夢をよく見るようになる。

夢の中の優理の姿は亡くなったころよりも成長しており、高校生くらいだろうか。

まるでファンタジーRPGゲームのように、洞窟内で剣や鎧を身に着けて

仲間と一緒に怪物と戦っている場面や、テントを張り野宿している場面など。

(兄さんがいてくれれば)

(兄さんならこんな敵・・!)

会話や音は聞こえないのに、優理の思いは聞こえてくる。

誠は手助けできないもどかしさに憤慨し、朝起きたときは汗びっしょりだ。


その日の夢は緊迫感に包まれていた。

異形の怪物に襲われ、燃え盛る未開の村で村人を逃すべく奮闘する優理と仲間たち。

そこに身の丈5メートルはあろうかという一つ目の巨人(サイクロプス)が、

引き抜き、枝を払っただけの長大な樹木を振り回し、優理の仲間を跳ね飛ばしながら優理に襲い掛かる。

(私じゃ無理・・助けて兄さん!)

(助けて!)

「優理!」


体全体が雑巾絞りのようにねじられ、脳がゴムのように引き延ばされ

平衡感覚が渦の中に巻き込まれたように歪み、凄まじい速さでトンネルを移動するような感覚。

その一瞬後、誠は夢で見た戦場にいた。


目の前には優理に樹木を振りかざす巨人の背中。

「どけぇ!」

(体が軽い・・夢の中だからだろうか?)

誠はダッシュし巨人の背中に飛び蹴りを入れて態勢を崩そうとする。

背中の中心まで地上から4メートル近く。本来届くはずもない距離を誠は軽々と飛び、

ドバン!

誠の蹴りはサイクロプスの胴体に大穴を開け、突き抜けて優理の前に着地する。

サイクロプスは地響きを立て倒れ、ピクリとも動かない。

「大丈夫か、優理」

「兄さん・・やっと来てくれたんだ!!」

優理を抱きしめる誠と、その胸にすがって震える優理。

「山ほど話したいことがあるが・・とりあえずこの場を切り抜けよう」

「うん!」

優理は元気だったころに見せた笑顔を咲かせる。

(ああ、やっぱり優理は生きていたんだ)

誠は優理と背中合わせに立ち、異形の怪物の群れに対峙する。

近くに見える残った怪物は

目が赤い口裂けの黒犬(デスハウンド)の群れが20匹程度。

一つ目巨人ほどではないが人間より一回り大きく、こん棒を持った

牙や角が生えた鬼のようなものが10体程度。

優理の仲間も態勢を立て直し、乱戦となっているようだ。

「ユーリさん、そちらのオーガをお願いします!」

「了解!」

優理の仲間から声が飛び、向かってくるデスハウンドを剣で叩き伏せながら優理が答える。

「オーガというのは・・あの鬼のような奴か?」

「うん。兄さんなら楽勝だよ」

デスハウンドを蹴りとばす誠に、オーガが棒を振りかぶり、突進してくる。

「俺、素手なんだけど・・なんだか行けそうだな」

誠は両手をボクシングのファイティングポーズに構え、頭を揺らし

滑るようなフットワークでオーガに向かっていく。

オーガが間合いに入った誠の脳天にこん棒を振り下ろすより早く、

「シッ」

誠の左フックがオーガの肝臓をえぐり、ほぼ同時に右アッパーがオーガのアゴを打ち抜く。

ドッ、ガゴン!

オーガはトラックに轢かれたかのようにきりもみしながら吹っ飛ぶ。撃たれた腹やアゴは拳大に陥没し骨が砕かれている。

ピクピクと痙攣するだけで全く動くことはできないようだ。

「見かけ倒しだな」

「さすが兄さん!」

「よし、残ったのも片付けよう」

「うん!」

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