表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/51

挙動不審編-その5

 「さ、斎藤くん。放課後、ちょっと残っててくれない?」


 HRが始まる直前、少々緊張した様子の宮城にそう言われ、斎藤は心臓が飛び出るほど驚いた。

 用件を聞いたが「後で」と言われ教えてもらえなかった。HRが終わると、宮城は「ちょっと保健室に呼ばれてるから、待ってて」と出て行ってしまい、戻ってくるのを待つことになった。

 そしてなぜか、今日に限ってクラスメイトは早々に引き上げ、教室には斎藤一人だけになった。


 マジか、おいマジか!?


 夢とほぼ同じ状況に、斎藤はアタフタした。「正夢なのか、あれ正夢なのか、いやまさか」と頭を抱え、悶々とすること十分ほど。

 カラリ、と教室の扉が開き、宮城が戻ってきた。


 「ご、ごめんね、待たせちゃって」

 「い、いや、大丈夫だ。今日は特に用はないからな」


 扉を閉めた宮城は、大きく深呼吸してから斎藤に近づいた。それを見て斎藤は慌てる。


 「ま、待て宮城。近づくな! そこでストップだ!」

 「……え?」


 思わず席を立ちあがり叫んだ斎藤。宮城は眉をひそめ、首をかしげる。


 「……なんでそばに行っちゃいけないの? 話しにくいんだけど」

 「そ、その、最悪の事態を防ぐためだ!」

 「最悪の事態?」


 何を言っているのか、さっぱりわからない。


 「最悪の事態って……なに?」

 「い、いやそれはだな……その、なんだ……なんというか……」


 斎藤の目が泳ぐ。そして時々視線が止まっては、またすぐに泳ぎ出す。


 「斎藤くん……?」


 なんとなく悪寒を感じ、スコン、と宮城の武道家スイッチが入った。

 五感が研ぎ澄まされ、斎藤のあらゆる動きを捉え始める。そして、斎藤の視線がどこで(・・・)止まっているのかに感づき、視線をそっと下に向けた。

 小学生の女の子に「すごい武器」と言われた、胸。斎藤の視線がそこで止まっていると悟った時、宮城の全身がカァッと熱くなった。


 「ど……どーも朝から、おかしいと思ってたんだけど……」

 「み、宮城?」

 「あ、あんた、私の胸ばっか見てたのかぁっ!」


 いや確かにおんぶされたときに押し付けたけど。「すごい武器」とか言われて、ちょっとアピールしてやろうかな、て考えたりはしたけれど。

 そんなにあからさまに見られたら、さすがにちょっと考えるものがあるじゃないか!


 「す、スケベッ! あ、朝からずっと、エッチな目で見てたなっ! そういうことかぁっ!」

 「い、いや、待て、待ってくれ! これにはやむを得ない事情があってだな!」

 「はぁっ!? 女の胸をじろじろ見るやむを得ない事情ってなにっ!」

 「そ、それは……言えねえ!」

 「ふっざけんなーっ!」


 ゴォッ、と宮城の闘気が爆発した。


 「ひ、人が心配してたってのに、実は胸ばかり見てましたって……ああもう、あったまきた! ぜーったい理由聞かせてもらうからね!」

 「う、うぉぉぉっ、待て、お前が本気出したらガチで死ぬっ!」

 「やかましいっ! 死にたくなければ、素直に吐けぇっ!」

 「す、素直に吐いたら、絶対殺されるんだよぉぉぉっ!」

 「なんだとテメー! そりゃどういうことだぁぁぁぁっ! 吐けぇぇぇぇっ!」


 斎藤の言葉に、宮城はついに阿修羅と化し。

 思春期男子の煩悩をせん滅すべく、その力をふるうのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ