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変異者──menger  ヒーロー先輩と変異者後輩  作者: しゅれねこ
第一章 ヒーローと変異者
4/15

4 Parallel

前半の内容は追々明かしていくので……

あと打ち消し線を使いたかった……(´・ω・`)

 

 最終編集日時:********


 ──書類作成兼保存管理責任者  宮上 五香



 分類番号:000xx


 対象名:Parallel


 クラス:arrival→■■■■■■■



 概要:


 変異者、Parallelは日本xx県xx市在住の男性です。これまでの変異者における普遍的法則の多くに当てはまらない極めて例外的な存在であり、後述する特異性から確保及び対処に当たって多くのリソースを要求します。また、同時に変異前と遜色ない知性と判断力を有しているため武力行使及び強制的な行動に出なければ対話に応じる温厚な一面も有します。


 万が一、当該対象が重大な違反行為を行い確保の必要性がある場合、担当人員は必ず政府および担当機関への報告、救援要請を出してください。これは義務であり、怠った職員は速やかに変異者特別措置法違反により■■■■■■■プロトコルが当該職員及び人員に対して実行されます。


 尚、現時点においても当該対象の保有エネルギー量は漸進的増加にあり、約■■年で核兵器を凌駕すると想定されます。従って可及的速やかに余剰エネルギーの対処策を講じなければなりません。そのため現在■■以外の社員及び人員は対象への敵性行為、その全てを禁じます。




 特異性、及び危険性:


 Parallelは既存の動物型及び異能型のいずれにも該当しないと思われる第三の変異者と推定されています。Parallelは肉体を覆うように外骨格的装甲であり生体反応を共有する肉塊を展開する能力を有します。大きさは約2mでその組成は現在の科学では解明出来ない未知の物質から成り立ち、これまでの接触及び本人から得られた情報より既存の物理法則とは異なるものが適用されている可能性が極めて高いと考えられます。


 また、その肉塊は■■■■や■■■■の効果を有しており■■により発動します。■■以外にも■■、■■によっても発動すると確認されています。この■■■■の■■■に■■■■人物は当該対象へ■■■■■■するようになります。


 また強化スーツを装着しない状態で状態を確認するのは危険です。弊社所属の研究員***は、未装着時に■■した結果、■■■■■■■■及び****に対する(検閲済み)に陥りました。


 これらの■■■■は変異者、及び強化スーツ着用者に対しても限定的に適用されることが判明しており現時点で完全な無力化が達成されているのは産巣着用者のみです。その他の事例では比較的短時間ながらParallelの■■■■■■■■ことが確認されています。


(以下、閲覧が制限されています。続行するには当該文書責任者へプロテクト解除の要請を行ってください)






 ******






「先生って彼女さんのことどう思うんですか?」


「藪から棒にどうした。中学生にはまだ早いんじゃねえの」


「四つぐらいしか変わらないのに大人ぶらないでください。そういう恋バナも良いじゃないですか」


 バイトが終わり、塾で担当している生徒にジュースをおごると青天の霹靂といった話を振られた。

 勉強中は黙々と努めていたのが、終わった途端にこれか。女子中学生怖いなー。


「とは言ってもそんな思うほど面白くも甘くもないぞ。高給取りでご飯さえ用意すれば特に文句言わないことぐらいが良いところでさ」


「普通に彼女いて同居してるって時点でほとんどの学生生徒は嫉妬しますよ」


「それは分かる」


 秋月の照らす路傍で高校入試に向けた勉強に邁進する彼女、令松 緑翠ちゃんは、自転車を押しながらおごったホットドリンクを流し込む。

 少し前まで自販機で保温されていたそれをダイレクトに喉にぶち込むことに苦言を呈したくはなったが大したことでもないし、本人がケロッとしているので口にするのは止めた。


 でも将来絶対食道辺りがやられていそうだから受験終わったらそれとなく言おう。


「彼女さん、確かアイギスグループの社員さんでしたよね? やっぱり給料良いんですか」


「そうだなー…、末端でも結構良いらしいぞ。高校入ったらその辺進路とかで調べられるだろうし興味があれば良いんじゃないか?」


「いえ、私はそういう危ない世界とは関わり持つ気ないので。普通の会社に入って普通の人生を送るんです。深い絶望も激しい喜びもいらないので」


「……緑翠ちゃん、本当に中学生? なんか熟成された大人みたいなんだけど」


 じゃあ、何でここらじゃ有名な進学校選んでるんだと思ったが、最近の世の中なんてある程度学歴持ってなきゃ普通の人生も送れないよなぁ、と納得した。いや、そういうことに気付いた上で選んでるんだとしたら本当に中学生か怪しくなってくるわ。


「それでは先生、家が近いので失礼します。ジュース、ありがとうございました」


「ああうん。気を付けてね」


 礼儀正しく別れた彼女を見送ると一人で路地裏に入り今朝の事を思い返す。

 バイトの合間合間に自分のアレと似たような事例がないか色々と検索していたが、結局類似しているものは見つからず尚更このことを明かそうという気は失せた。


 それに、先輩からの連絡は未だに入っていない。ここまで遅いことは初めてで、何かした方が良いのかと思い始めたところで丁度着信が入る。

 通知画面には守秘義務諸々であまり仕事関係のことを知らない自分でも知っている数少ない人物からのものだった。躊躇うことなく画面をタップして出る。


「もしもし、帯井です」


「あっ、由乃(ゆない)くん。みゃ…宮上(みやがみ)です」


 電話越しにも伝わる疲労感と口ごもる言葉から推し量れる焦燥感。

 電話相手は宮上 五香、先輩の強化スーツのメンテナンスとかでサポート役に徹している研究員さんだ。以前に会った時電話番号だけ交換していたが、まさか割とすぐに使われることになろうとは。


「お久しぶりです宮上さん。……その、大方予想はしてるんですが何かあったんですか」


「ええまあ、あのはい。えーっと、その、あの……」


「落ち着いてください。ゆっくり深呼吸しましょう」


「え、あっ、はい! あ、ああ、ひっひっ」


「慌てすぎです」


 もう何というか深呼吸しようとしてラマーズ法する人とかまだ生き残ってたんだな。ちょっとしたアンティークというかお約束過ぎて使い古されているのに。


「す、すみません。こちらも少し前から慌ただしくなっていて。でも織銀さんの親近者ですぐに連絡できそうな人が由乃くんぐらいであの」


「とりあえず結論から言うとあの、──織銀(しきがね)さんが入院しました」


「───」


 この電話がかかってきた時点で予想はしていたが、当事者から直にこうして聞かされると言葉が詰まって出てこない。頭は冷えているのに口の周りだけ思うように動かせない。歯痒くて、もどかしい。


「あのえっと、もう意識は戻っていて話も出来るんですけどあの、」


「慌てなくて結構ですよ。ゆっくり話してください」


 ──スマホを握る手は激情で震えていた。



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