第7話「犾夕ちゃんと補足ちゃんでーす」
藍田はエレベーターで21階のボタンを押した
藍田の隣で補佐ちゃんは彼女の
スカートの裾を引っ張っている
エレベーターが進むと17階で一旦停止した
扉が開くと
そこには
リュックを背負った身長120cmの白髪のミディアムカットの女の子が立っていた
補欠ちゃんである
耳には最新機種のワイヤレスイヤホンに
太腿にはホルスターを付けていた
補欠ちゃんはテコテコと
エレベーター内に足を踏み入れた
「補欠は21階に参ります」
「補佐も21階です」
エレベーターの扉が閉まり
21階に差し掛かってエレベーターの扉が開いた
開いた途端
怒号が聞こえてきた
「だから
莉々奈がやるってつったのに」
「すいません 真田さん」
「連の馬鹿」
男に向かって怒鳴っている方が
真田莉々奈
土下座しかけてる男が佐藤連
二人とも私の研究チームのメンバーだ
藍田は急いで
連にかけ寄り彼の肩に手を置く
「どうしたの?」
つかさず莉々奈が
「のいるさーん
こいつ実験データ盗まれたみたいなんですよ」
「す すいませーん 」
と連は床についた膝を立てて
両手を合わせて謝ってきた
「どうします のいるさん」
「とにかく 特令課に相談しないと」
補欠ちゃんはエレベーターの前から
連のデスクの前に移動していた
背負ったリュックをトンッと下ろし
「そういうことでしたか」
と補欠ちゃんはリュックのチャックを開け中からノートパソコンを1台取り出した
「今から特令課のサイバーテロ集団SSチーム
津辻ネル様をお呼びします
なので それまでの間補欠が対処致します」
「補欠ちゃん」
と連は立ち上がり補欠ちゃんに向かって
両手を合わせた
すぐ藍田と莉々奈に振り返り
「俺もなんとかしてみます」
と辛そうな顔で話しかけてきた
その顔を見た
莉々奈は近くのデスクに右手を置き苦笑しながら
「でもさー 連
特令課来ちゃうよー」
「あー なになにー なんかあったの?」
と若い青年がエレベーターの
扉にもたれながら話しかけてきた
「誰?」
「犾夕ちゃんと補足ちゃんでーす」
あははと笑いながら犾夕は
補足ちゃんの肩に手をおき
顔を寄せピースをしてきた
犾夕という男は
グレーの髪に所々白髪が混じった青年だった
服装は白シャツに黒のセーターで
下は黒いスボンにビーサンだった
犾夕は莉々奈に近づき
髪を垂らした片目で彼女の顔色を伺うと
「宜しく」
と猫背になり片手で莉々奈に名刺を渡した
>エージェントCQO会社
殺令課 Xチーム
中沢 犾夕
LvSS
099 ×××× ××××
犾夕は近くの椅子の背もたれを前にして座り
「ねぇねぇ それって俺らもやばいっぽい感じ?」
「あの」
「ん?なに?補足」
「犾夕様
補足は違う業務に移らせて頂きます」
「そう? はいはーい じゃあね 補足」
「はい」
「ばいばいっ」
とにこにこ笑顔で手を振る
「あのさ 犾夕君?」
「ん?なに?のいるちゃん」
「あの・・・犾夕君には関係無いので帰ってくれませんか?」
「えー まじかー」
と犾夕は椅子から離れると頭の後ろで腕を組んでつま先を少し上に短くあげ歩き始めた
横顔をこちらに向け
「ばいばいっ」
と腕を組んだまま藍田に手を振ってきた
そのまま歩き出し
彼は補足ちゃんの後を追うように出ていった