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第2話「私は目を瞑る」
薄く目を開ける
辺りをきょろきょろと目だけで見渡す
ここは何処だろうか
眠っていたようだ
キングサイズのふわふわなベットに
多くの枕やぬいぐるみが囲んでいる
この
レースに縁どられた枕が優しく顔を
包み込んでいる
ベットの周りにある薄いレースのカーテンは
部屋の様子を見づらくさせていた
カーテンには薔薇が咲いている
サッとカーテンが開く
「まだ、寝てろ」
スーツを着た中沢がカーテンから顔を覗かせた
中沢はネクタイを締めているところだった
「仕事だから じゃあな」
と言って何処かに消えた
重い扉が開いて閉まる音が聞こえると
横にある本棚に目を向けた
よく分からない洋書が並んでいた
どの本も知らない
私は知らないことの方が多い
うつろ目になり、
考えたくないと思った
もう少し眠っていたかった
私は目を瞑る