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第1話「出会い」
〜第1章〜
「出会い」
僕を拾った科学者はゲス沢と呼ばれていた
「はぁはぁ」
降りしきる雨の中で目が開かなくなった
どんなに力を入れても無駄だった
「あれー 実験ちゃん動かないの」
「あはは 動かなくなちゃって」
動かない
「殺そうか」
「いいねー 殺っちゃう」
動かない
「お前ら何してんだ」
二人の男は慌てたように後ろにさがった
「あれ 中沢さん
なんで中沢さんがこんなところに」
「何してるんですか 中沢さん」
「何してんの こんなところで寝て」
中沢と呼ばれた男は
ぽつんぽつんと傘にのる
雨粒の音をさせながら近づいてきた。
もう、私の目の前にいる。
中沢はしゃがみ込んだ
「こいつさ 俺の実験体にするから 」
二人の男は
「え」
二人の男はお互いにお互いの顔を
見つめ合う
「俺らはいいですけど 中沢さんは」
「いいんですか 中沢さん」
すると中沢は立ち上がって私に向かって手を差し伸べた
「な お前も俺がいいだろ 違うかな 」
と首を傾げて