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ゾンニート  作者: 竜獅子
第2章 神農製薬
90/150

共通点です

「状況は大体理解した。例の原始解放をさせられた化け物を3人の自衛隊員達が倒し、その間にいつの間にか現れていたコンテナから背中に触手が何本も生えている身長が5m近くもある化け物が出てきて、3人のうち1人を殺し、残りの2人はどこかへ逃亡。その後更に増えていた5つのコンテナから同タイプの化け物が5体出て来たと。そういう事だな?」


「ええ。その通りよ」



 触手を持つ化け物と言えば、以前僕らが戦った久野菜絵ひさのなえを思い出すけど、久野の触手は一本を残して僕達が引きちぎってやったし、僕が気絶した後は傷だらけで満身創痍のままどこかへ行ってしまったと美桜から聞いている。

 久野が触手をどこで手に入れたのは結局分からなかったけど、もしかして久野に触手を与えた奴が今回の件に絡んでいるのか?

 ……いや、そうじゃないと辻褄が合わないか。

 背中から触手なんて普通じゃ有り得ないような改造を施せる人や組織が2つとあるとは考えられないし、何よりコンテナでそいつらが運ばれて来ている以上自然発生したものでは無い事は明確だ。

 誰かが何らかの意思を持ってこの場に6体の触手の化け物を運んで来たと考えるのが自然だ。

 でも、何の為に……?



「一応聞いてみるが、勝算はありそうか?今の俺達の戦力で」


「一体だけなら総力を尽くせばなんとかなる筈よ。でも、6体ものアレを相手にするにはあまりにも分が悪過ぎる。速度こそ大した事はないみたいだけど、触手による攻撃範囲は広いし破壊力もそれなりにある。一撃でも食らえば即死は免れないでしょうね。一体にかかりっきりなってる隙に他の奴に攻撃される事を考えると現状の戦力じゃ全て倒すのは厳しいわ」


「でもそいつらは初めて見るやつらなんだろう?案外戦ってみたら実は弱かったとかいうパターンは考えられないか?」


「その可能性は無くはないわ。あなたの言う通り、まだ戦った事のない正体不明の化け物だからね。ただ、速度の以外の戦闘能力が高いのは間違いないからそれ以外に付け入る隙があるとすれば、アレの知能の弱さかしら。観察して思ったのだけど、アレにはどうにも人の意思らしきものを感じないのよね。死還人ゾンビのように記憶が欠如して放浪している、という感じでも無かった」


「じゃあどんな感じだったんだ?」


「思考能力を奪われた上で、何かの命令をこなすようにプログラムされた意思なき人型ロボットのような……そんな感じよ」



 言われてみればそうだな。

 普通、僕たち死還人ゾンビ死還人ゾンビになった時点で人間としての言語を喋れなくなり、アーとかウーとかガーとか唸るような感じでしか喋れなくなる。

 そして、その唸るような声に自分が今発したい言葉をそのまま乗せて伝える事が出来る。

 仮にこれを死還人ゾンビ語としよう。

 僕や錬治、東や花木達みたいな声帯に改造を施して生きていた時のように喋る事が出来るという特例を除き死還人ゾンビは必ず死還人ゾンビ語を使用するようになる。

 理由は不明。

 ただ、それを踏まえた上でただ一つの例外がある事を僕達は知っている。

 それは、既存の死還人ゾンビに通常ではありえないような改造や手術を施した人間はその限りではないと。

 以前、神崎が拠点としていた病院で戦った奴らも死還人ゾンビであって死還人ゾンビではない戦闘マシーンのような奴らだった。

 思えばアイツらも死還人ゾンビ語を話す事は無かったし、今回この付近で目撃した原始解放をした死還人ゾンビも唸ったり叫んだりはしていたけどその声に言葉は乗っていなかった。

 触手で巨体の化け物も同じく。

 この事から、死還人ゾンビ語を話す事の出来ない人間でも死還人ゾンビでもない奴らは何らかの手が入った改造人間である可能性が高いのだろう。

 誰かが悪意を持って、何かしらの目的を果たす為に。



「はぁ……」


「ため息を吐きたい気持ちは分かるけど、今は現状をどうにかするのが先だから今は堪えて」



 違う。そうなんだけどそうじゃない。

 多分美桜も少し考えれば僕と同じような考えに行き着くとは思うけど、だからといってそれをわざわざ僕の方が先に考えついたからといって教えてやろうとは思わない。

 だって、言えば片っ端から化け物を殲滅して黒幕を炙り出すわよ!とか言い出しかねないから。

 そんなのはゴメンだ。

 僕はゆっくりまったり過ごしたいだけなんだ。

 何が悲しくてこんなバトル漫画みたいな展開に巻き込まれなきゃいけないんだ。

 そもそも最近そういう展開多過ぎない?

 神農製薬の幹部の話を聞いた時から何となくこんな感じの流れになるんだろうなとは覚悟していたけど、それでもやっぱり面倒だ。

 だから今のため息はそういう意味のため息だよ美桜。

 決して触手の巨体の化け物と戦うのが嫌だから吐いたため息なんかじゃない。



「なんだかんだ言ってもあなたのいざという時の戦闘能力は馬鹿にならないんだから、最終的には戦って貰うわよ?大丈夫。傷ついても私がしっかり治してあげるから」



 思考を読まれた!?

 そう言わんばかりにタイムリーな宣言を突きつけられてしまった。

 はー……分かりました分かりました。

 戦えばいいんでしょ戦えば。

 僕が真にニートが出来るようになるのはいつになるのかなぁ。

 美桜の協力が無ければいつかは体内のウィルスが消え失せて本当の死人になってしまうから渋々働いているけど、出来る事ならやっぱり働きたくはない。

 でもまぁしょうがないよなぁ。

 とりあえず了解したという意思を含めて美桜に目線を送ると満足そうに頷いて、東達とこれからの動きについて話し合いを始めた。

 僕はまぁ、話し合いが終わるまでゆっくりぼーっとしていよう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 鈴君が望むスローライフはスローライフを望む限り訪れないような気がする、物欲センサー的意味合いでw
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