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ゾンニート  作者: 竜獅子
第1章 ゾンビになった少年
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敵なら死んで下さい。

「ウガー?(なんでお前僕の言うことが分かるの?)」


「あ?んなもん勘だよ勘。お前らの言ってることなんか分かるかっつの」


「ガー(いや、分かってんじゃん)」


「だから勘だよ。別にお前の言葉を理解して喋ってるわけじゃねぇよ。俺は適当に喋ってるだけだ」


「ウガー……(んなアホな……)」



 そんなことがありえるのか?

 いや、実際ありえてるのだからありえるのだろうけど、何その奇跡的なシンクロ。

 僕が言ってることとこいつの言ってることが偶々一致して会話が成立しているようになっているだけなのか?

 つまりこいつの独り言?


 ……まぁ考えたら負けかなー

 今やゾンビが出現する時代だし、そんなことがあってもおかしくないか。

 よし。

 本題に入るとしよう。


 僕はまず、こいつが何者なのかを聞き出した。

 名前は遠藤知也(えんどうともや)

 歳は23。

 職業は元会社員。

 現在は引きこもり。


 割と普通な生活を送っていたが、世界がこんな状態になってしまった為に現在では趣味のゲームに没頭しているらしい。

 元々複数人で行うゲームが好きなようで、一緒にゲームをしていた友達が音信不通になってからは退屈な気分で日々を送っていて、そんなときに僕が現れたとのこと。


 今はとにかく何でもいいから対戦相手が欲しいらしい。

 それなら友達のゾンビ(になってるのかは知らないけど)を捜しに行けばいいのにと思うのだが。

僕からしたらいい迷惑だ。

 僕はこいつと違って一人が好きだからな。



「ガ? (てか貴重な電力をゲームなんか無駄なことに使ってもいいのか?そろそろ無くなるだろう?)」



 詳しくは分からないけど、多分水道や電気といったライフラインはそろそろ供給が止まるはず。

 非常時には人が居なくても自動で稼働する場所もあるのかも知れないが、長期的な運用は期待は出来ないだろう。

 そんな中でゲームなんか無駄なことに電気を使ってるこいつの神経が分からない。

 いや、こいつがどうなろうと僕の知った事では無いんだけども。

 むしろ多分こいつ僕達(ゾンビ)になったら僕と同じゾンニートになる気がする。

 ……仲間が増えるな。

 嬉しいような、嬉しくないような。



「お?まぁそれはあまり気にしてねぇよ。電気が止まったら外の倉庫に発電機があるし。多少騒音はするがゲームをするくらいの電気は確保できる」


「ガー (どんだけゲーム好きなのお前。僕達(ゾンビ)って聴覚はかなりいいからそんなの使ってたら集まってくるぞ?)」


「それについても気にしてねぇな。……ちょっと待ってな」



 遠藤が隣の部屋に行って何やらゴソゴソとしている。

 何かを探しているのだろうか?



『あれ?どこにやったっけな?確かここら辺に……ウゲ!腐ったオニギリが出てきやがった!うぉ!?蛆虫がめっちゃ湧いとる!?キショーー!!!?』



 ……どうやら大分苦戦しているようだ。

 まぁ、普段から片付けない遠藤が悪い。

 だから僕は手伝わない。



『ん?なんか柔らかいもの踏んだな?……ぬぁぁ!ゴキブリかよ!?ちょっ……!ティッ……ティッシュ!どこだどこだ!ってうわぁぁぁぁ!!?落ちてくんなぁぁぁぁ!!!』



 手伝わないったら手伝わない。



「はぁ……はぁ……クソ。酷い目にあった」



 一階はあんなに綺麗なのにな。

 二階もちゃんと整理整頓しておけよ。

 それで何を持ってきたんだ?

 遠藤が抱えているのは正方形の形をした銀色の箱。

 あれだ。

 よくお煎餅せんべいが入ってる箱だ。



「見て驚けよ」


「ガガ (勿体ぶってないでさっさと開けろ)」


「まぁそう急くな。……ほれ!」


「!」



 お煎餅せんべいの箱から出てきたそれは……



「ジャーン!拳銃だ!これさえあれば大抵のゾンビはどうにか出来る!弾もそれなりにあるしな!」



 紛うことなき僕達(ゾンビ)の天敵とも言える武器、拳銃だった。



「ガ (遠藤)」


「ん?どした?」


「ガーー! (お前敵。死ね)」


「ちょっ!っと待てー!?」



 よし。

 殺そう。

 駄目だこいつ。

 こんな物騒な物所持してる奴生かしておいても何の特にもならない。

 害虫は早期駆除。

 これ僕達(ゾンビ)も同じ。

 僕は確実に遠藤を殺すため、ガッチリと首を両手で掴んでへし折ることにした。

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