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ゾンニート  作者: 竜獅子
第2章 神農製薬
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出発準備です

「さて。以前話した通り、これから私達は壊滅した自衛隊のキャンプに武器を調達しに行く。現在私達の組織は57人と美桜君達三人の合計60人で構成されており、行動がしやすいように各20人ずつの三つのグループに分ける事にするのだが、何か意見のあるものはいるか?」



 意見、か。

 とりあえず聞いておこうか。



「何故わざわざ3つのグループにするんだ?別に同じ目的で同じ行動をするのだから全員一緒でもいいんじゃないか?」


「一応近くに自衛隊の連中が来ているという報告もあったからな。夜間にゾロゾロと人影が動いていればその分目立つしもしも大勢の死還人ゾンビを一網打尽に出来る罠でも仕掛けられていたらそれだけで全滅してしまう可能性がある。だから3つに分けて何が起こっても全滅だけは防ぐ為だ。どこかのグループが戦闘に入っても別の方向から加勢する事も出来るからな」



 なるほど。

 なんとなくグループ分けしている訳じゃないんだな。

 言われてみればもっともだ。



「他は誰か質問がある者はいるか?」


「私からも質問……というよりは要望ね。三グループに分けるのはいいのだけど、私達は三人でまとめて1つのグループに割り振ってもらえないかしら?その方が連携が取りやすいし一々別のグループを案じる必要も無くなるし」


「あぁそれは勿論そのつもりだよ。ここまで共にやってきた三人をバラバラにするなんて何の意味も無い愚行だからな」


「そう。ありがとう」



 おぉ。美桜達と別のグループにならなくて済むのか。

 僕はてっきり丁度三グループだから1人ずつ別々にされるのかと思ってた。

 それなら僕も何かあった時に動きやすいから助かる。



「他には何かあるか?人数分けに関する事じゃなくても疑問がある者がいれば聞いてくれ」


「それなら1ついいですかい?」


「なんだ?」



 あれは……東か。



「今回もし、自衛隊の人間と運悪くカチ合って、食人衝動が抑えられなくなった場合どうするつもりなんです?例えば3つのグループのうち1つのグループだけが自衛隊を襲撃するようになった場合とか」


「いい質問だ。それはまた話そうと思っていた所だ。もしも東君の言うような状況になった場合、全員で敵を迎えうつ事にする。我々に敵意を向ける者に容赦はしなくていい。ここにいる全員が先へ進める事を考えて動くんだ」



 この水先って男は案外仲間思いのやつなのかも知れないな。

 これだけの人数の死還人ゾンビを束ねるリーダーなんて余程高慢なやつなのかと思っていたけど、口ぶりから察するにそうではないらしい。



「殺しちゃいけないのは戦意の無い一般人だ。余程腹が空いていない限りは襲わないように。いいね?」



 死還人ゾンビであっても無闇やたらに人間を殺すような真似はしない、か。

 あくまでも怨敵は神農製薬。

 死還人ゾンビらしいと言うか人間らしいと言うか。

 水先も大概変わった死還人ゾンビだな。



「なるほど。了解しました」


「他は誰か何かあるかい?」


「…………」


「特には無いようだね。それじゃあグループを分けるから私が名前を呼んだ順に並んでくれ。まず……」



 それから水先によって三つのグループに分けられ、僕達は第3班に割り振られた。

 そして第3班には東と花木も一緒に割り振られていた。



「おっ!お前も一緒か!よろしくな!」


「よろしくね。藤堂君」


「こちらこそ」



 腕っ節は良いと自負していたし、この人達と一緒なのは心強いな。

 まだ不慣れな組織の中で知った人が多い事に越した事はないしな。



「あら鈴?この人達と知り合い?」


「あぁ。さっき水先の所に話を聞きに行った時に少しね」


「へぇ。そう。私は天袮美桜。よろしくね」


「俺は砂垣錬治だ。よろしく」


「もう既に妙な化け物と戦った経験のある人達と行動出来て心強いぜ!俺達の方こそよろしくな!」


「よろしくお願いしますね」


「それにしても……」


「ん?どうした鈴?」


「いやさ、東も花木もこの組織の中じゃ結構腕が立つって言ってたじゃん?だから僕はてっきり二人は水先がいるグループに振り分けられるのかと思ってたんだけど違うみたいだな」



 水先は第1班で僕達とは違う班にいる。

 死還人ゾンビとはいえ1つの組織のリーダーなら少しでも身を守る為に強い仲間を側に置きそうな気がするものだが。



「あぁ鈴が言いたい事は何となく分かるよ。なんで強い戦力をリーダーの水先さんの周りに固めないのかって事だろ?」


「そうそう」


「単純に俺達が居なくても何も問題ないからさ。ほら、あそこを見て」



 東が指を指した先には水先を取り囲むように2人の男と1人の女が立っている。



「彼らは俺達の中で最も強い人達なんだ。男2人は元機動隊員。女は空手の元黒帯。普通の人間でもただならない強さを持っていたのに死還人ゾンビになってから身体能力は更に跳ね上がってるからな。正直あの3人が居れば水先さんにはどんな危険も及ばない」



 そんな人達も居たのか。

 そりゃそれだけ強かったら他の戦力はば別のグループに回しても問題ないよね。



「それに水先さん自身も武道の経験者らしいからちょっとやそっとじゃやられないと思う。まぁそういうのもあって俺達は第3班に割り振られたんだと思うぜ。なるべく戦力的には均等にして少しでも被害を抑えたいって言ってたしな」



 自分だけ良ければいいって考えの人じゃないみたいだな。

 確かによく見てみると第2班にもみるからに屈強そうな人が数多くいる。

 第3班にも東や花木以外にもちらほらと強そうな人は多い。

 それに僕達だっている。


 勿論大半が普通の元一般人とは言え、全員が死還人ゾンビである事を考えたら充分に均等な割り振りなんだろう。



「……以上が各グループのメンバーだ。そして各グループの代表として、第1班は私、第2班は池森いけもり君、第3班は東君だ。これから私達は別々のルートで目的地で合流する為、その目的地までは代表の者の指示に従って行動してくれ。いいな!」



 おぉ!っという歓声が上がる。

 気合い入ってるなぁ。



「準備は整ったか?……よし!行くぞ!」



 僕達は水先の号令に従い、それぞれの代表に導かれて目的地へと足を進めていった。


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