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ゾンニート  作者: 竜獅子
第2章 神農製薬
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鈴の目覚め

あけましておめでとうございます。

恐らく多くの人が存在と内容を忘れてしまったであろう作品ですが、今年を皮切りにまた更新を再開させたいと思います。

まだ定期的にはいかないかも知れませんが、精一杯頑張るつもりです。

更新停止中、多くの方がブクマの解除をしなかったのはとても励みになりました。

またどうぞ「ゾンニート」を宜しくお願い致します。


また、関係の無い話ですがファンタジーものの短編を近々上げるつもりでいるのでそちらも読んで頂けると幸いです。

「……ね。………かも」


「……が………しょう」


「……く。……かい?」



 なんだ……?誰かの話し声が聴こえる……?



「……ない。……が、………では?」



 何を言っているのか聞き取れないな……



「……ね。でも、………しら?」



 これは……美桜の声、か?



「……あれ、……さんに……ます」



 こっちは錬治の声なのか……?

 ……駄目だ。意識が今ひとつハッキリしない。

 それに今僕はどうなっているんだ?

 起きているのか?眠っているのか?

 今の声が夢なのか幻聴なのか実際の話し声なのか、それさえも判断出来ない。



「……よ!………しょう!」


「……だ。……ない」



 ただただ思うのは、凄く耳障りだと言うこと。

 もう少し静かにしてくれたらもっとゆっくり休む事が出来るのに。


 ……休む?休むって、なんだ?

 僕はなんで今自分が休んでいるって思ったのだろう。


 考えるけど分からない。

 僕は休まなきゃいけないのか?別に休まなくてもいいのか?

 ……駄目だ。自分で自分の問いにも答えられない。



「……よ!……!?」


「……。……だ」



 なんかもう、面倒臭いな。

 何も考えたく無い。

 何も意識したく無い。

 このまま消えてしまっても良い。


 そもそも僕は何をしていたんだっけ。

 何を目的にしていたんだっけ。

 僕は生きているのか?死んでいるのか?



 僕は誰なんだ?名前は?性別は?



「……!!!」


「……な」



 知らない。分からない。どうでもいい。



「…………」


「…………」



 聴こえない。興味無い。



「…………」


「…………」



 ……消えたい。

 何が何かも分からないのだから、このまま消えたっていいだろう。


 考えるのもしんどい。意識するのもしんどい。

 なら、全部放棄してしまえばいい。


 もう、いいや。

 自分ごと、消えてしま……



『駄目!』



 何故?



『消えて良い人なんていない!諦めないで!』



 誰?



『誰だっていい!私がはあなたが消えるのを止める役目を持つ人』



 なんで?



『あなたは消えるべきではないから!今すぐあなたの世界に戻って!』



 嫌だ。



『あなたが居ないと困る人が見たら居る。あなたの為に悲しむ人が居る。その人の為にも帰ってあげて!』



 そんな人、居るわけない。



『居るわ!今もあなたのすぐ側であなたが目を覚ますのをずっと待っている!』



 嘘だ。



『そう思うのなら、自分の目で確かめてみなさい』



 面倒。



『それでも!早く、目を覚ましてあげて』



 少し、だけなら。



『それでいいのよ。その少しが、かけがえの無い時間になるのだから』



 お前は、なんなんだ?



『今のあなたに言っても分からないわ。……いつの日か、私達が会う日までの秘密よ。それじゃあね』



 待って。



『もう遅いわ。ほら、もうじきあなたは目を覚ま……の……から』



 まだ聞きたい事は……



☆★☆★☆



「何度言ったら分かるのよ!(れい)をこんな所に置いて先には行けないわ!」


「それはこっちの台詞だ。彼に対して私達は最善の手を尽くした。持ち得る限りの技術と知識を使って彼の治療に努めた。だが、にも関わらず彼は一向に目を覚ます気配が無い」



 ん……なんだ……?誰かの話し声……?

 この声は……美桜みおともう1人は男のようだけど知らない声だな。


 それよりもここはどこなんだ?

 僕はベッドの上に居るようだけど眠っていたのか?

 ここに来る前は僕は何をしていたっけ。

 色んな記憶が錯綜してきちんと思い出せない。


 何か変な夢を見たような気もするけどそれも思い出す事が出来ないし。

 とりあえず2人が何か取り込み中のようだから一先ず静かに待っておこう。



「まだ時間が掛かるだけよ!」


「そう言い続けてもう2ヶ月が経った。これ以上は時間のある無駄だ。こうしている間にも人間は死還人(ゾンビ)に向けて対策を立て始めているんだ。もたもたしている間に人間の態勢が整ってしまったら復讐どころの話じゃ無くなるんだ!」



 おぉ。復讐て。

 美桜みおと似たような事言ってるな。

 普通に喋ってるし生きた人間なのか?

 あれ?でもその割には死還人ゾンビの本能がそこまで働かないな。

 んん?



「それはそうかも知れない!でも、だからってれいを置いて先には進めない!」


「何故そこまでその男に固執するんだ?何か特別な理由があるのか?」


「特別な理由なんて無いわ。……でも、れいには側に居て欲しいの。錬治れんじだってそう。この2人は私の大切な仲間なの。どちらだって、欠けさせたくない」



 美桜みお

 僕達の事をそんな風に思ってたのか。

 付かず離れずお互いがお互いの利益の為に一緒に行動しているものばかりと思ってたけど……そうじゃないみたいだな。



美桜みおさん……」



 あ。錬治れんじ、ちょっと嬉しそう。

 あれ?でも錬治れんじって普通に喋れなかったよな?何時喋れるようになったんだ?



「はぁ……神農製薬の幹部と手を組めたと思ったら、とんだお荷物だったようだな。後12時間だ。後12時間以内に彼が目を覚まさなかったら私達は君達を置いて先に行かせてもらう。これ以上の譲歩はしない。いいな?」


「……分かったわ」



 あの男、一体何者なんだろう?エラく美桜みおに強気で話しているけど。

 てかこれ僕の話をしているんだよね?僕もう目は覚めてるし声を掛けたら解決なんじゃ?


 んー……分からない事が多過ぎて色々ヤバいな。

 とりあえず話しかけてみるか。



「えっと、美桜みお?色々聞きたい事はあるんだけどさ、その、おはよう?」


「…………!」


「あれ?美桜みお?ってうわ!?」


れい!良かった!目を覚ましたのね!良かった……!本当に良かった……!」



 美桜みおが僕に抱きついきて、更に泣いている。

 そんな嬉しかった……もとい心配させていたんだな。

 なんか申し訳ないな。

 僕としては何があったのか全く理解出来ていないから反応に困るとこなんだけど。



「良いタイミングで目を覚ましてくれたね。初めまして。藤堂鈴とうどうれい君。君が眠っている間に色々と事情が変わってしまったから、詳しい説明は私の方からさせてもらうよ」



 説明してくれるのか。それはありがたい。

 今の状況、僕自身の事も含めて何にも分からないからな。



「私は向こうの部屋に居るから落ち着いたらまた話しかけてくれ。今は彼女を労ってやるといい。とても心配していたからね」



 こんなに弱った美桜みおを見るのは初めてだ。

 いつもあんなに気丈に振る舞っているから精神的には凄い強いものだと思っていたのだけど……

 今は美桜みおの話をゆっくり聞かせてもらおう。

 美桜みおがこんなになっているのも、僕が関係しているみたいだしな。






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