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ゾンニート  作者: 竜獅子
第2章 神農製薬
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ケースの中身です。

「予想通りと言えば予想通り、なのかしらね」

「なんともまぁ…だが、何も無いよりはマシじゃないか?」

「ガーウア(それでも、少し心もとないものがあるな)」



 13あったアタッシュケースの中身はまず、7つが非常用食料や医療キットなどで戦闘に役立ちそうな物は無かった。残りの6つには武器がちゃんと入っていたのだが、そのうち2つは死還人(ゾンビ)達がボコボコにしたアタッシュケースの中に入っていた物で、その衝撃が中にまで伝わってしまっており使用不可能な状態になってしまっていた。無事だったのはたった4つだけ。その中に入っていた武器もM4カービンという小銃が一丁と、ニューナンブ57という拳銃が二丁、それに手榴弾が4つにカスタムパーツとキットが一式揃っているというものだった。

ケースの数と大きさに対して中に収められていた武器の数が少ないのは多分既に誰かが持ち出したからなのだろう。


 拳銃二丁に小銃一丁、手榴弾が4つ。

 とてもじゃないが相手が聞いた限りのままの化物相手だとこれだけじゃ戦力不足を否めない。美桜はどうするつもりなのだろう?



「もうちょっと良い武器が入ってるのを期待したのだけど…エイリアンが攻めこんで来たわけじゃないし、使用許可が出せる武器もこの程度なのでしょうね。ただ、自衛隊の標準装備ではない武器も混じっているからどこか別の所から援助を受けたのかしら?……まぁ別にそんな事はどうでもいいわ。鈴の言う通り何も無いよりはマシだし、二人はそれぞれ拳銃を一丁ずつと手榴弾を一つずつ持ってて。残りは私が持つことにするわ」



 単純な戦力を考えると美桜が一番火力のある武器を所持するのは当然のことだろう。

 いくら半死還人(ハーフ)とはいえ、元は女だ。その力には限界がある。プロテクターのような物もあれば良かったのだが、無いものをねだってもしょうがない。



「ウガウ(俺は別に武器は要りませんよ?美桜さんが持っていて下さい)」


「僕もだな。少なくとも美桜よりは強いつもりではいるし、いざとなった時それが必要になるのはまだ人間に近い美桜だ。少なくとも僕達が持つものじゃない」


「馬鹿言わないで。あの二人は…もう一人はともかく葉崎は私達が所持している武器より強力な物を持っているのよ?仮にもし銃を乱射されたりしたら誰が生き残るか分からない。それなら少しでも平等に武器を持っていた方がいいでしょう?」


「だからだよ。美桜、少し焦り過ぎだ。僕達が初めて会ったとき美桜は何て言ったのか忘れたのか?……神農製薬の本社まで護衛をしてくれって言ったよな?その引き換えに僕は常に活動し続けることの出来る肉体に改造してくれるって」


「それは、そうだけど」


「なら、美桜は安全な場所で僕達をサポートしてくれたらいい。仮に僕達が破壊されたとしても死なない限りは元の姿に直すことぐらいわけないだろう?だから、危険な仕事は僕達に任せて、美桜は強力な武器で身を固めてくれ。美桜が居ないといずれ僕も活動出来なくなるんだからさ」


「鈴……」



 はぁ、もう。

 こんな言葉がつらつらと出てくる辺り、精神的面でも既に生前とは違ったものになってしまったみたいだな。

 以前は自分から働きたいなんて思いはしなかったのに、今は自分から働かせろと言っている。

 これが死還人(ゾンビ)になったことによるものなのか、それとも別のことが原因なのかは分からないが、考えるのも面倒だ。

 僕は自分の目的を達成出来ればそれでいい。

 だから絶対に、美桜を危険な目には合わせられない。



「……そうね。鈴の言う通りだわ。少し焦っていたのかも。ごめんなさい」


「気にしなくてもいい。復讐の相手の手掛かりが見えそうになってるんだ。焦りもするさ」


「ありがとう。よし!それじゃ行くわよ!」


「おう!」


「ウガー!(はいよ!)」


「いざとなったら鈴が捨て身で私の盾になってくれるからね。錬治も危なくなったら鈴を盾にするのよ?」


「ウガウ!(了解です!)」



 あ!こいつ!

 …全く。

 さっきまでの変な雰囲気はどこに飛んだのやら。

 まぁでも、いつもの美桜に戻ったみたいだし良しとするか。



「流石に二人を完全に守りきれるとな思えないが…まぁ頑張るさ。それで?最初はどこから行くつもりなんだ?」


「どこって?」


「ほら、いきなり二人に会いに行くって言ってもさ、葉崎は避難所に戻るとだけしか言って無かった。その避難所も多分この近辺にある場所の筈だからすぐに辿りつけれるだろうけど。適当に一つ一つ回ってみるか?」


「あぁ言われてみればそうね。適当に追いかけてたらそのうち会えると思い込んでいたわ。でも当然向かうのはどこかに設営されている避難所よ。葉崎からもらった地図にマークされてある。手掛かりが無い以上適当に回っていくしか無いわね」



 渡された地図には5つのマークがついている。

 葉崎がこれから先避難所に立ち寄ることがあれば情報を流してくれと言ってつけてくれたものだ。



「ガーゴ?(避難所に行って会えなかったらどうするつもりなんです?)」


「当然情報収集よ。同じ自衛隊の人間なら他の避難所との連絡設備も整えているだろうし、本部がどこにあるのかも知っていなきゃ嘘よ。仮に連絡設備が整ってなかったとしても、ヘリコプターとかトラックとかの乗り物でピックアップしてから本部で直接報告するつもりならその集合ポイントも知っているでしょうし」


「ガ?(でも一般人の俺達にそんなことを教えてくれるものなのでしょうか?)」


「その辺は大丈夫だと思うわ。ちょっとしたツテならあるし、この惨状の原因である神農製薬の幹部格の人間だって言ったら嬉々として本部に連れていくに違いないもの。事実を知る貴重な証言者だからね。元々この地図のマークもそれを期待してつけてたみたいよ」



 となると目の前に役所が建っているから……

 今のこの場所から一番近いのはこの避難所だな。



「まぁどちらにしても行ってみないことには始まらないし、とりあえず行ってみよう。ここから一番近いのはこの避難所だ」



 そう言いながら美桜に地図を見せる。

 特に反応が無いから問題は無さそうだ。



「ガガ!(いよっし!そんなら行きますかっ!)」


「道案内、頼んだわよ。ここら辺は少し疎いから」


「了解」



 距離的には数㎞だ。

 大した時間を掛けずに行けるだろう。

 何事も無ければいいのだが。



本っっっ当にごめなさい!

長いこと所用で更新出来ず、やっと更新出来たと思ったらこの文の薄さと量の少なさ…

なるべくこれからは元のように定期的に更新出来るよう頑張るつもりなのでまたこれからもよろしくお願いします!

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