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ゾンニート  作者: 竜獅子
第2章 神農製薬
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回収です。

「……それで?これからどうするつもりなんだ?」



 美桜と男が話を始めてから十数分。

 話の内容は僕に話してくれたものと大差は無く、美桜はそれを興味深そうに、それでいてどこか腹立たしそうな感じで聞いていた。

 やはり何か思い当たる所があるのだろうか?



「とりあえず葉崎達の後を追うわ。確かあのビルの近くにある避難所に向かうとか言っていたわね。距離もそう遠く無いし、今日中には到着できる筈。あなたもそれで良いわね?砂垣錬治(すながきれんじ)

「ガーウガ(問題ありません)」



 男の名前は砂垣錬治(すながきれんじ)と言うのか。

 そう言えば名前を聞いて無かったな。

 聞く必要性も感じなかったし。

 でも、少しの間とは言え行動を共にする以上お互いに名前を知っておかないと何かと不便か。



「なら、よろしく。砂垣錬治さん。僕の名前は藤堂鈴(とうどうれい)です」

「ガウア(よろしく。鈴君。良かったら俺の事は錬治と呼び捨てにしてくれ。敬語も不要だ。その方が楽だからな。美桜さんもそうして欲しい)」


「了解」

「はいはーい。よろしくね錬治。それじゃ出発!……と、行きたい所なんだけど」


「?」

「鈴、錬治、ちょっと寄り道してから行くわよ」

「ガ?(別に構いませんが……どこに行くつもりなんです?)」


「ふっふーちょっとした戦力強化よ。死還人(ゾンビ)二人に半死還人(ハーフ)が一人とは言え、自衛隊と正体不明の女の子を相手取るには少し心もとないわ。だから……」



 あぁ。

 あれか。



「自衛隊の落とし物をちょっと拾いに行きます!鈴、葉崎から貰った地図がこれ。ビルの外に出たら地図に記されている位置の方角を言うから比較的死還人(ゾンビ)が集まってる場所を教えて」

「分かった」



 僕達はビルの外に出ると美桜に指示をされた方角に耳を澄まして音の判別をして、足音が多い所から順に地図に記された場所に向かっていった。


 GPSが使えればこんな面倒なことをしなくても良かったのだけど、残念ながら手持ちの装備ではそういうことは出来ず、大体の方角へ向かいながら自衛隊の落とし物に興味を持って集まっているであろう死還人(ゾンビ)の集団を目安にその位置を目指すしか無い。


 ……そう言えばあのビルに行くときに感じた複数の視線や気配がいつの間にか消えていたな。

 どこかに移動したのだろうか?

 別に気にした所で何かあるわけでは無いが少し気になるな。

 とは言え後を追えるわけでも無いし、僕は僕の役割を全うすることにしよう。



 1つ目の集団……ハズレ。

 2つ目の集団……ハズレ。

 3つ目の集団……ハズレ。

  ・

  ・

  ・

 6つ目の集団……ハズレ。



 こうして周囲に真剣に気を配って探索してみると思っていたよりも死還人(ゾンビ)の集団は数多くあり、それぞれがまとまった意思を抱いて活動していた。


 人を喰べたい者殺したい者。

 生前の真似事がしたい者。

 自由きままに活動したい者。

 恨みのある者へ復讐がしたい者。


 僕が居た街では個人がバラついて行動している者が多く、集団で行動しているのは一部しかいなかった。

 地域による差……なのだろうか?

 本当分からないことだらけだな、死還人(ゾンビ)ってのは。


 そうしてゴチャゴチャと考えながら散策すること9つ目の集団でようやく目的の場所に辿り着けた。

 銀色のアタッシュケースがいくつも散らばっており、かなり頑丈なのか所々無理矢理開けようと壊そうとした形跡が残っている。


 相当開かないことに苛立ったんだろうな。

 角を中心にボコボコじゃないか。

 どれだけ叩きつけたんだよ。



「いやー見事なまでにボロボロねぇ。よし、それじゃ鈴、錬治。あのアタッシュケース全部回収してきて」

「ん?僕達が行くのか?」


「そ。喋れる死還人(ゾンビ)なんて不自然極まりないし理由を聞かれるのも面倒だからね。適当にあなた達で話をつけて回収してきて」



 ま、それもそうだな。

 ざっと見数は10数個。

 二人で手分けして運べば一回で済むか。



「それじゃ錬治はあっちに散らばってるアタッシュケースをお願い。僕はあっちのを回収してくる」

「ガウガ(はいよ。すんなり渡してくれればいいがな)」


「最悪強引にでも奪えばいいさ」

「ガ(だな。それじゃ行ってこようか)」



 よし、まずはこの見向きもされていないアタッシュケースから……



「ガウガ?(どうした?それが欲しいのか?)」



 おっと、さっそく声をかけられたか。



「ガーウガー(えぇ。なんとなく珍しいものなので貰っていこうかと。駄目ですか?)」

「ウガガ(いや、持っていくのは別に構わないが多分中身は取り出せ無いぞ。自衛隊らしき連中が残していった物なんだが大事な物でも入ってるらしくて中々破壊して中身を取り出せ無い。俺達も結構殴ったり叩きつけたりしたんだがな。歪むのは側面だけさ)」



 自衛隊が落としていったってことはやっぱり知っているのか。



「ガーアー(別にそれでも構いません。僕はただこの不思議なイライラを何かにぶつけて発散させたいだけなので。むしろ頑丈過ぎる方が丁度良いんです)」

「アーウ(あーなるほど。お前はそういうタイプの奴なんだな。よし、持ってけ持ってけ。好きなだけ発散させるといい)」

「アー(ありがとうございます)」



 チョロいな。

 やはり相手は死還人(ゾンビ)。他人を疑う必要も無いからすんなりと僕の嘘に騙されてくれた。

 まぁ元々既にこれに興味を無くしていたってのもあるのだろうけど。

 これなら他のもすぐに回収出来そうだな。


 そして僕の読みは正しく、最初の死還人(ゾンビ)に話したような内容でアタッシュケースの回収の際に声をかけてきた死還人(ゾンビ)に理由を話すと難なく回収することに成功した。

 その数7。

 確認していた5つの他にどこからか更に2つ持ってきてくれたのだ。

 少々運びにくくはなったが結果オーライだ。余計なことは気にしない。


 そうして僕が美桜の所に戻ると丁度錬治も回収を終えたみたいで、両手で6つのアタッシュケースを抱えて歩いてきていた。

 これで数は13。

 この中にどれだけ使える物が入っているのやら。

 当然回収してきたアタッシュケースの中には半壊と言っても差し支え無いほどにボロボロになっている物もあり、中身にまで影響を及ぼしていそうな物がいくつかある。

 他のも無傷な物は一つも無い。

 中身が無事ならいいのだけど。



「さて。それじゃ一つずつ鍵を開けていきましょうか」

「でもどうやって開けるつもりなんだ?」


「ピッキングよ」

「ピッキング!?軍用のアタッシュケースをか!?」


「何をそんなに驚いているのよ。そんなに珍しいものでも無いわ」

「いやいや、普通あり得ないから!」


「そうかしら?死還人(ゾンビ)の存在よりはあり得る話だと思うけど?」



 それと比べられたら否定のしようがありませんよ美桜さん。

 難しいことは考える方が馬鹿を見そうだな……

 よし。

 美桜だからなんでもオッケー!

 そう考えよう!


 美桜はポケットから見たことも無い形をした工具をポケットから取り出すと、ガチャガチャと作業をすることを数分。

 アタッシュケースからカチャ、と鍵が開く音が聞こえた。

 そしてそのまま中身を確認しないまま他の鍵も順に開けていき、三十分も経つぐらいには全ての鍵の解錠を終えていた。



「ま、こんなもんかしらね。さ、確認確認」


「ガーガ(なぁ鈴よ)」

「ん?」


「ガーア(美桜さんって結構万能な人なのか?)」

「さぁ?どうだろう?でも頭が良いのは確かだし、まだ困り果てた美桜を見たこと無いから大概のことは出来るのかもしれないな」


「ガー(そうか)」

「あぁ」


「はいそこー!何駄弁ってんのよ。あなた達も中身の物が使用出来る状態にあるか確認して」


「はいよ」

「ウーガ(了解です)」



 中身はどんな物が入っているのかなっと。

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