事後処理です。
さて、と。
黒幕の神崎を倒したのは良かったけど、その後の処理が大変だった。
まず、一番最初の難関……というか面倒だったのが松本だ。
『お、お前達!?一体何なんだ!?任せるとは言ったが、一体何なんだ!?』
これが松本の第一声。
『しかも、あの男を……喰べたのか!?嘘だろう!?この化もぐへぇ!?』
どこから見ていたのかは知らないが、とりあえず適当なことを言って美桜を馬鹿にした松本にボディブローを食らわして黙らせることから始めて、
『ゾンビ!?お前達ゾンビなのか!?いやでも兄ちゃんも姉ちゃんも大した傷一つ無い普通の人間ひぃぃぃぃぃ!!?』
事の顛末を話すと馬鹿丸出しで騒ぎ始めたので、物分かりの悪い馬鹿でも分かるように手っ取り早く僕の首の縫合を美桜に解いてもらい僕が死人である証拠の致命傷を見せてやる。
初めて出会った時には動転していたのか、僕の首の傷に全く反応していなかったようだが、こうして落ち着いて話すことによってようやく僕の傷が異常なものであったことに気づく。
手術をしなければいけないと言われた時点で気づくべきなのだが、こんな世界じゃ他のことに気を割くことが難しいのは僕も理解しているので敢えてそのことには突っ込まないことにする。
ただ、それを見せるために傷口を開くことで黒い血がボトボトも流れ落ちて僕は少しスッキリしたのだが、普通の人間の松本からしたらかなりショッキングなシーンだったようでしばらく嗚咽を漏らし続けてグロッキーな状態になったので、
『お、お前達は俺達の敵なのか!?味方なのか!?どっちなんだ!?』
それが回復するのを待ってやったのに回復するや否や始まった松本の質問に対し僕達二人でハッキリと
『敵じゃないわ。味方よ』
『テキナラクイコロシテル』
味方であると意思を伝えてやって、それでも何故か信じようとしない松本を宥めるにまたしばらく時間を使うこと一時間。
美桜の必至な説得によりどうにか信じてもらうことに成功した。
時折美桜の口元を見てビクビクしていたのは気のせいではないと思う。
いや、別に気のせいでもいいんだけどとにかくこいつビビり過ぎ。
そしてテンパり過ぎ。
たったこれだけのことを説明するのに一時間以上も費やすとは思わなかった。
僕達がやらなきゃいけないことはこんなことだけじゃないのに。
騒がしい松本を納得させると、次は松本の本来の目的である仲間の救出に僕達は向かった。
病院内に居た人間の殆どは神崎の手によって半化物化されており、人間としての自我はちゃんと保ってはいるが肌の色が変色し始めている人が多く、美桜曰く
『このまま放っておいたらいずれはあの化物のようになっていたかもしれないわね』
とのこと。
人を喰い殺した美桜ではあるが、良心や慈悲の心を失った訳ではないようで、病院内に遺されていた神崎の研究資料を見るや否や、すぐに半化物化した人達の治療に取り掛かった。
とは言え治療と言っても単純なもので、ただ単に体中の血液を真新しい新鮮なものへと移し変えるだけ。
しかも病院の非常電力が正常に作動し、保存されていた血液なんかは皆無事だったので手間と時間がかかるだけで大した問題が発生すること無く無事全員の治療を終えることが出来た。
神崎の研究資料を信用をするなら二週間もあれば元の体に戻るらしい。
僕達の特徴や、美桜のような特徴は勿論、化物としての特徴が発現する可能性は限り無くゼロに近いことを説明すると、初めは信用していた神崎にそんなことをされてショックを受けていた人達もその言葉でかなり救われたようで皆歓喜して美桜に感謝の意を述べていたのは中々に印象深かった。
あまり人に感謝されることに慣れていないのか美桜は終始素っ気ない感じで照れているようだったが、今思い出すと少し可愛らしかったようにも思える。
この治療に連続5日間ぶっ続けで行っていたのでそろそろ美桜に休んだらどうかと提案したのだが、僕のその提案は瞬殺された。
と言うのも
『駄目よ!折角奇しくもあの馬鹿のお陰でいいアイデアが思い浮かんだんだから!』
と言って今度はあの第三外科病棟に走っていって、新たに治療を開始したからだ。
そしてその治療を受けているのが僕。
僕は今、手術台の上に寝かされてまた前みたいに気持ち悪さを耐えながら美桜の手術を受けている。
一体どんないいアイデアが浮かんだのかは知らないが、僕としてはあまり良い予感はしないな。
まぁ、どうしても僕に合わなさそうなら無理にでも断るとしよう。
……とまぁこれが神崎を殺してからの僕達のダイジェスト。
細かい話が多くてちょっと僕らしく無かったかな。
なんにしても、後少しで病院を発てそうです。




