拷問です。ヤバイです。
「さて……と。思った以上に荒らされているわね。設備が生きているのがせめてもの救いかしら?」
「ウガ? (大丈夫なのか?)」
僕達が手術室に入って真っ先に目に入ったのは、床に散らばったメスやら鉗子などの手術道具にビンに入った薬品らしき物だった。
病院と言うだけあって怪我人がここにかなり訪れたのか、当時のその状態がどれほどメチャクチャな感じだったのかが目に浮かぶ。
考えれば当たり前のことなのだが、外があんな感じな以上中はそんなに荒らされていないと思い違いをしてしまっていた。
僕と、そして美桜も。
「ちょっとここまでとは予想していなかったわ。機材や設備はともかく各手術に必要な道具に、特に薬品がゴッソリ無くなっているわ」
「ガーウ? (他の場所から持ってくることは出来ないのか?)」
「ここがこれじゃ他の場所も望みは薄いでしょうし、何よりこの手術室が豊農大学病院のメインとなる手術室だったから一番薬品やら道具の予備が隣の部屋に置いてあったのよ」
「ウガウ? (じゃあここでは出来なさそうか?)」
「まさか。出来るにはできるわよ。ただし、8割は無理ね。出来て3割。それでも良かったら手術を開始するけど、どうする?」
言うまでもない。
「ガウガ (別に構わない。やらないよりマシだ)」
「その通りね。それじゃそこの台に仰向けに寝転んでもらえるかしら?」
「ガー (了解)」
僕は美桜に言われるままに台の上に登って寝転ぶ。
「…………」
「ん?どうかした?」
いや、あれだな。
手術ってものを僕は生前一度も受けたことは無かったけど、その風景ならドラマや映画で何度も観たことがある。
台の上に麻酔で眠った患者が居て、その患者を照らすライトがあって、周りには執刀医と複数の助手。
助手こそ居ないが、今の僕はまさにその状態で、しかも意識が覚醒したままこれから手術を受けると思うと何だか感慨深いものがある。
「ま、いいわ。手術中は絶対に動かないでね?どうせ痛覚は無いのでしょう?……動いたら動いた分だけ失敗の確率が上がるからそのつもりで」
「ガガ (脅かすなよ。大丈夫大丈夫)」
「そう?それなら良いのだけど。結構ショッキングな画になると思うから目をつぶっていることをオススメするわ」
「ガ? (ん?そりゃどういう――――」
「それじゃ行きまーす」
「ガウ! (あっ!ちょっと待っ!アーーーーー!」
つ、痛覚は無いけど!
触覚は生きてる!
あっ!
腕にメスが!
足にも!
てか僕の血!超黒い!キモい!えっ!?
あっ!
何か縫われてる!
プスプスなんか刺さってる感じがする!
皮膚が腐ってるのかペラペラして縫いにくそう!
あっ!
ちょっと待って!
変な薬品切った所に流し込まないで!
サラサラと変な感じだ!
え?
今度は寝そべれって?
一体何を……
んーーーー!
背中!
背中背中!
絶対これ裂かれてる!
丁度背中のど真ん中の肉が裂かれてる!
え、これ大丈夫なの!?
あぅあぅあぅあぅあーぅ!
背中に手を突っ込んで掻き回すなぁぁぁぁぁ!
気持ち悪いぃぃぃぃ!
「あ!ちょっと動かないでよ!」
無理!
なんか気持ち悪い!
スッゴい気持ち悪い!
「もーー!やっぱりこれ使わないといけないのね!」
ん?なんだそりゃっ……ってそれ!
拘束具!
「全身固定っと」
身動き取れなくなった!
ゴソゴソもモゾモゾも出来ない!
待って待って!
これを動かずに耐えろと!?
「ついでに目隠しも」
しかも目隠しまで!?
何が起こってるのか分からない!
でも、どこが弄くり回されてるのかはよく分かる!
え!何この拷問酷い!
「よしっと。……後三時間もあれば終わるかしら。チャッチャとやっちゃいましょうか」
後三時間もあるの!?
だ、誰か……!
誰か助けてくれーーーー!!!
突然ですが、作者の都合によりこの作品の投稿を11月26日まで停止します。
その代わりと言っては何ですが、更新停止中にも少しは執筆するつもりでは居ますので26日にそれを執筆した分だけ一度に投稿します。
長い時間が空いてしまいますが、これからもゾンニートをよろしくお願いいたします。




