結構苦労をさせました。
「……よし。着いたぞ。この梯子を登っていけば病院の中に入れる。俺が先に行くから着いて来てくれ」
そう言うと男は身軽そうにカンカンと音を鳴らしながら梯子を登っていく。
僕に対するあてつけかこの野郎。
「大丈夫?登れる?」
「ウガ (正直かなりキツイ。……とは言え登らないわけにもいかないからな。駄目なのを前提に頑張ってみるさ)」
「分かったわ。それじゃ私はあなたを下から支えるから先に登って」
「ガ (了解)」
僕は梯子の一段目に足を乗せ、梯子のサイドをガッチリと掴む。
そして二段目に足を乗せようとするのだが……
「っと!大丈夫なの!?二段目からそれって相当よ!」
乗せて登ろうとした瞬間にバランスを崩して後ろに倒れそうになってしまう。
でも、美桜が下から支えてくれてはいるからそこまで酷くはない。
感覚的にはいけそうだな。
「ウーガ (申し訳ないけど、下から支えくれていたら時間はかかるけど絶対に登りきることが出来る。今ので確信が持てた)」
「もう……その言葉信じるわよ?」
「ウガ (任せろ)」
☆★☆★☆
「お、おい?大丈夫か?」
「はぁ……はぁ……気にしないで。大丈夫よ……」
「………………」
美桜の協力のお陰で無事僕は梯子を全て登りきることが出来た。
途中何度も落ちそうにはなったのだけど、そこは美桜の執念で僕を支えてくれたので一度も落ちることは無かった。
その分美桜の体には相当な負荷がかかったみたいだけど。
帰りは意地でも表から帰ってやる。
「ん、そ、そうか。それじゃ俺に着いて来てくれ。仲間が居るところに……」
「待って。先に彼の治療をさせて」
「あ、あぁそうだな。どこで治療をするつもりなんだ?」
「近くに手術室があるからそこで行うわ」
「……そんなに酷いのか?」
「今は止血でどうにか保っているけど、このまま放置していたら後数十分も持たないわ」
「……分かった。時間はどれくらいかかりそうだ?」
「数時間程度かしら?それまで待てる?」
「正直厳しいが……まぁ大丈夫だろう。それなら俺は先にここのリーダーに話をつけてくるから、勝手に治療を始めておいてくれ。ある程度したらその手術室まで迎えにこよう」
「お願いするわ。ありがとう」
男はそう言い残すとこの病院を仕切っているリーダーの元へと戻っていった。
……これだけの厳戒な体制をとるリーダー。
どんな奴なんだろうな。
「それじゃ行きましょうか。全てとはいかないけれど、8割方はここで体の強化が出来る筈よ」
まぁどんな奴がリーダーでも対した問題では無いだろう。
今は僕の体が先決だ。
「ガウア (それだけでも充分だ。よろしく頼む)」
「えぇ。勿論」
そうして僕達は手術室へと移動していった。
現実的に考えて出血多量で残り数十分の命と言われている人が、それも怪我をした所が首なのに普通に行動できるわけありませんよね。
それに気づかないのはやっぱり、こんな世界が故に正常な判断が下せなくなった為でしょう。




