走るの頑張りました。
「ガァァァァァ!!! (うぉぉぉぉぉぉ!!!)」
こ、ここまで来れば大丈夫か?
「ウーア (拓也、そろそろ大丈夫か?)」
「ガ! (はっ!う、うん。ありがとう、鈴。もう大丈夫ですよ」
良かった……
これ以上足に負担をかけると流石に壊れそうだったからな……
まさかあんな形で人間に遭遇するとは……
今度からもっと気を付けないといけないな。
「アー (後は……美桜が戻ってくれば問題無しか)」
「ア (ですね)」
……んー?
それにしても遅くないか?
そこそこ速い速度で走ってきたけどあれからすぐに解放されたのなら僕達に追い付いていてもおかしくは無い筈。
何かやっかいごとに巻き込まれたか?
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……あなた……速いわね」
違う。
美桜の身体能力がすこぶる悪いんだ。
ほんの数百mの距離を走っただけで息切れをおこしてやがる。
美桜にとっての過度な疲労はこの程度なのかよ。
「ウガ (違う。美桜が遅いだけ。……人間的にも、死還人的にも。研究者なのは分かってるからもうちょっと頑張ろうな?)」
「うるさいわね……研究舐めないでよ?ここ数年運動という運動をしてないのだからしょうがないじゃない。私研究者。運動必要無い」
……なんだろう。
美桜もゾンニートの素質があるような気がしてきた。
……半死還人で良かった。
「……アーガー? (所で美桜さん?少しお尋ねしたいことがあるのですが宜しいでしょうか?)」
「あら?何かしら?」
「ガーウ (先程の一件、仕方がないとは言え、僕のことを研究資料扱いしたことに深い意味は無いのですよね?」
おぉう……
拓也が優しい笑みで美桜に話しかけてる。
そう言えばこいつ、拓也のことを完全に物扱いしてたな。
拓也が不快に思うのは分かるが……美桜はどう切り返す?
「まさか。あんなの出鱈目よ。いくらあなた達を調べた所でワクチンなんか出来るわけ無いし、出来たとしてもそんなことやるつもりなんて無いわ。何が楽しくてそんな面倒なことしなくちゃいけないのよ。時間の無駄にも程があるわ」
「ゴガーウ? (その言葉、信じてもいいですね?)」
「えぇ。構わないわ。別に人間なんてどうなろうが私の知ったことではないわ。死ぬも生きるも好きにすればいいのよ」
「ガ (なら、いいです)」
お、丸く収まったな。
……てか美桜、もしかしてウィルスの影響が出始めてるのか?
若干考え方が僕達寄りな気がしないでも無いが……
まぁ美桜は美桜だ。
こいつが何をどうしようと僕にはさして関係ない。
よし。
それじゃ移動を再開するとしようか。
例の本屋まで後数㎞!




