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ゾンニート  作者: 竜獅子
第1章 ゾンビになった少年
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拒絶反応です。はい。

「ガ (よっと)」


「ウーガ (あ、そこガラス片と瓦礫が転がってます。ここら辺は随分と物が散乱してるみたいですね)」


「ガウ (お、了解。まぁこの街のメインとなる道路だしな。感染爆発(パンデミック)初期には相当な人間が往来したのだろうし、こうなっていても不思議じゃない)」


「あなた達……きゃっ!?もー!!!何なのよここ!てかあなた達異常よ異常よ!さっき聞いたけどここまでとは思っていなかったわ!」 


「……ゴーウ (……何がだ)」



 僕達は今、ショッピングセンターを出てから大体1㎞程離れた道路を歩いている。

 出発し始めの時はまだ日が沈みきっておらず、薄明かるさが残っていたものの、今では完全に日が沈み、明かりという明かりは無い。


 街灯やネオンも一切電気が通っていないようで、360°どこを見ても真っ暗である。

 なので僕はロクに前が見えない美桜から拓也の車椅子を預かり、散らばっている物を避けながら歩いているのだが……



「何がって、あなた達の視力に決まってるじゃない!?あなた達の視界が今どんな風に見えているのかは分からないけど、私からしたら自分の足下が見えない程に真っ暗なのよ!?それなのにあなた達ときたら……!」



 何故か理不尽な怒りをぶつけられている。

 だってしょうがないじゃん。

 確かに人間基準で見たら真っ暗かもしれないけど、僕達からすれば全然明るいのだから。


 街灯やネオンが無くても僕達は屋外であれば基本どれだけ真っ暗でも物を見ることが出来る。

 何故か?

 それは僕達の頭上で光輝くお月様のお陰である。


 これのお陰で僕達は必要な光源を得ることが出来ているから500mくらい先なら人間が来ても多分人数くらいは判別出来る。


 勿論新月の日とか、雨とか曇りの日はその限りじゃ無いんだけどねー

 いやー月って本当偉大だわー

 昔の人が月明かりで本を読んでたってのも納得だわ。

 うん。



「ゴウア (半端者がいちいち騒ぐな。黙って僕の後ろに着いてくれば物を踏んで転ぶことも無いから)」


「私だって一応は死還人(ゾンビ)なのよ!あなたの手を借りなくたって集中すれば私だってきっと……きゃあ!?」



 言わんこっちゃない。

 頭いいのに馬鹿だよなーこいつ。

 大人しく僕の後ろに着いてくればいいのにさー



「ウーガ (そういえば思ったんですけど、美桜さんは僕達(ゾンビ)に襲われる心配は無いんですか?」


「痛たたた……え?うん。私は襲われないわよ。あなた達からしたら同族の分類に入っているのでしょうね。ウィルスが体内に入っているからかしら?現に人喰いの欲望が抑えられないあなたは私を襲って無いじゃない」 


「ガ (あ、言われてみれば)」



 そういえばそうだな。

 美桜に対しては欲望を抑えることなく自然体で居ることが出来る。

 遠藤の時は殺意を交えながら抑えていたしな。

 まぁ、いちいち僕達(ゾンビ)に遭遇する毎に庇う必要が無いから楽でいい。



「その辺も目的を達成した後にでも研究したいわね。もしかしたらあのウィルスが及ぼす影響は他にもあるのかも知れないし」



 ふわー

 何とも職業病な方でございますね。

 こんな世界になってまで仕事をしたいなんて、僕には到底考えられない。

 本当凄いですわー


 あ、美桜の護衛は仕事じゃありません。

 仕事っぽいけど仕事じゃありません。

 あれです。

 なんというかその、はい。

 あれです。

 その……



 こんちくしょう!

 これは必要労働だくそったれ!

 嫌なことに気づいてしまった!



「……あなた大丈夫?妙に震えてるみたいだけど」

「ゴガ (あはは。僕にも振動がぶるぶると来てますよ)」



 はっ!

 ニートなのに働いてしまっているから拒絶反応が!

 ……よし。

 忘れよう。



「アーウガ (なんでもないよーさぁドンドン歩こーさぁ歩こー)」



 気を取り直して目指せ豊農大学病院!

 働いて無いったら働いて無い!

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