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ゾンニート  作者: 竜獅子
第1章 ゾンビになった少年
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それでは行ってきます。

「アー (そろそろ行けるか?)」


「もう少し……待ってほしいかも……」


「ガウー (人間って、不便ですね)」


「ガ (全くだ)」



 美桜は拓也を下ろしてから既に十数分経ったというのに未だにその場に座って呼吸を整えている。

 これだから研究者は。

 毎日室内に籠って研究ばっかしてるから体力が落ちるんだ。



「はぁぁぁぁ……ふぅぅぅぅ……よし。もう大丈夫よ」



 美桜は大きく深呼吸をすると、やっとの思いで立ち上がる。

 少し、ふらついたのは気のせいだろう。

 だから僕は美桜の体調は気にしてやらない。

 さぁ行こう。



「ガウア? (それでこれからどこの病院を目指すのですか?一口に病院と言ってもかなりの数があると思うんですけど)」


「あなたの足を直すのなら、豊農(ほうのう)大学病院が一番が都合が良いわ。少し遠いけど、神農製薬の系列の病院だし設備もかなり整っているから」



 神農製薬、病院まで持っているのか。

 流石に大手は凄いな。



「ゴガーウ? (距離にしてどれくらいなんだ?)」


「大体5kmぐらいかしら?」



 そこそこ遠いな。

 拓也は車椅子があるからともかく、僕の足で考えると一日はかかってしまうかも知れない。



「アウー (なら、休み休み行くしかないな。僕の足だとその距離は一日は多分かかる)」


「まぁそうね。それくらいはかかると見積もっていた方がいいでしょうね。あなたはそれで問題無いかしら?」


「アーウ (僕は別に構いませんよ。元々他に注文出来るような立場ではありませんし)」


「……良いこと言うわね。どこぞの死還人(ゾンビ)とは大違い」



 悪かったな。

 気が効かない死還人(ゾンビ)で。



「さ。それじゃ行きましょう。と、その前に確認したいことがあるのだけどいいかしら?」


「?」


「あなた達って、五感はどうなってるの?会話が出来て、物が見えるということは聴覚と視覚は健在のようだけど、他はどうなってるの?」



 あーそうなんだ。

 美桜でさえも僕らのことは完全には知り得て無いんだ。

 そうだとすると、普通の一般人は僕達(ゾンビ)のことをかなり侮っているのかもしれない。


 とりあえず僕は美桜の質問に答えてやった。



「……そう。それなら夜目もかなり効くのかしら?」


「アウガ (勿論)」


「アー (僕もですね)」



 人間に遭遇する可能性の無い夜は活動する時が多かったからその辺はよく分かる。

 視力が良くなったのが関係しているのか、どんなに小さな明かりでも視界に入る明かりは目が全て集めてくれて、視界の暗さを補ってくれる。


 夜がまるで昼……のように見えるわけでは無いが、夕方くらいには明るく見ることが出来る。

 夜中に漫画を読むときなんかは結構助かる。



「なら何も問題はは無いわね。いつの間にか外はかなり暗くなってるみたいだから人間に遭遇しやすいんじゃないかと懸念してたのだけど、道中の見張りはよろしく頼んだわよ」


「ガー (了解)」


「アーガー (分かりました)」



 そうして僕達はショッピングセンターを後にし、次の目的地である豊農大学病院へと向かい始めた。

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