二人目の護衛です。
「……なるほどね。でもちょっと待って。それじゃ私の目的はどうなるのよ!?」
「ゴアー (ん?少しだけ後回し。何、大丈夫大丈夫。今日の夕方頃にこいつの仲間を見てるんだ。近くを探せばきっといる。大した時間はかからない)」
……多分。
結構焦ってたみたいだしなー
もしかしたら遠くに行ってるかも。
まぁでもそれならそれで更に探しに行くか、キッパリ諦めてもらうかの選択肢はあるし、何も問題は無い。
「寄り道なんてしてる場合じゃ無いのよ!?早く……早く本社に行かないと生き残りの社員が何をするか分かったものじゃない!」
「オゴーガ (はいはい。そーですね)」
いや、別に正直神農製薬の社員が何をしようと僕は興味は無い。
流石に建物中に残っている機器を破壊するなんて非生産的なことはしないだろうし、破壊されていなければ僕の肉体はちゃんと強化してもらうことが出来るし。
それでも万が一、その手の機器を破壊しようとする奴が居れば全身全霊を持って殺すし、既に破壊していた後なら脅して命を盾にでも取って修理させるから結局どちらでもいい。
つまり、一年以内なら僕はそこまで急ぐ必要は無いのだ。
神農製薬の本社もこの街から電車で一時間くらいの場所にあるからいくら僕達の歩みがノロいからと言って一年も掛かるような距離じゃない。
だから僕は、好きなことをする。
やりたいことを優先する。
指示に従う理由はあっても義務は無いからな~
「そんなに楽観視してられる状態でも無いのよ!?」
「ガウアー (はいはい分かったから分かったから。話は後で聞くからちょっと考え方を変えてみようか)」
「どう変えるって言うのよ?」
「ガー (考えてもみろ。確かにここでこいつの仲間を探すのは時間の無駄になるかも知れないが、その間更に僕達の護衛が増えることになるんだぞ?」
「うっ……それはそうだけど、でも!あの足じゃ」
「ゴーガー (あの程度なら、それなりに設備が整ってる病院に行けば直せるだろう?)」
というより直せないわけがない。
疲労という生物が活動する上で必要な「怪我」を死還人と言えども無効にするとこいつは言ったのだ。
本社にあるという設備がどのようなものであれ、こいつには確かに医療技術と知識が備わっている筈。
そうでなければ嘘だ。
「……はぁ、もう。これならもう少し知能が低い死還人の方が扱いやすかったわ」
「ウガー (そんな奴が素直に指示を聞くとは思えないけどな)」
「はいはいその通りよ全く。それじゃあなた……拓也と言ったかしら?」
「ガー (あ、はい)」
「あなたが望むのならその足、ここから出たら直してあげる。ただし、その対価として神農製薬会社の本社までの護衛をあなたに依頼するわ。どうするかは、あなたが今ここで決めなさい」
「ガー! (そ、それなら是非とも宜しくお願いします!どうせ何かをする宛も無くフラフラするつもりだったので!)」
「そう。なら交渉成立ね」
この女……さらっと本社までの護衛を頼みやがった。
いや、別に本人がそれでいいのなら僕は構わないのだけど。
……抜け目が無いな。この女。
「それじゃさっさと後一階下るわよ!」
「……ゴウ (……一番苦労するのはお前だと思うけどなー)」
最後のエスカレーター、僕は言わずもがなに必死になって下っていったが、それ以上に必死になっていたのは女……美桜の方だった。
全くと言って良いほど歩けない拓也を担いで、尚且つ落とさないようにしながらエスカレーターを下るのだ。
そりゃ当然難しいに決まっている。
半死還人は疲れを感じるのか最後の一段を踏むときには美桜はひーひー言いながらその場に崩れて僕に悪態をついた。
「あなた……こうなること分かってさっき言ったわね……」
「ガーガー (勿論)」
それじゃ行きましょうか。
まずは病院!




