興味本意で首を突っ込んではいけません。
「私の名前は天祢美桜。元研究者で、君達が発生する原因となった製薬会社、神農製薬の元幹部でもあるの。あ、これ社員証ね。それで年齢は25よ。後、君達の根源に引っ掻かれちゃったせいで人間と君達の半君達みたいな存在になってて、だから人間、と言うよりは君達に近いかも。まぁちょっと中途半端な存在だけど少し私とお話ししない?」
はい。
ベラッベラ喋ってくれました。
ちょっと警戒してた僕が馬鹿らしくなるくらいにこの女は自分の素性を隠す素振りすら見せずに喋ってくれました。
この女の意図を探る為に小細工なんかは全く必要ありませんでした。
なんだこいつ?
……てかこいつサラッと凄い言わなかったか?
「ガーア (色々と聞きたいことがあるんだが)」
「駄目よ!駄目!」
「……ウガ? (……何がだ?)」
「いくら私が超絶可愛い半君達だと言っても、私は君達に恋はしないわ!……申し訳ないのだけど、私のことは諦めて。私が美しいのは分かるのだけど、ね」
「ガァァァァ (ウザイ。自意識過剰か。誰がお前みたいな残念美人に恋なんかするか。てかそもそも恋心はゾンビになった時点で失ってる)」
「あらそう。残念ね。前に出会った君達はえらく激しい恋心の持ち主だったからあなたもそうなのかと思ったのだけれど。それで?聞きたいことって?」
なんか遊ばれた感じがしてモヤモヤするわー
腹立つ感情無いけど腹立つわー
「……ゴーア (……まず半僕達ってどういうことだ?」
「あら?あなたはそこから聞きたがるのね。神農製薬についてからで無くていいのかしら?」
「ゴガ (どーでもいい。正直本気で興味ない)」
「あなた珍しいゾンビね。ある程度意思疏通が出来るゾンビはまずそこから聞きたがるのだけど。まぁいいわ。半君達っていうのは言葉そのままの意味よ。人間でも無く、君達でも無い、丁度その中間の存在」
「アァァウ (それを詳しく)」
「えぇ勿論。……とは言ってもそこまで話すことは無いわ。特徴を大雑把に三つ挙げるとすると、君達と会話が可能、任意で脳のリミッター解除が可能、食事の必要が無い代わりに定期的に人肉を摂取する必要がある、かな」
……なんか最後だけ凄まじい特徴だったような気がする。
「ガー (引っ掻かれたと言っていたが、普通ならそれだけでも僕達になるんじゃないか?」
「普通ならね。でも、私は違う。言ったでしょ?君達の根源に引っ掻かれたって」
「ウガァ? (根源?)」
「えぇ。文字通りゾンビの一体目よ」
うわー……
なんか話がキナ臭くなってきた。
てか凄い面倒な話っぽい。
あれじゃん。
これ映画だったら物語の中核になるクソ大事な所じゃん。
えー……
興味本意で聞くんじゃ無かったかなー……?
話を聞くまいにももうこいつ話始めてるんだよね。
……しょーがない。
とりあえず聞くだけ聞いてみよう。