遠藤パターンは止めて下さい。
「……………………」
僕がベッドに横になって目を瞑ってからどれだけの時間が経ったのだろう?
気持ちが良い、という感覚は失ってしまったけれど、体はそれを未だに覚えているのか不思議とこの体制のまま動くことが出来なくなっていた。
確かに思い返してみれば僕がゾンビになってから今日までこうやって休むということをした覚えが無い。
疲れを感じないからといって僕は24時間不休でコンビニ定員も真っ青になるぐらい活動し続けていた。
疲れは感じない。
けれども知覚外で疲れは蓄積される。
僕がこうやっていることで少しでもその蓄積が和らげばいいのだが、所詮はゾンビ。
治癒能力の無いこの肉体では気休め程度のものでしか無いだろう。
あー……
なんか動きたくねー
まだ可能性の話だけどいつかは疲れで動けなくなるってことを考えると凄い動きたく無くなってきたー
どうしよう?
このままここで本格的なニートになっちゃう?
人を食べもせず、動きもせず、ただただ横になってゆっくりと。
……あ、なんかちょっとそれもいいかもしれないとか思った自分がいる。
あーどうしよーマジでそうしようかなー?
そりゃ折角ゾンビになったんだから好き放題するのが一番いいんだけど、その可能性がある限り微妙なんだよなー
今までは対して気にして無かったけど、こうして僕の体が休みを欲しがってるって知ると流石に無視出来ないからなー
んーどうしようかなー?
ベストは好き放題してるのにも関わらず、どれだけ動いても肉体が活動を停止することは無いなんだよね。
それを証明するのは簡単なんだけど、問題はその証明が僕自身がしないといけないってことなんだよねー
他の僕達は絶対そんなことに協力してくれないし。
でもなーやっぱり寝て過ごしてるだけより好き放題したいしなー
「ガー (あー困ったなー)」
「何が困ったの?」
「ガウ? (ん?)」
僕の独り言に誰かが反応したので、僕は声がした方向に首を向ける。
そこにはまだ成人したかしてないかくらいの若い女性が立っていた。
……あれ?
人間?
ん?
でも僕の独り言ちゃんと聞き取れてたよーな?
「いや、何が困ってたのかなーって思ってさ。あれなら協力するよ?」
ん?
人間の言葉?
こいつ僕達じゃない?
確かに傷らしい傷は見えないけど。
ちょっと実験。
「ガーウ (僕の名前は藤堂鈴です」
「あー鈴君って言うんだ~宜しくね~」
言葉が通じてる……だと!?
目の前の女は僕を怖がる様子は無く、右手を掴むと自分から握手をしてきた。
……えーまさかの遠藤パターン?
でも流石に名前を勘で当てることは出来ないよな。
んー……
僕はとりあえずちょっとこの女との距離をおきつつ、何者なのかを探ることにした。




