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Eternal Return ~永劫回帰~  作者: 天野 花梨
Daily Activities -in Junior High school life-
4/100

Planning document

 

1.計画


 しかし、学生には夏休みを迎える前に過酷な試練が、もう1つ待っている。

 【期末試験】という名の試練が……。

 その試練が間近に迫った頃のとある日の4時限目の屋上での事。


挿絵(By みてみん)


「あっ、いたいた。やっぱり此処だったか。あちこち探したぞ」

 声の主は千景だった。

「この全校生徒が修羅場の様に猛勉強している時期に授業サボって屋上で昼寝とは余裕ですな、廉」と千景は廉が寝転がっている傍にやって来た。

「いやいや、ちゃんと静かな場所で、教科書を目に焼き付けているのだよ」

「嘘つけ、教科書逆さだぞ」といいながら廉の隣に座る。

「珍しいな、お前のような優等生が授業サボって俺の所に来るのは」と言いながら廉は、体を起こす。

「サボって、いい点数が取れるほど頭がよくないだけだよ」と廉の教科書を奪い取り、それで廉の頭を軽く叩く。

「嘘つけ、お前なら余裕だろ?」と言いながら廉は千景から教科書を奪い返す。

「それより、ちょっと廉に頼み事あってさ」と千景は廉に相談を持ち掛けてきた。

「なに?部屋では言いにくい事か?」と廉は不思議そうに聞く。

「まあ、そうだなぁ………」と千景はばつが悪そうに答える。

「ん?なんだ?俺に出来ることか?」

 珍しく千景から相談を持ち掛けられて廉は驚いていた。

「なぁ、あの夏休みの件はどうなっている?」

「ああ、玲音がこないだ言っていたみんなで海に行こうと言うやつか?」

「うん」

「どっぷり、暗礁に乗り上げているぞ」

「なら、まだ行き先決まって無いのか?」と千景の声が明らかに明るくなった。

「ああ 、行き先どころか、その計画すら危ういぞ?」と廉は言う。

「は?」と廉の予想とは裏腹に千景はびっくりしている。


 廉は、千景に大筋の理由を話した。


「なるほど、見事な四面楚歌だな」

「ああ、だから中止するのは簡単だし、時間の問題じゃないか?」

「いや、その反対なんだ」

「え?」

 廉は思わぬ千景からの返答に驚いて、持っていた教科書を落としてしまった。

 千景は親友の驚き様に苦笑し、その理由を話し始めた。


「とある筋から情報を得て長い時間をかけて色々と調べていた所、ここ最近になってとある島の近くに海底遺跡がある可能性がかなり高い事が分かったんだ。

 かなりの時間かけ、世界中の情報を照合し調べて出てきた結果なので、自分の推理が正しいか?夏休みその辺りの海底探査をしてみたいんだ。

 それには、自分のスキルだけではどうにもならない。だから、みんなの力を借りたいんだ。

 探査機のプログラミングは出来ても操作とカスタマイズできないので潤の力を借りたいし、事前の情報集めやポイントの絞り込み、あと現地での探査機のデータから情報解析は、自分一人では時間が足りないので廉、お前にも手伝って欲しい。

 最後、実際に直接海底に潜って確認しなければいけない、場所を絞ったと言ってもピンポイントではないから何度も海底に潜り探さなければならない。それには高い運動能力と体力が必要だけど玲音と悠貴なら可能だろ?お前達全員の協力があれば調査が可能なんだ」

 千景は楽しそうに廉に自分の研究予定を話す。

「ん?そんな計画なら素直に話せば、みんな喜んで賛成すると思うけどな………。

 しかしなぁ、先ほどの問題がなあ~。

 玲音と悠貴の特別補習がなぁ………。

 でも、この計画なら俺の部屋で話しても問題はなかったのでは?」

 廉は、千景をまじまじと見ながら不思議そうに言う。

「いやぁ~この前の、玲音のあの期待感は、半端ないように見えたからさ、計画はもう出来上がっているじゃないかと思ってね。それなのに、俺がこんな計画を出して玲音の立てた計画をかき乱す事になるのが気が引けたんだ」と千景は玲音に遠慮していることを明かす。

「もし、計画できていても、面白い事なら玲音は賛同すると思うぞ。

 千景は玲音に遠慮し過ぎだ。

 もっと俺同様に友人として接してやってくれよ。あまり、よそよそ過ぎると玲音の奴、傷付くぞ?ああ見えても繊細なんだ。

 しかし、どうしたものかなぁ」と廉は考え込む。

「特別招待会の方は、手はなくはないぞ?」

「ん?」

「特別講習の招待券は期末試験で各教科書を平均点以上、中間で追試食らった科目は平均点+10点以上で免除だ。

 玲音は数学だけが致命的なだけで他の科目は廉以上か同等じゃないか。

 数学だけ猛特訓すればなんとかなる。

 編入生特別カリキュラムは数学さえクリア出来れば、在校生の上位に立てる学力だからから任意だよ。

 問題は悠貴かなぁ。外国語の他に何教科か平均前後してるんではないか?」と千景の見解を廉に説明した。

「そうかぁ、問題は悠貴と玲音の学力あとは、おじさん達かな?ずいぶん前からスケジュール押さえてあるだろうし……」

「その事でも相談が……」とまた千景遠慮がちに言う。

「ん?とりあえず、ここではなんだ。千景の部屋で計画練ろうか?」と廉は立ち上がる。


 寮に戻って千景の部屋に行き、千景から色々な資料を見せられ、地図で遺跡のあると思われるポイントの説明を聞く。

 本当に、見つけようとすれば、大人の助け無しでは無理かもなと思っていると。


「この島を拠点にすれば、この海域は遠浅で、波も穏やかだからボートで行動できる範囲から探査機を操縦して探査できるので、危険性は少ないけどそれには、高度なシステムを搭載した機体が必要になるが、機体は潤なら作れる。コンピュータ制御部分は、自分がプログラミングして潤が調整すればいける。

 ただこの島、私有地なんだよ。持ち主の許可無く入れない」と千景は説明する。

「で、島の持ち主は、わかってるの?」

「ああ、ちゃんとそれも調べた。玲音の父親だよ」

「なるほど、まずはおじさんの説得からだな」

「そう簡単に、会える人では、無いだろう?」

「まぁ忙しい人だからね、今どこに居るかから調べないとな。とりあえず、おじさんは俺と玲音で何とかしよう。

 あとの問題は、玲音の数学と悠貴の学力だな。あの 2人、追試もギリギリクリアだったから平均+10点はハードル高いのでは?」

「いや玲音は、頭はいいから数学の拒絶感を無くせば軽く取れるよ。また今回も俺が特訓するよ」

「でも、引き続き、情報収集やプログラミングは?千景お前の勉強時間も無いだろう?」

「試験が終わってからでも間に合うよ。それにプログラミングは、潤の機体が完成しないと出来ないし。

 問題は悠貴だな。頭は悪くないがあの飽きっぽさがなぁ。どう転ぶかわからない」

「では、俺が何とか悠貴を見るよ」

「後、玲音の両親が帰ってくる時期だな」

「そのあたりも、おじさんに相談してみるよ」

「とりあえず期末までは忙しくなるな」

 千景は楽しそうにいう。

「楽しみのための苦労は苦労じゃ無いよ」

 涼しい顔で廉はあさっりと言う。

「廉そういう所、玲音に似てきたな」

「そうか?」

 廉は千景から思わぬ言葉に驚く。

「そろそろ、玲音達帰って来ているんじゃ無いか?説得しよう」

 千景は説明用の資料をまとめる。

「ああ、そうだな」

挿絵(By みてみん)


 廉は千景と供に自分の部屋に戻ると案の定、玲音がいた。

 玲音はテレビを見ながらソファに座って居たが、廉を見つけて叫ぶ。

「廉!どこに居たんだよ。お前今日1日中ずっと授業をさぼってただろう!」

 廉は玲音の言葉をさらりと聞き流して、潤と悠貴の居場所を聞く。

「コンビニに買い出し。食べるもの買って来るってさ」

 玲音は廉と千景の2人を見ながら不思議そうに答える。

 すると千景は黙って玲音の隣に座り、廉は玲音の目の前に立つ

「ところで、玲音」

 廉の問いかけに玲音は悪い予感を感じたのか狼狽(うろた)えながら答える。

「なに?改まって…」

「夏休みの計画の算段はついたのか?」

 廉はストレートに聞く。

「!?」

 顔をひきつらせ言葉を必死に探して居る玲音を見て、廉はぐうの音も出ないとはこの事を言うのだろなと思いながら、返答のない玲音にまた改めて質問をする。

「玲音、おじさん今どこに居るか知っている?」

「えっ何?なんで親父が関係……あるか………」

 語尾は小さくなりながら既に放心しかけている。

「おじさんの連絡先を教えて」

「どこに居るかさえわからないから……連絡先なんて…。たぶん本社にの事務局に電話したら教えてくれるんじゃない?どうしたの?」

「千景、俺が連絡先聞いてくるから潤と悠貴帰って来たら一緒に説明してやって」

「了解」

「ええっ、なに?なに?どうしたの?」

 あわてふためく玲音を背に廉は学校の事務局に向かう。

 とりあえず学校の事務局から櫻グループ本社の電話番号を聞いて本社に問い合わせると『国外の拠点はNYが総括しており、早急に連絡したい場合は国外の予定はNY支社に問い合わせした方が連絡は付きやすい』と返答がありNY支社の電話番号を教えてもらったので、かけてみようと思ったが、時差が有るので明日にする事にした。


 部屋に帰って見ると、千景から説明を受けた玲音達はすごい喜びようだった。

 難問の期末試験は、クリア出来たかのように…………。

 千景は潤に探査機の作成について、細かく話し合いしていた。


「親父の居場所わかった?」

 先程とは明らかに別人のように、玲音の目が輝いていた。

「NY支社に問い合わせろって。時差有るから、明日聞くよ」

「それなら、親父の居場所くらい俺が突き止めてやるよ」

 既に、彼の中では問題は解決しているらしい。

「では任せたぞ。玲音」


 千景は、憑かさず玲音の背後から肩を叩き囁く。

「さて、そろそろ問題の猛特訓に入ろうか?」

「………」

 玲音は忘れ去りたい重大な問題を突き付けられて固まっていた。


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