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Eternal Return ~永劫回帰~  作者: 天野 花梨
死神との盟約
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邯鄲の夢

Life is but a dream.(人生とは儚い夢)


1.はじまり


 あの日が来るまではずっと

 爽やかな陽射しの中。

 いつも顔ぶれが何処からともなく

 示し会わせた訳でも無いのに

 いつもの場所に当然のように集まり

 他愛もないおしゃべりや、ふざけあいや、

 議論をしていた仲間。


 人生の目指す所は、それぞれだった。

 互いに高めあい、競いあったりもしたが

 みな互いを認めあい、

 自分に無い部分を尊敬し協力しあいながら、

 かけがえの無い関係を築いていた。


 季節は巡り年を重ねていっても、

 遠い年月が過ぎても、

 この光景は変わることがないと思い続けていた。

 それが日常なんだと。


 しかし、運命とは残酷で、

 あんなにも早く、

 自分だけがひとり置き去りにされる時がくるとは思っていなかった。


 あの日からずっと探していた。

 あの頃を取り戻す方法が、

 きっとどこかにあると信じて。


挿絵(By みてみん)



2.邯鄲の夢


 目が覚めたのは、病院のベッド上だった。

 体のあちこちが痛かった。

 違和感を覚えた体は、幼なかった。

 記憶が混乱していて自分が誰なのか、

 どうして病院に居るのかすら、わからない状態だった。

 考える度に激しい頭痛の波が何度も襲った。


 すると、先程まで話ししていたような声が頭の中に響いた。

 顔や名前もわからないが、何処か聞き覚えのある声が……。


「いいな忘れるなよ。お前の使命を……」


 意識を取り戻してから何日か後、どこかで微かに見覚えのあるように思える人物が、見舞いにやってきた。

 それは漠然とその人物を以前からよく知っていて懐かしいような気がしたが、目の前のその人物は自分が思っている人物よりかなり若い様に思えた。

 しかし、頭のどこかでは反対に今の自分は、面識はあるが初めて面と向かって話していると言う矛盾した認識があった。

 こういった矛盾が他の人物に対しても何度か起こり記憶が混乱し、激しい頭痛の原因になっていた。


 見舞いに来た人物は、優しい穏やかな風貌だがどことなく威厳がある紳士と金髪の優しそうな美しい女性だった。

 その男の名は【櫻 時宗】、その妻【メアリー ウイルソン】

 櫻 玲音の両親だった。

挿絵(By みてみん)

 その人達が教えてくれたのは、亡くなった自分の父親は、この紳士の秘書をしてた と。名前を【橘 准一】と言った。

 その父親は、この紳士から大きな信頼を得ていた様で紳士から『言葉では言い尽くせない程、橘君には世話になった』と説明された。

 今回事故は、この夫婦がどうしても時間が取れないため、櫻夫婦の名代で橘夫婦と息子の自分が家族揃って重要な取引先のパーティーに出席した帰りに起きた不幸な事故だったと聞かされる。


「思い出すには、つらい事故だろう。なんと言ってあげればいいのかわからない。

 でも、これからの事は心配することはないよ。私達夫婦に君が成人するまでの間、後見人をさせてくれないか?

 会ったことのない遠い親戚よりも、自分達の方が君に出来る援助は多いと思うんだ。

 それに自分達にも同じ年の子どもが居るんだよ。前に君と何度か会って一緒に遊んでいるはずなんだ。

 息子は一人っ子な上、自分達は仕事が忙しくなかなか構ってやれていないのが現状何だが、出来れば息子と君がお互いよき相談相手となって一緒に居てやってくれたら嬉しい。

 君さえよければ、兄弟のような関係を築いてくれないかな。名前は【玲音】と言うんだ。

 もし、君さえよければ、正式に私達の息子にならないか?

【櫻】の姓を名乗ってもいいし、もし養子になることに抵抗があるなら、私達を後見人として認めてくれればそのまま【橘】の姓を名乗ったままでもいい。

 後見人って言葉は分かるかな?平たく言うと君の親代わりだ。

 どちらの形でもいい。君を私達家族の一員として迎い入れたいんだ。どうかな?」

 その夫婦は熱心に提案をした。


 『つらい事故だったろう』と言われた時、自分はもっとつらい事故にあっているような気がしてならなかったが、でもそれが何なのかは分からない。

 自分の両親を一度に亡くしてた事と同等もしくは、それ以上につらい事?

 考えても考えても答えは出ず、ひどく頭痛がするだけだった。

 医師からその頭痛の原因は、事故による記憶障害と診断され、無理に思い出す事はしない方がいいと言われた。

 入院中、何人か心配して見舞いに訪れてくれる人は居たが、以前の関係を全然思い出せず、全て初めて会う様な感覚ばかりだった。


 それから月日は流れ、体の傷は癒え完治した。

「記憶障害は気になるが寝ているより、日常生活に戻ってリハビリをしたほうがいい」と主治医から言われ退院が決まった頃、あの夫婦の提案に答えを出さなければならなかった。

 色々考えて見たが断る理由もなく、どこかあの夫婦に他人とは思えない愛着を感じ素直に受け入れた。



3.新しい家族


 夫婦の提案を受け入れた後、病室に【櫻玲音】と言うひとりの少年が見舞いに来た。

 少年はニッコリと愛想よく笑いながら「今日から僕達は兄弟だね?仲良くしてね」と握手を求めた。

 その頃の玲音は両親が互いに忙しく仕事を持ち、世界を飛び回っている人なので、いつも気にはかけて貰っているが、なかなか玲音と一緒に過ごす事はおろか、構って貰えず会話も十分に出来て無かった。

 その上、小学校卒業までは両親の仕事の都合で海外を転々とし、友人関係というものを構築出来きず、寂しい孤独な時間を過ごす事を余儀無くされていた。

 家には出入りする人は多いが、同年代の存在が少なく、殆ど大人に囲まれて育っていたので【橘 廉】が家族として迎い入れる事には抵抗も反発もせず、反対に本当の兄弟出来たかのように喜び廉に心開いた。

挿絵(By みてみん)

 【櫻 時宗】は、櫻グループと呼ばれる財閥を統轄していた。

 時宗は、興味のわく事業を次から次へと拡大したり、新しく創設したり、自分のアイデアで世界を動かしすのが、生き甲斐の様な人だ。

 メアリーの方は、どこぞの国の有名な貴族の出身だが若い頃から創作するということに魅いられ、今や有名な芸術家で世界中回り創作活動している。

 父親も母親も、自分に正直に生きていると言えば聞こえはいいが、自由奔放に生きているというのがわかりやすい。


 時宗が亡くなった秘書の息子を櫻家の一員として招くことに、当然親族やグループ関係者からかなりの反対や批判があったが、時宗は頑としてはね除け

「先代から財産は、親戚や関係者か玲音が継ぎたければ、玲音に継がせればいい。

 しかし、これから私が起業して新規に立ち上げる事業は、誰に任せるかは、私の自由にさせて貰う。

 それが了承してもらえないなら、今までやっているグループ統轄業務からは手を引き、自分の立ち上げた事業の方に専念させて貰う」と言い放った。


 その言葉に見え隠れする強気な発言は、時宗の統轄力が大きくなったグループ会社には不可欠な存在になっており、それ以上に彼が次々に打ち出す新規事業は、今やグループの屋台骨を少なからず支えている状態にまで発展しており、誰も彼に逆らえなかった。


挿絵(By みてみん)


 玲音は、中学にあがるのをきっかけに小中高大学まで一環教育の有名私立進学校に編入することになった。

 廉は父親の准一の薦めにより既に初等科の頃から通っていたらしい。

 その学校には寮があり、中等科からは全寮制となり集団教育となる。


 これから玲音は、両親と離れひと所に留まり、じっくり自分の生き方を探せということらしい。

 もちろん、櫻グループの傘下の学校であり、時宗が優秀な人材をより多く自分の会社に入れるために人材を育て、見いだすことを目的として創設させた学校である。

 その学園では世界に通用する人財を育て能力を引き出すと言う、こだわりのある教育を行っている。

 なので、一般の学校とは違い、かなり幅広い積極的な英才教育を行い成績優秀者は望めばもれなく卒業後、櫻グループの各社、各部門の幹部候補の道が開ける。

 櫻グループの事業は大病院からテレビ局、学校、研究機関、薬品会社、建築、芸能プロダクション、ファッション業界、宇宙開発計画など様々な部門や事業があり、そこで活躍できる人材育成なのだから競争率は凄まじい。

 例え経済的弱者でも才能と成績優秀者には奨学金制度があり学校卒業まで学費は愚か生活費まで無料で付与される。

 ただ資格が失われると援助は打ち切られ即退学となる。

 金を積めば卒業できるかというと、時宗は自分の事業の開拓の手足になるスペシャリスト育成の観念から経営しているのである。一定の水準に達成しない者は卒業させないと断言している。

 水準に達成できない者は、容赦無く落後者として学校を去る事となる。それは玲音も廉も該当する。反対に卒業出来れば、たとえ櫻グループ以外の職につくとしても人生を約束されるほど、引く手あまただ。


 かなり、競争の激しいギスギスとした競争社会の様な学校に思われるかもしれないが、あの両親の意向からか?かなり自由がきく学園だ。

 結果さえ出して居れば、他人に迷惑のかからない限り好きな事をしていい。

 興味のある事には思う存分没頭してもいいのだ。望めばその興味を伸ばす環境も援助もその教育までしてくれる。【結果が全て】という事だ。


 時宗は玲音が小さい頃から「【頑張りました。だけど出来ませんでした】と言うことに対して、物事を真剣に取り込んだという行動、どれだけ頑張ったかと言う過程が評価されるというのは子供の頃だけだ。【結果だけが全てではない】というのは子供社会においてだけ通用することだ。

 大人になると【結果が全て】となる。特に仕事になれば、過程など何の意味を持たない。楽に結果を出そうと、苦労の末に出したとしても評価は同じだ。

 だから今のうちに、自分は何が得意で何が難しいか?どういう所で失敗しやすいか色々試しなさい」と言い聞かせれていた。


 この事は、この学校の教育方針でもあるらしい。


 なので、学校を卒業する頃には自分の得意とする事を見出だし高めている者だけが学校に残っている。

 但し、最低ラインがあり、それをクリアして、なお他に自分に特化したものが無いといけない。

 その最低ラインのハードルが高いのもエリート輩出校としての所以である。


 編入はいつでも可能だか教育のカリキュラムが初等科の6年でその子どもの隠れた才能や可能性を見極めるため色々な体験やテストにかなりの時間費やされるので初等科修業の段階では一般の中学2年生レベルまでの学力の修得。

 中等科修業の段階では高校卒業レベルと大学の基礎課程の教育は完了している。

 高等科では自分の目指す職業に必要な学問を重点的に学び技術を得る。

 大学では実践、技術精査や研究と一般とはかなり違っている

 なので編入するなら小学校までが一般的である。


 その学園の名前は【フロンティア学園】


挿絵(By みてみん)


 時宗の思い入れや拘りがあるとは言え、1学校の運営や教育方針などを事細かく時宗が考える訳で無く、時宗の意向を最大限に信頼をよせている校長に全てを一任し、学園の権限も全ても任せている。なので実際の授業内容、編入試験の水準等のカリキュラムは校長をはじめ学校関係者が決定している。時宗が口を出すとすれば職員の人事くらいだろう。


 数多くの受験者の中に玲音は一般人として放り込まれた。

 玲音は小さい頃から外国を転々としていた為、外国語が特に評価され合格となったみたいだ。

挿絵(By みてみん)

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