第五章:押しかけ女房(回想)
「いえ、もう人ではございません」
「え?」
「この界の民ということです。」
「会うことはかないますか?」
「ええ、妹殿も貴方にお会いしたいといっていると、申しております故。」
炯香と秋姫の出会いは唐突だった。
炯香の秋姫に対する印象は変な人だけどすごい人というものだった。
それと反対に今、横にいる蕣焚に対しての印象は優しくていい人だった。
「炯香―け・い・かぁ―?」
「・・・」
「おーい炯香?」
「なっなに?」
「いや。やっと花音殿が帰ったから茶でも淹れてくれないかと・・・」
「ああ、お茶?」そういうと横においてあった茶筒を手にとると丁寧に淹れた。
「に、苦い!なんという茶だ?」
「えーと」そういいながら茶筒を見た
(お、おいそれ!)
「あ、甜渕茶ぁ?」下に落ちていた紙を拾い上げると目を通す
「これは、天界の茶だ、良かったら飲んでくれいつも人界の茶を飲ませてもらってる礼だ。(人にはちょっと苦いかも知れぬ)」
「あんのっ神―!!!」
「神?神がどうした?」
「いいえ、なんでもない、気にしないでお湯加減を間違えちゃったみたい淹れなおすね」
「いや、いい慣れてくるとなかなかうまい。」
「ほんと?それは良かったわ。」
「・・・・・・」
「帝大変です南ノ国のもの達が姫様を助けに参りました」
「よい。通せ、ただし敵としてではなく、私の客人として。」
「ですが帝・・・」
「私に同じことを二度も言わせる気か?」
「いえ。申し訳ありません・・・ただいまお通しいたします。」