第五章:押しかけ女房(回想)
「天界とか、縁盟界ってなんだろ・・・なんか不思議な人たちだな・・・」
(天界は神王陛下の管理している人界で言う『国』のようなものですよ)
「だ、誰!誰かいるの?」
いきなり若い女が姿を現した
「驚かせてしまってすいません・・・私は蕣焚と申します」
「蕣焚さん?」
「はい、本来この姿をしていますが人界で犬の姿をとりますのでどうか、驚かないでください・・・」
「で、蕣焚さん。どうして私のところに来たのですか?」
「蕣でいいですよ。神王陛下の命令で本日より貴方の配下に下りました・・・なにとぞ、宜しくお願いします。」
「蕣・・・私が貴方の主?」
「はい。配下になったからには、貴方様の命令しか訊きませんので、ご安心ください。」
「相手が・・・たとえ秋姫様でも・・・ですか?」
「はい。」
「では、私のことは炯香と呼んでください・・・それと一番近くにいる存在になるのですから敬語もやめてください・・・」
「・・・ですが・・・」
「命令です。」
「うん・・・わかった。」
「蕣。」
「はい?」
「あの縁盟界ってなんですか?」
「縁盟界とは正式名称・・・『縁があったので魔界と天界の人々が同盟を結んだ界』といって魔界の民と天界の民が文字通り一緒に暮らしている界で今は神王秋姫様の妹様である氷華様が2代目として治めている界です」
「界とは?」
「界は『国』という意味を持ちます。」
「そうですか。ありがとうございました。」
「はい。後々秋姫様からご説明があると思うので今はゆっくり寝てください・・・。」
「はい。」