第五章:押しかけ女房(回想)
「う、ん」
炯香が目を覚ますと全く知らない所にいた・・・
「起きたか?」
「は、はい・・・申し遅れました、私は炯香と、申します・・・王族の出なので姓はありません」
「知っているよ・・・君の姓は垂氷。私は、秋姫だよ・・・よろしく炯香。」
「秋姫様、貴女はいったいどのようなお方ですか?」
「私?私はね・・・」
「神王陛下!!!」
「どうしたんだい?騒がしいね、怪我人の前だよ・・・?」
「申し訳ございません。」
「で、なんだい?何か用があったのだろう?」
「あ、はい、大変なんです」
「ほう、」
「雨龍様が・・・いらっしゃったのです」
「は?なんだって?最悪だ・・・。」
「何が最悪なのかな?我が姫よ・・・おっと今は我が妻だったっけ?」
「うわっ、なんでもない、なんでもないからそれ以上寄るな!!!」
「ひどいねぇ、いいじゃないか・・・。」
「良くない!今、お前の魔力にあてられたら、いくら黒蝶の跡継ぎでも死ぬ!」
「あのー?」
「なんだ?」
「神王とか魔力とか何を言ってるのか良くわからないのですが・・・ここ人界ですよね」
「違うよ、えーと、炯香殿、ここは秋姫の統べる天界だよ・・・な、秋姫」
秋姫が雨龍が炯香に伸ばした手を問答無用に叩いた
「だから・・・炯香に寄るな!!!」
「大丈夫、今の私は神力を強めて、少々、いや結構魔力は門の前において来たから・・・」
「その・・・私死んだんじゃなかったのですか?」
「私が助けた、それが師匠の望みだったから」
「師匠とは?」
「あなたの母上のことですよ炯香殿」
「まさか、まさか母上は生きているのですか?」
「いや、生きてはいない、ただその力が強すぎた為に霊として残ったようだ・・・無論今は寝ている」
「元気になったらあわせてやろう・・・だから今は寝なさい・・・」
「そうだよ、炯香殿。秋姫は怒ると恐いから怒られる前に寝ておいたほうが身の為だよ」
「余計なことを!!!」
「だって本当のことだもんね?遠雷」
秋姫の横に控えていた遠雷がうんうんと頷く
「でも、雨龍のほうが恐いよね?遠雷?」
負けじと秋姫も言い返した
遠雷は黙ったままそれにもうんうんと頷いた
「まあ、とにかく寝なさい私は少々秋姫に相談があるから借りてくよ。」そういうと雨龍は秋姫を連れて部屋を出て行ってしまった。