第五章:押しかけ女房(其の三)
「だから、様は要らないよ・・・全く似たもの同士の主従だね?黒華」
「そうだな、蒐冀・・・俗に言う犬は飼い主に似る・・・といったところか?」
「そうだね。今日はちょっとこの国に逃げ出した、狂魔を倒しに来たところだよ?」
「はあ、それで?」
「帰ろうとしたら炯香を見かけて、なにやら面白そうだから様子を見に来たのだよ。」
「そんな理由で!普通滅多に姿を現さない神がそれもその神たちを束ねている神王が」
そんなふうに驚いている炯香をよそ目に自ら茶を注いで飲み始めている
「はぁ・・・君のその真面目さはいつ見ても飽きないよ・・・。」
「何を!」
蒐冀は茶を飲み終えると体重を感じさせないほどすっと立ち上がった
「さて、私はそろそろ失礼しよう・・・。」
「さっさと帰ってください!」
「冷たいなあ・・・じゃあ炯香、また様子を見に来るよ・・・。」
そういうとひらひらと手を振りながら蒐冀は天へ帰っていった
「二度と来るな!!!」
「何しに来たんだろう。あの神はいつもそうだ・・・何もないのに私のそばに来ては、花見だの、人界の茶を飲みに来ただの、意味不明なことを言いつつ天からわざわざくるなんて、仮にも神が!神王が!!!挙句の果てには面白そうだから様子を見に来ただと?いい加減にしろ」
「おいお前、不本意ながらも命の恩人だろうが・・・」
「恩人じゃない!恩神だ!!!あんな奴が人であってたまるか!!!」
「怒るところはそこなんだ・・・。」