第五章:押しかけ女房(其の二)
「あ、捕まった・・・。」
「ほほほ、花音様綺麗なのにあのような方で・・・でも炯香様は眉目秀麗でおしとやかなのですね・・・帝がお気に入りになるわけが分かりましたわ、そちらの方もお美しくていらっしゃる・・・」
(おい!さっきこいつこれとか言ってなかったっけ?)
「そんなことございませんわ、貴女様も十分お美しいではないですか・・・。」
「あ、脱出して・・・こっち来た・・・。」
「炯香―助けてー!!!」
「あ、お待ちになってー帝!」
「呼んでいるよ?炯香様・・・?」
「ほっときましょう・・・巻き込まれるのは嫌だわ・・・」
「では、私が・・・。」
そういうと侍女が席を立って庭へ出て行った
「いいの?ほんとに行かなくて・・・?」
「いいのです、花音様の気が済むまでやらせておきましょう・・・。」
「そうだな、では、私が行く事はないな?」
「おお、名演技だったのに何でやめちゃうの?言葉遣い」
「お前が行ってキレると困るし、な・・・」
「はぐらかしたわね!」
蕣は黙殺を持ってその場をやり過ごした・・・
キィーン
「おっ神王のお出ましのようだな・・・。」
「・・・・・・」
「やあ!久しぶりだね。炯香に蕣焚・・・相変わらず仲が良いようで安心したよ。」
「何しに来たんです?神王陛下・・・。」
「蒐冀だよ・・・炯香・・・ここではそう言っただろうに・・・まあ人界での名だがね・・・。」
「では蒐冀さん何しにきたんですか?」
「さん、は要らないよ・・・?」
「いい加減いたぶるのはやめてあげてくれないか・・・秋姫姫・・・。」
「いたぶるなんて・・・人聞きが悪いね・・・それに人界では蒐冀だよ・・・蕣焚?」
「・・・蒐冀様・・・。」