第四章:囚われの姫(其の一)
炯香がついに帝のもとへ連れて行かれます。
一方その頃炯香はもう暁香稜殿についていて今まさに牢に放り込まれるところだった。
「私をどうするつもりですか?」
「さあな・・それは帝にしかわからぬ・・・な。」
「帝からの使いが来たぞ!!!」
その声とともに一人の男が入ってきた・・・
「おお、なんとも雅な・・・」
そういうと炯香の髪に触れた
「触らないでいただきたい!」
「矜持も高いと見える・・・帝が気に入るわけだな」
炯香が睨みつけた
「そんな怖い顔をしないで下さい。可愛い顔が台無しですよ・・・」
そんな言葉は聞きなれている炯香はお構いなしに睨み続ける
「さて琴と華、茶、笛、仁湖、琵琶が出来るらしいな・・・」
「はい。」
「今から全部やってもらう・・・お前が本当の紗代帝だったら易く出来るだろ?」
「はい。」
「じゃあまずは琴だ・・・ほれ、やってみぃ。」
そういうと琴が出てきた
その琴を迷いなく炯香が爪弾く
「次に華」
「次は茶」
「次は笛」
「次は二湖」
「次は琵琶」
すべてが終わった・・・
「どうやら本人らしいな・・・」
実は本人より上手なのだがそれを知るは、滅びた西ノ国の者だけだろう・・・
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「帝のもとへ連れて行け!」
「御意。」
そう男が言うと炯香は牛車に乗せられた
牛車の中は整備されておらず、がたがたしてとても乗り心地がいいとはいえなかった。
仕方なく、我慢して牛車に揺られること数十分・・・
読んで頂き光栄です。
それでは、また。
灯籠