表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/52

第26話 お宝ハンター

 やがて草壁の通う大学も、もうすぐ後期の授業開始目前となる、9月の末ごろのお話。

 いろいろあるようなないような毎日ではあるが、今回はかなり日常的なお話。



 ひまわりが丘の商店街のちょうど中央に位置するゆかりのピアノ教室「ひまわりが丘ピアノ教室」のお隣には、草壁圭介の叔父、茂夫の経営する古道具屋「宇宙堂」があるというのは以前にも何度か触れた。

 とにかくケチで変わり者のこの叔父は、甥である草壁圭介の姿を見つけると、自分の都合だけで気まぐれに彼を店に引っ張りこんで、無理矢理店で働かせる。



 というわけで、本日もたまたま店の前を通りがかった甥っ子をとっ捕まえた茂夫叔父さん、草壁には彼の制服みたいになっている「清酒 大吟醸アライグマ」の前掛けを無理矢理付けさせると、ホウキとチリトリを渡して、店の前を掃いとけ。

 とだけ言い残して、どっかに歩き去っていった。


 

 因みに、この叔父さんの普段着というのも、古道具を集めたついでに拾ってきたようなものばかりである。


 下はスラックスなのだが、これがLとかLLとかじゃなくていわゆる「キングサイズ」ってやつだろう。ものすごく太い胴回りがあって、当然モモ周りも太い。

 茂夫叔父さん、痩せ型なのだが、「着れたらそれでいい」という精神のもと、胴回りを半分千切れかけた革のベルトで留めていると、見た目、ハカマでも穿いてるみたいだった。

 それの上のシャツが、どうも警備会社の制服らしい。胸に鷲かなんかのエンブレムがついている。

 そんな格好で平気な顔で道を歩いた。



「やれやれだよ」


 ため息混じりにそんな叔父を見送った草壁。彼にしてみればこんなのが親戚だと思われてると居たたまれない気持ちになる。



 どこに何しに行ったのかよくわからないので、いつになったら帰って来るかもわからない。


 店の前の掃き掃除を済ませると、もうやることなんてほとんどないのである。ぼんやりと店のガラスケース兼カウンターの前に座って、オモテの通りをまばらに行き交う人の流れでも見ているよりほかになかった。


 最初のころは珍しかったので、店の中のものを色々と見て回ったりしていたが、どれもはっきりいってゴミみたいなものばかりである。

 古いがレトロでもない。ただ古いだけで価値なんかないようなものばっかり。


 たまに古そうなブリキのおもちゃなんかもあるのだが、サビだらけで小さくて、必ずといっていいほどどっかが欠けている。

 昔なつかしの超合金のロボットのオモチャも、ロケットパンチが両方ともない。


 古そうな唐草模様の背もたれをした椅子なんかも置いてあるが、絶対これとセットだったはずのテーブルとかが欠けている。


 小物類では、お茶碗や湯のみというのも古そうなのがいろいろとあるが、多分6、70年ぐらいまえの古い旅館で使われていたようなただの古いだけの大量生産品。それが、骨董品みたいにして置いてある。

 目利きは手は出さないだろうし、素人が欲しがるはずもない。



 古看板なんてものもあったりする。で、それがオロナミンCとかカルピスとかボンカレーみたいなのの古看板なら、欲しいひともあるかもしれないが、あるのは、どっかのサラ金の看板とか聞いたこと無い病院の宣伝看板。おそらく長い間バス停の背もたれにでも掛かっていたものだろう。

 需要、ないだろ?



 あまりのガラクタぶりに驚きながら、草壁が、

「こんなもん、本当に売れるのか?」

 と独り言を言っていたら。


「大きなお世話だよ、だから商売なりたってるんだ」


 いつの間にか叔父が帰ってきていた。それにしても今日は早いお帰り。特に手荷物も無い様子。


「早いですね」

「ああ、銀行に金預けるだけだからサッと終わりだよ」

 なるほど、どケチで有名な叔父さんだ。そうとう小まめに貯めているに違いない。


「おじさん、マメにお金を貯めてるんですか?」

「当たり前だ、その日ちょっと余裕があったら、必ず行くようにしている」

「その日?つまり毎日?」

「そうだよ。預け入れはタダでやってくれるからな」

「毎日、売り上げを預けるってことですか?」

 いや、待てよ?まだ真昼間のお店、営業中だ。店の売り上げを預けるったって、そもそも大して売れてやしないだろう。ひょっとしたらまだ売り上げゼロかもしれないし。


「売り上げじゃない。小銭が余計に2,3枚余ったら、それを預けるんだよ」

「ええっ!!貯金箱代わり?」

「そうだよ。貯金箱なんか買う金がもったいない」


 さもありなんだ。

 そういえばと、草壁はあることに思いあたった。

 よく、チラシの裏が白いのを小さく切ってメモやノート代わりにするという話は聞くが、この叔父さんのメモは、買い物のときのレシートだ。

 この叔父さん新聞は取らない。それぐらいの人だ。銀行ATMが貯金箱がわりでも、驚くにあたらない。



「今日、お前を呼び止めたのはちょっとこれから手伝って欲しいことがあるんだ……」

「ちょっと、待ってください、僕、喉かわいたんですけど」


 そうなのだ。9月も末のころと言ってもまだ外は暑い。普通の客商売の店なら、冷房は入れていて当然のところだが、ここ「宇宙堂」では冷房はご法度である。

 喉だって乾く。


「自分の飲み物ぐらい自分で用意しろよ」

「そんな余裕も与えないままに、無理矢理前垂れ付けさせたのは誰ですかねえ!」

「しょうがねえなあ、文句ばっかり言いやがって……おごってやるからありがたく思えよ」


 そう言って店の奥に姿を消す茂夫叔父さん。どうせ、薄い出がらしのみたいなお茶でも勿体付けて飲ませるんだろうと思ってみてたら。


「ほら、これ飲め!」

「ただの水道水をおごるって言う人、初めて見ましたよ!」


 つい今しがた蛇口から出したばかりのぬるい水道水のはいったコップを片手に草壁も叫ぶしかなった。

 が、別に甥に水道水飲ませることなど、この叔父はなんとも思っていないのだ。平気な顔をしてこう言った。


「おまえな、水道水だって、タダじゃない。これ一杯で、3,4銭はする」

「水道水一杯、おごるのにそんな計算しなくてもいいですから」

「バカヤロウ!3,4銭あったら、牛丼が一杯食えるんだぞ!」

「いつの時代のこと言ってんですか!」


 だんだん話していると疲れる。ぬるい水道水でも乾いた喉にはそれなりに心地よかった。多少カルキ臭いが、ごくごく飲み干す草壁。

 そこで、普段疑問に思っていたことがあったので叔父に質問をしてみた。

 その普段疑問に思っていたことと言うのが――。


「ところで叔父さん、もし僕がここで店番しているときにお客があって商品を売ってくれって言われた場合、いくらって言ったらいいんですか?」



 驚くべきことに草壁はまったくここの商品の価値を知らないのだった。


「おまえ、今までいくらで売ってたんだ?」

「そうザックリとしたこと言われても答えようがないと思いますけど、今のところ買いに来た客がに出会ったことがないから。けど、僕にはここの商品の価値がよくわからないんですよ」


「まあ、お前みたいな素人にはものの価値はわかるまいな」

「どれも半分はゴミみたいに見えちゃいますし……」



 思わず会話の流れの中で普段思っていることを何気なく口に出してしまった草壁。いくらゴミみたいなものばかり売っていると言っても、自分のところの商品をゴミと言われていい気はしないだろう。

 若干、マズイことを言っちゃったと思ったら、叔父さんが案の定語気を荒げた。


「何!半分ゴミだと!!」


 慌てふためきながら、必死にいい訳をする草壁。

「だから、素人の僕には分からないって言ってるんです……」

「いいか、ここにあるものは半分ゴミじゃなくて、全部ゴミだっ!!」


 飲んでいた水道水を吹き出した草壁。全部、ゴミだって……?


「元手かけて集めてきたものなんかひとつもない。全部ただで拾ってきたんだよ!だから、たとえ50円ででも売れたらうちの勝ちなんだ!」


 なんだよ、その勝ち負けって……。


 唖然とするほかない草壁だった。

 が、まだ驚くには早かった。

 水道水を飲み干すを草壁が聞いた。


「ところで僕に手伝ってほしいことってなんですか?」

「商品の仕入れの手伝いをしてほしい。いつもは一人で行くが、たまにはお前にも店の人間として、うちの業務について勉強してほしいからな」


「……どこから突っ込んでいいか、よくわからないぐらい、言いたいことが一杯あるんですが……」

「なんだよ?」

「まず、僕はこの店の人間じゃない」

「こんだけしょっちゅう来て働いてるくせに、関係者じゃないってほうがおかしいだろ」


 なにをムチャクチャな。どうせ、都合のいいときに仕事を押し付けるためにそうして既成事実だけ積み上げるつもりだ。暇なら付き合ってもいいが、誰がこんな変人といっしょに仕事なんかするもんか。


「それと、仕入れって、つまりゴミ拾いでしょ?」

「仕入れは仕入れだ!車用意してるから、それで出かけるぞ!」


 車?はて、叔父さん車運転するということは聞いたことがない。まあ、自動車免許の一つぐらい持ってても驚かないが。けど、やっぱり軽トラぐらいはちゃんと持ってる様子。どうせ、タダみたいな値段でひきとったボロボロの軽トラだろうけど。

 そう思っていた草壁は、まだこの叔父さんのことをあまり理解していないのだった。


 とりあえず、店を閉めたあと、草壁と茂夫叔父さんの二人が、店の裏に回ってみると、ちゃんと車庫スペースは確保してあるのだが、その中に、とてもいやなものの存在を見つけた草壁。

 裏庭のシャッターつき車庫の中にうず高くつんである、ゴミの脇に置いてあるそれを見て、呟いた。


「あのリヤカー、きっといい値で売れますよ、店頭に出しちゃいましょうよ」

 もちろん、わざとボケた。どうか、これも売り物であってくれという願いを込めて。

 残念ながら、そのリヤカーは売り物ではなかった。



 鉄パイプの骨組みをした、とてもオーソドックスなリヤカーである。

 底と側面には、ボロボロのベニヤ板で囲ってあるので、小物を入れることも可能。サビも浮いているが使い込んでいるせいで、引き手部分はテカテカに光っていたりする。

 大きさはちょうど畳が一枚ぐらいはいるだろうか?



「車って、これのことですか?自動車じゃなくて……」

「自動車ー!なんたる贅沢!米のメシがてっぺんにのぼった、とはお前のことだ!」

 なんだよ、その言葉は?

「これで、ゴミ拾いですか?」

「仕入れと言え。自動車なんかガソリン代がかかるだろうが?」




 というわけで、仕入れという名のゴミ拾いに付き合わされることになった草壁だった。

 大体街中でリヤカーを引いているというだけで、それなりに目を引く。しかも、相当に使い込んだ古いものだ。「不用品、引き取ります」という幟までご丁寧についている。

 

 が、基本的に、家電とかにはあまり手を出さないのがこの叔父さんなので、たまに声を掛けられて「古いミシン持ってって」とか「いらないテレビがあるんだけど」と言われても、うちはそんなのは扱わないからいいと言って断ってしまう。修理する手間が面倒らしい。


 そうして、マンションのゴミ置き場みたいなところばっかり、ウロチョロして、捨てられている粗大ごみを漁る。

 その風体というのが、拾ってきた警備員のシャツとダボダボのズボンを着た、痩せこけた年寄りだ。

 隣で着いて歩きながら、これほど他人の目が痛く突き刺さってくるのは、ミッキーマウスTシャツの時以上だった。



「なんで、俺までこんなことに付き合わないといけないんだよ……」

 もう、完全にふてくされて、一人でぶつぶつと不平を言うしかない草壁。


「なんだよ、さっきから、つまらなさそうなツラしやがって。しょうがねえなあ、お前、機嫌なおせ、これやるから」

「いりませんよ、飴玉なんか!」


 珍しく人にものをくれるというと、この叔父は大粒の飴玉を一つ差し出すのがいつものことだった。こんなもんをこんな人からもらって喜ぶ人間なんかいるもんか?

 しかし……この叔父さん、いっつもこういう飴玉を持ってたまに人に配っているみたいだが……。



「叔父さん、なんでいつもそんな飴を持ってるんですか?」

 一個10円ぐらいはしそうなはず。この叔父さんがタダでそんなものを配るはずはないと思うが。

 そう思ってると、茂夫がニヤニヤ笑いながら、こんなことを言い出した。


「これが、案外役に立つんだよ」

「へえ、そうなんですか?」

「ガラクタやゴミがどんなところに落ちてるかよく知ってるのは誰だと思う?」

「さあ……?」

「ズバリ、子供だ。大人はゴミなんか普通気にかけん。しかし、子供にとっては立派な遊び道具だ」

「それでその情報を聞き出すために?」

「そういうことだ」


 なるほど、とも思ったが、そこで草壁にはまた一つちょっとした疑問があった。疑問というか、そんなことをしょっちゅうしていたりすると――。


「けど、今のご時勢、そんなふうにして子供にお菓子なんか配ってたら却って怪しい人って思われたりしませんか?」

「あるよ。警官の職質なんてしょっちゅうだ」


 マジかよ。


「けどな、そんなことを繰り返していると、警察のほうも『ああ、あの変な人だな』って理解してくれるから、ちょくちょく、町の巡査なんかが声をかけてくれるんだ。『商売、うまく行ってるか?』なんてな。町内会とかでも最近は大分、私のことを怪しいというヤツが少なくなってきたみたいだ」


 おいおい、この叔父さん近所でも評判なのかよ。絶対、こんな人と一緒に歩いていたくないわ。


 想像以上の事態に草壁ももはや言葉がなかった。

 そんなときである。目の前に小さな子供が居るのを確認した叔父が、


「おっ、あんなところに子供がいる。ちょっと試してみよう」

 と言って、その子供を呼び止めると、飴玉を差し出して聞いた。

「ボク、この辺で、ガラクタがたくさんある場所知らない?」


 ちょっと考えたあとに子供が言った。


「知ってるよ!あっちの商店街にある、変な店にはゴミみたいなものばっかりあるって!お父さんが言ってた!」

「それ、オジサンのところだよ」




 仕入れ、という名のゴミ拾い。

 草壁にリヤカーを引かせながら、ゴミが落ちていそうなところをあっちこっちウロウロしながら、歩いている茂夫にとってはさながら、宝の山を探すハンターのつもりなのだろう。

 どこかにいいお宝が落ちているに違いないという期待に目を輝かせて、このみっともないゴミ漁りにすっかり夢中だが、草壁にしてみれば、ただつらいくて恥ずかしいだけに過ぎなかった。


 結局、先の折れたスケボーと、スリッパを5足ほど、缶バッジを3つに、ステンレスの物干し竿を一つ拾ってその日の「仕入れ」は終わった。


 二度と仕入れには付き合わない、と草壁は思った。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 そんなことがあったある日のことである。

 長瀬ゆかりは買い物を終えると、自宅マンションの駐車場に愛車ラパンを駐めていた。


 ひまわりが丘に引っ越してきて、もうすぐ半年が経とうとしていた。気がつけば夏も終わろうという時期だった。

 季節の変わり目に合わせて、今まで使っていた夏物の家庭用品を秋冬仕様のものに変えちゃおうとか思いながら、近所のお店を回って、いろいろと買い込んで来た。

 クッションに、玄関やお風呂場の足拭きマット、パジャマも新しいのを買ってみたり、ついでだからお風呂セットも新調しちゃおうか?カーテンも寝室に使ってるもの新しくしちゃえ、ちょっと気にいった柄のも見つけたし……。


 そうやって、小さなラパンのトランクの中を買い物袋で一杯にしての帰宅であった。

 まだ、お昼過ぎ。これをお部屋にとりあえずしまったら、それから教室でレッスン。という感じの一日のスケジュールだったりする。



 とりあえず、トランクから出したいっぱいのお荷物を前に考え込むゆかりだった。

「うわあ。調子に乗って買いすぎちゃった。これ一回でお部屋にまで持って帰れないかも……」


 そんなふうに、地面に置いた買い物袋の数々を見渡して腕組みしてたりなんかしていると


「すごい荷物ですね。これ」

 

 声がするので振り向いたら、ちょうど同じタイミングで部屋に帰ってきたらしい草壁がそばに立っていた。


 因みに、このマンション、敷地内の1階部分に比較的大きな駐車スペースが確保されている。その中で駐車場契約している住民専用の駐車エリアは、ロボットゲートをくぐった向こうになっていて、その手前に来客用の駐車スペースも小さく確保されているのだった。

 

 奥まった駐車エリアは出入り口から見ると死角になっていたりするのだが、彼女のラパンの場所はゲートのすぐ近く。

 というわけで、マンションエントランスに出入りする際にチラッと目に付きやすかった。


 

 愛車の青いラパンのまわりを荷物だらけにして、まるでちょっとしたフリーマーケットを開いているみたいな状況だった。

 

「アノ……」

 目を丸くしてその荷物を見渡している草壁をちょっとイタズラっぽい笑顔を浮かべながら、彼の顔を覗き込むようにしてゆかりが言葉を発した。

「なんです?」

「お荷物運ぶの手伝ってもらえないでしょうか?」

「知らんぶりして帰ったら後が怖いので手伝います」

「あ、嫌な言い方!」


 そんなことを言いながら二人で笑い合っていたりする。

 草壁も最初から荷物運びのお手伝いをするつもりだったので、そんなに重いものはないんですね、なんて言いながら、両手一杯に買い物袋を提げ出した。

 ひょっとして、下着が入った袋でもないかな?とかヨコシマなことをちょっと考えながら。


 で、ゆかりのほうは、そんな草壁を横目で見ながら、自分はそのとき手に持っていたカバンの中をゴソゴソをかき回して

「ウサギちゃんの戸締りっと……」

 カバンの中にある車のキーを探していた。


 ところで、このときゆかりが持っていたバックというのが、ちょっと小型のトートバック。シンプルなデザインながら地味に本皮だったりするのだが、そんなことよりも、そのバック、ジッパーで口を閉じれるようになっているタイプのものだった。



 横で、荷物をこれでもかと手に持ち出した草壁をチラッとみながら

「そんなに目一杯持たなくても、私も自分の荷物だから持つんで、その小さいのは置いといてください」

 とか言いながら、カバンの中からキーを取り出そうとした。


 ちなみに、このときゆかりの車のキーには小さなハートの形をしたキーホルダーがついていた。

 そして、彼女はそれを取り出すにあたってバックのジッパーを中途半端に開いていた。

 さらに、横で荷物を持つ草壁にちょっと注意をそらされてもいた。


 バックの中からキーを無造作に取り出そうとしてしまった結果、ホルダーのハートがジッパーのスライダー近くのY時に狭まったところに、お尻を引っ掛けてしまった。


 その瞬間、カチッと小さな音がして、キーホルダーのハートがホルダーから外れてしまった。


 実は、このハートのキーホルダー、ただのキーホルダーではなかった。正体は防犯ブザーなのだ。

 動作ピンから外れた防犯ブザーはどうなるか?当然、けたたましい警報音を周囲一体に響き渡らせた。


「ビィィィイィィィイイィィィィ!!!!」


 不意に耳をつんざくような、しかも聞いていて不快を感じるような、悪質なホイッスル音とでも言えるような凄い音に驚いた草壁、思わず持っていた荷物を地面に落としてしまった。


 買い物袋から、クッションや玄関マットなんかがバサッと音をたてて投げ出された。



「あっ!大変、大変」

 と言いながら、ゆかりがすぐにハートを動作ピンに差し込んで、元通りのキーホルダーの姿に戻すまで、ほんの数秒だが、その数秒で数時間ぐらいの寿命が縮んだような気がした。

 心臓に悪い。



「びっくりした」

 引きつった顔の草壁が、申し訳なさそうに目の前でハートのキーホルダを揺らせているゆかりと目を合わせると

「これ、実は防犯ブザーなんです」

「すごい音が鳴るもんなんですね」

「防犯ブザーなので……」



 なんていいながら、しばらく二人とも呆然となっていたところ――。


「どうしましたっ?」

 靴音高く響かせて、そこにやってきたのがパトロール中だったらしい制服姿の警官だった。

 職業柄、目覚まし時計なんかとは明らかに違うということにすぐ気がついたのだろう、二人の姿を見つけると、腰の警棒に手を掛けながら、すごい勢いで駆け寄ってきた。


 この場合、怪しいと睨まれているのはおそらく草壁だろう。


 見ると、なんか冴えない顔したヤツが、かわいい女の子を目の前にしてつったってやがる。あのコになにかちょっかいだそうとしたに違いない。

 しかも、みると足元に荷物を散乱させてるじゃないか。



 ものすごい勢いでやってくる警官を見て、マズイと思ったのは、草壁もゆかりも同じだった。


「あ、す、すみません、私の防犯ブザーを誤って鳴らしちゃったんです」

 と言いながら、軽く頭を下げた。二人の目の前までやってきた警官のほうは、まだぼおっと突っ立っている草壁を怪訝そうな顔で見ている。


「あっ、この人、私の彼氏です。ご心配なく」

 そこで、ゆかりのほうから、草壁の腕に自分の腕を絡めながら、ぎゅっと寄り添って体を密着させた。

「そ、そういうことです。あ、どうもご心配かけました……」

 そのとき、草壁の声のトーンがちょっとだけ甲高かったのは、二の腕に押し付けられたゆかりの胸のふくらみの感触をもろに感じてのことである。



「まっ、そういうことならいいんですけど……」

 ちょうどマンションエントランス近くにとめた自転車のほうへ、時折こっちを振り向き振り向きしながら去ってゆく警官を、二人はずっと寄り添いながら見送っていた。



 やがて警官も自転車に乗って去っていったのだが、二人はしばらくじっとそのままで突っ立ったままだった。互いに腕を組み合ってぴったりと寄り添いながら。


 彼氏です。なんて言葉、当たり前だろうが芝居に違いない。

 が、ウソでも確かにそのときゆかりの口からそう言われた言葉の響きがまだ耳に残っていた。その前のけたたましい警報音なんか記憶からすっかり消えてしまった草壁。


 密着するようにしてすぐ隣に立つ彼女のほうへ、スッと顔を寄せた。

 何をしようというつもりはなかったが、ミツバチが花の香りに引き寄せられるように、自然とスッと顔を寄せた。いい匂いがした。


 瞬間、ゆかりのほうも、チラッと横目で近寄せられる草壁も頭の動きに気がついたようだった。


 電気でも走ったみたいになって、サッと体を離した。

 離したのだが、そこで、しばらくジッとしていた。


 拒否するというより、ちょっと照れたような顔をしている。

 どうするんだろうと、草壁が思ってしばらくじっと見てたら、ゆかりのほうは、草壁とは目を合わせようとせずに

「あっ、落ちちゃったもの拾わないと」

 と言いながら、今までの数秒のことなんかなにもなかったかのように、素っ気無くしゃがんで地面に散らばった小物類を再び買い物袋の中に詰めだした。



 こういうとき、深追いしていいのかどうか、経験もないのでよくわからない草壁だった。

 仕方ないので、二人してしばらく黙ったままで散らばった荷物を拾いあつめた。



「やっぱり、ちゃんとしたキーホルダー買わなきゃ。この前も、電車の中で鳴っちゃったんですよ」

「けど、ブザー欲しいから買ったんでしょ?」

「これ、フミコ叔母さんが持っといたほうがいいってくれたものです。見た目かわいいからなんとなくキーホルダー代わりに使ってたんですけど。ピンの具合がゆるくて、外れやすいみたい」


 荷物を拾い上げると、両手一杯にそれを抱えながら二人はマンションに戻っていった。


「ゆかりさんは、ブザーが欲しいとか思ったりしないんですか?」

「うん……用心するに越したことはないんでしょうけど、あんまり意識したことないですね」

「今まで、怖い目に会ったことがない?」


 草壁にそう聞かれたゆかり、ちょっと考え込んでからこんなことを言った。


「実は、つい最近、一度だけブザーを使おうかって思ったぐらい怖いことがありました」

「どんなことです?」


 暮らしてもう半年もたって見ると、閑静ないいところだと思ったがやっぱり若い女性にしてみたらそういう目に絶対会わないという保障はないものなのか?

 しかし、そんなに怖いことってなんだったんだろう?

 草壁が心配して聞いていると、ゆかりが言った。


「この近所の住宅街の中を一人で歩いてたんですよ。夜中に。あんまり人通りもなくて静かだな夜だったんですけど、そこで曲がり角を曲がったら、居たんです」

「変質者かなにかですか?」

「えっと……草壁さんの叔父さん」

「えっ?!……道具屋の?」

「はい」

「何かされたんですか?」

 あの叔父さん、まさかそんなことするとは思えないが、ゆかりさんが怖いというようなことをしたんだろうか?


「いえ、ただ、どこかの旅館の浴衣みたいなのを着てリヤカー引いてたんですけど。頭のちょうど両耳の上に懐中電灯を2本つけて、バスタオルみたいなので頬かむりしてた姿にとてもびっくりして」


 なんだよ、その格好は?話聞いても異様すぎるだろ。


「すごい格好ですね。なんか昔そんな映画なかったですか?」

「思わず、それを思い出して、私、声出しちゃいました」

「すみません、うちの叔父がご迷惑をかけて」

「いえ。あとで飴玉くれました。怖い思いをさせて悪かったなって」


 その後、ゆかりは草壁から叔父と飴玉の話を聞かされて、「お商売にはなんでも、やってみないとわからないことってあるもんなんですね」と、変なことを感心していた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 

 さて、その日も古道具屋「宇宙堂」の店番を押し付けられていた草壁であった。

 その日の理由は外出の間の店番ではなくて、どうも、店の奥で拾ってきた道具の分類整理でもやっているらしい。ついでに簡単な修理程度もやるということで、しばらくお前、店を見といてくれとか言われた草壁であった。


 そういえば、ここと若干似た雰囲気の店、どこかにあったなあなんてぼんやりと考えていると、なんどか通った古い古本屋に思い当たった。

 学者なんかが資料にでも買いそうな古い和とじの本もちらほらあるが、圧巻なのは、店の奥にうず高くつんである文庫本の数々。

 みたらどれにもちゃんと値段は書いてある。が、その山の中にどれだけの本が眠っているかは店のジイサンでもわからないんじゃないか?というようなところ。

 けど、あっちは本を漁っていると小一時間ぐらいあっという間に潰れるが、こっちは10分辛抱するのが苦痛。



 ガラスケースの前で小さなスツールに腰掛けて草壁がぼんやりしていると


「こんにちは」


 と顔を覗かせた人がいた。


 ふと見上げると、開け放した店の出入り口のガラス引き戸のところにゆかりが立っていた。


「ゆかりさん、どうしたんですか?」

「うん。この前言ってたじゃないですか?キーホルダー。ここになにかカワイイ掘り出し物でもないかなあっとか思ってちょっと覗いて見たんですけど」

「あると思います?ゴミだらけだって、この前言ったばかりでしょ?」

「キーホルダーみたいな小物は置いてないんですか?」


 などと二人が店の中で話していると、客の気配を感じ取ったのか、奥から茂夫叔父さんが顔をだしてきた。


「あっ、先生、いらっしゃい、何か御用で?」

「かわいいキーホルダーを探しているみたいですけど、叔父さん、ここにそんなのありますか?」

「キーホルダーね。そういう小物をお探しなら、ちょっと待ってな……」


 話を聞いた茂夫が一旦、店の奥に引っ込むと、ミカンのダンボールを重そうに抱えて店先に戻ってきた。


「キーホルダー以外にも、バッジやら、ペンダントとか指輪みたいなのも混じってるが、そういう小物を詰めてあるんだ。ゆっくり見てきな」


 だいたいどれもこれも、安物のオモチャみたいなものだが、大人が一抱えもするような大きさのダンボール箱にぎっちり詰め込んであると、かなりの重量だった。

 床に置くと、ちょっとした振動が響いた。


 中身は叔父さんの言うとおり、さまざまなオモチャの小物類だらけ。プラスチックやブリキでできたそれらがみっしり詰まっている様は、中で小さな昆虫がうごめいているみたいで、なんとなくグロテスクな印象すらあった。


 床の上にじか置きとなったその段ボール箱の前にしゃがみこみながらゆかりは、中身の小物類をジャラジャラ音をたてながら、吟味しだした。


「すごい量ですね……なにがあるかよくわからないけど」

「そんな箱がまだまだあるから、気にいるのがなければ、別のを持ってくるよ」


 普段は愛想の悪い叔父だった。店にいてもそうだったが、この客、どうも金を持っているらしいこと、そしてこの手のものの価値にも疎そうで、しかも年若いお嬢様、うまいこと適当なものをつかませてボッタクってやろうという下心のもと、妙に愛想が良かった。


「いいのがあったら、目星つけといて、ボクひとりで店番してるときにきてください」

「はあ」

「格安で売ってあげますから」

「いいんですか?」

「コラコラ!おまえはどっちの味方だ!」

「知り合いがここの悪徳商売の犠牲になるのを黙ってみてられません!」

「そんなことしたら、おまえクビだからな!」

「いいですよ。むしろ望むところです」

「そんなこと言うなよ、叔父と甥といったら一家も同然じゃないか・・・」

「同然じゃないですよ!」


 草壁と叔父がそんなふうに言い合っている間にゆかりは一人せっせと箱の中を漁っていた。あんまり若い女子の趣味に合いそうな小物は見つからないと思うが、見ているだけでそれなりに楽しかった。

 たまに、自分が小さいときに持ってたようなオモチャの指輪にとても似たのが出てきたりすると、目的を忘れて指にはめてみたりなんかしながら。



 やがて、彼女はそのゴミの中から一つのキーホルダーを拾いあげた。

「これ、かわいい」

 そういいながら、手のひらの上に乗せたホルダートップを目を細めてじっと見つめた。


 それは人の親指ほどの大きさをしたキューピーちゃん人形だった。


 しばらくゆかりはそのキューピーちゃんを嬉しそうに見つめながら、ときどき、人差し指の先でやさしく鼻先をつついてみたり、頭を撫でてみたりしていた。まるでそうしながら、心の中でお人形に話しかけているみたいでもあった。


 なんにせよ、お気に入りのブツに出会うことができた様子。


 その様子を目ざとく察した茂夫。ここぞとばかりにふっかけるつもりで、真面目腐った顔をしながら

「いいものに、目をつけたねえ」

 そういって、わざとらしくちょっと驚いて見せた。

 もちろんこの男にだってその価値なんかよくわからない。もうどこでどう入手したかは忘れたが間違いなくどっかで拾ってきたものであることだけは確かである。


「いいものなんですか?」

 草壁からはゴミばかりだと聞かされていたここの商品、しかもどうでも良さそうに十把ひとからげみたいにしてダンボールに放り込んであったものが?

 ゆかりが驚いた。


「キューピーちゃんはね、今、巷でちょっとしたブームになっててそれも、プレミアついて高いんだよ」

「絶対、出任せのウソでしょ!」

 隣の草壁がすかさず突っ込む。叔父さん、さっそくボッタクルつもりだ!


「あの、おいくらですか?」

 心配そうにゆかりが聞いてくるので、茂夫、わざとちょっと間をタメながらしばらく難しい顔をして考え込んだ後に


「まあ、お隣さんのよしみだから、3000円ポッキリということで手を打とうかなあ」


 金額を聞いてゆかりが驚いた。持ち合わせがないわけじゃないが、こんな小さなオモチャにそんな値段、どう考えてもするわけがない。

「ええっ!、そんなにするんですか?」

 欲しいけど、いくらなんでもそれは……。と思ってるのは横でやりとりを聞いていた草壁も同じだった。叔父がふっかけたとんでもない金額にあきれ返っていた。

「出鱈目な金額言わないでください!」


 目の前では、もの惜しそうに自分が探し出したキューピーちゃん人形をじっと見つめるゆかりの姿。それがちょっといじましくも見えた。

 良く考えたら、このお嬢様に3千円ぐらい、出そうと思えば決して出せないお金じゃないが、草壁としてはなんとか彼女に適正価格で売り渡したいというような、変な男心に火がついたみたいだ。

 叔父の言葉なんか関係ナシに、勝手に値段を言う草壁だった。


「500円!どうせ拾ったゴミなんでしょ?これも」

 そういって、怖い顔をして叔父をにらみつけた。

「お前、舞台裏ばらすなよ……仕方ないな……」

 そこまで甥っ子に言われたらしかたない。案外とあっさりと引き下がる茂夫叔父――。


「――じゃあ、2500円でいいよ……」


「500円にしろって言ってるんですよ!」


「何バカなことを言ってるんだ!」

「50円で売れたらうちの勝ちって言ったのは誰です?」

「ものにはものの価値ってのがあるんだ、なんでも50円で売ってたらうちだって商売になるか!」

「ただの小物なんですから、それぐらいで充分ですよ!」


 再び、叔父と甥の二人が言い合いを始めだした。

 ゆかりとしては、草壁が自分のために値引き交渉をしてくれているという好意はよくわかった。が、そのとき彼女はこうともちょっと思っていた。

(多分、500円でも高いと思う……)


 が、仕方ない。それぐらいなら出してもいいか。



「500円!買いました!」

 ゆかりは手のひらの上に500円玉を乗せると、未だに甥っ子と言い争っている茂夫のほうへニッコリと笑って差し出した。


 ボッタクるつもりマンマンの茂夫だったが、拾ってきたゴミと舞台裏をばらされて、草壁とゆかりの両方から値引き圧力をかけられると、当初みたいに強気にもでられなくなった。

 それでも、100円でも高く売りつけたい。

 こんどは、茂夫のほうがみみっちく、値上げ交渉を未練たらしくやってくる。


「ま、待ってよ、お嬢ちゃん、せめて7、いや800円ぐらいにしてくれないかなあ」


 目の前ですっかり守勢に立たされてちょっと弱気なことを言い出した茂夫の様子を確認したゆかり。

 すると彼女はなぜか、ニヤリと笑うと、自分のカバンの中からなにかを取り出してそれを茂夫に押し付けた。


「500円でお願いします。この飴玉あげますから」


 見たらそれはピンポン玉ぐらいもする大きな飴玉だった。

 茂夫が普段ばら撒くのより一回り大きい、多分投げたら立派な凶器にもなる。


 そんなものを押し付けられた茂夫も驚いたが、それを横で見ていた草壁も驚いた。

 

 ゆかりさん、最初から値段交渉するための武器にこんなものあらかじめ用意してたんだ。

 お嬢様、案外したたかだ。


 ニヤニヤ笑いながら自分にでっかい飴玉を押し付けようとするゆかりに対して、茂夫のほうもこれ以上交渉する気力を失ってしまった。


「持ってけ、ドロボー」



 キューピーちゃん人形を入手して颯爽と店を去ってゆくゆかりの背中を見送りながら、茂夫はぽつりと呟いた。


「あ、あの、お嬢ちゃん、あきんどの腹えぐりや……」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 このお話にはちょっとした後日談がある。


 その後、茂夫がネットオークションを覗いていたところ、ゆかりに売った件のキューピーちゃん人形に2万5千円という値段がついていたのだ。


「おい、圭介!おまえが500円なんていうからこっちは2万4千500円も損したじゃないか!おまえ責任とってもらうぞ!」

「なんで、そうなるんですか!だいたい見た目似てるだけじゃないですか?あっちはただのコピーかなんかに決まってますよ、ここで売ってるものなんて」

「いや、あれは本物に違いない、24,500円、賠償しろ!」

「いやですよ!もともとは叔父さんだって3000円って言ってたでしょ!こっちの責任はあったとして2500円までですから!」


 結局、草壁が2500円分タダ働きさせられて、この話は決着がついた。

 が、果たしてゆかりが手に入れたそのキーホルダーがそんな値段のものかは結局よくわからずじまいのままだった。




第26話 おわり


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ