72 告白と可能性
その翌日の昼休み。お弁当を食べ終わってマリーちゃんたちとお喋りをしていたときのことだった。
「セレネっ!」
「……エリク? どうしたの?」
いきなり聞こえた声に教室のドアの方を向けば、慌てたようなエリクの姿があった。エリクが人前でこんな様子を見せるのは珍しくて、つい首をかしげてしまう。
何かとても大変なことが起きた、ということだろうか。……それにしては慌てているだけで、焦りは感じないんだけど。
私の問いにエリクは目をさまよわせて、それから何かを決意したように息を吐いた。
「話したいことがあるんだけど、今時間いい?」
「うん? いいけど……」
隣に座っていたベラちゃんが「わぁ~」と楽しげな声を上げた。……あー、確かになんか、告白のお呼び出しみたいな感じだな。でもエリクに限ってそれはない。変な誤解が生まれても嫌なので、苦笑いしつつ「想像するような話ではないと思いますよ」と釘を打っておく。
そう言ってもベラちゃんたち三人は興味津々、という様子のままで、テランス君までどこか面白がるようにこちらを窺ってきていた。……これは早々に場所を移動しなきゃ。
エリクにつれられて、中庭に向かう。昨日の放課後とは違い、ちらほら人がいた。エリクはその人たちを気にしてか、普通の大きさで話していれば他の誰にも話が聞こえなさそうな位置で立ち止まった。
「それで、話って?」
「……アウアーさんに」
アウアーさん。耳慣れない名前に一瞬戸惑ったが、ああ、ヘルガか、と思い出す。
しかし、ヘルガに何かされたんだろうか? 彼女がエリクに何かするとは思えないんだけど。それを私に、こんなに慌てて伝えようとする理由もわからないし……。人に聞かれたくない話なら、学院でなく帰った後にでもすればいいのだ。
こちらを向いたエリクの瞳には、まだ混乱が残っていた。
話の続きを待つ私に、エリクはためらいがちに言う。
「東の方の、告白の言葉を教わって」
……ひがしのほうの、こくはくのことば?
ぴんっと耳が反応した。昨日のヘルガの最後の言葉がよみがえる。――勝手にさせてもらうって、ああ、ああそういうことか!
理解したくなかったけれど理解してしまった。呻きそうになるのを必死に我慢する。
というかヘルガ、東の方っていうフレーズたまに使ってたけどそれって日本だな!? よくよく考えたらやっぱり日の丸弁当とかおかしいし!! ゲームに関係ないヒントまで私は見落としてたのか!
しかし今はそんなことを悔いている場合ではない。一刻も早く、ひとまず話を逸らそう。考える時間が欲しい! ぱたぱた動く耳をごまかす余裕もなかった。
「そ、そういえばエリク! ごめん! エリクからもらった腕時計、月に魔力注ぎに行くときにつけてたら壊れちゃったみたいで!」
「……ああ、だから最近つけてなかったんだね」
あんな所にまでつけていった挙句に壊してしまった、というのが気まずくて言えていなかったのだが、つけていないことはとっくにばれていたらしい。まあ、それまでは毎日つけてたんだから気づかれても当然だった。
「ええっと、ごめんね、今でも一応部屋には大事に飾ってるんだけど!」
「大事に? ありがとう。でも珍しいね、そういうこと言ってくれるの」
にこっとエリクが笑う。――これは、やばい。逃げられない、と思うと同時に、逃げなくちゃ、とも思った。
「それからごめんっ、姉様に呼ばれてるの思い出したから話はまた後でね!」
冷や汗をかきながら素早く走り出した途端、腕をぐいっと乱暴に引っ張られる。咄嗟のことでエリクもあまり手加減できなかったのか、結構痛い。……さすがにこの言い訳は聞いてくれないか。
痛みに顔をしかめると、エリクは「ごめん」と謝りながら真剣な顔をした。謝っているのに、手は掴んだままだ。
「でも、逃げないでほしい」
「……別に、逃げてなんか」
「あの日、セレネは言ったよね」
私の声なんか聞こえていないかのように、エリクは無理やり話を進める。
「…………何を?」
仕方なく、そう訊くことしかできなかった。
……できれば忘れていてほしかったなぁ。
断罪されるのを待つのって、こういう感覚なんだろうか。エリクの唇があのときの私と同じように動くのを、苦々しく眺める。
「月が、綺麗ですね。――愛してます、って意味なんでしょ?」
姉様とは色味の違う碧眼が、真っすぐに見つめてくる。かっと顔に血が上った。こんなにわかりやすい反応をするつもりはなかったのに、こんな間近で、エリクからそんなことを言われたら、赤面しないなんて無理だった。
あーもう、ヘルガ! 勝手にするって言っても限度があるんですが! 私にどうしろと!?
心の中でヘルガに文句を言い、落ち着こうと試みる。しかし効果はあまりなかった。顔はますます熱くなってくる。
赤くなった顔を見られたくなくて、私はエリクから思いっきり顔を背けた。
「し、知らない」
「ほんとに?」
どうしよう、どうしよう。焦りで頭の中がぐるぐるしてくる。
ここからどうすれば逃げられるだろう。いや、今逃げたって意味はない。エリクと顔を合わせない日なんてないのだ。根本的な部分を解決しなければいけない、でもその解決法がわからない!
私がエリクに対して恋愛感情を抱いていることは、ばれてはいけなかった。……どうしよう、大丈夫なのかな。だってここは乙女ゲームで、恋愛を軸とした物語で、私みたいなのがそこに関わるなんて……この理不尽な世界が、放っておくはずがない。私にだけ何か問題が起きるならいいけど、姉様やエリクに影響が出てしまったらと思うと怖くてたまらなかった。
ヘルガもそういうところを考えてくれたらよかったのに!
しかも、相手に気付かれないようにこっそりと告白してたとか、引かれそう。いや、うん、エリクだからそれはないだろうけどっ! だけど……でも、私の気持ち的に、何か駄目というか。
ひっそり告白していたことが人づてにばれるなんて、居たたまれなさがすごい。恥ずかしすぎる。
うー、ううん、こんなのは些細な問題だ。私の羞恥心とかどうでもいい。何か起きないかヘルガにも協力してもらって注意して……あー……あー、うぅぅ、なんでヘルガ……言っちゃうんですか……。
じわりと涙が滲んできた。
なんにせよ、もうばれてしまったのだ。エリクがそれを知ってしまったというのなら、今更足掻きようがない。大人しく振られるのを待つのみだ。
そしてそれなら、泣きたくなんかなかった。振られたから泣いた、なんてエリクに思われたくない。もうどうしようもないのだから、見栄ぐらい張らせてほしかった。
と思うものの、涙は引いてはくれなくて。
エリクに気付かれないように、顔を背けたままにすることしかできなかった。
「……何の意味もないなら、それはそれでいいんだけど、さ」
……いい、のか。
そう言われたほうが助かるのに、気持ちは自然と沈んでいく。我ながら本当に、めんどくさい。……あ、瞬きをした拍子に涙がこぼれた。
やばい、どうしよう。こんなんじゃ、涙を気付かれないようにするの無理な気がしてきた。というかもう気づかれてる? でも気づいてたらエリクが何も言わないはずないし、たぶん大丈夫、なんだろうか。
「その、どっち……かな? セレネは、告白のつもりで僕にああ言ったの?」
不安げな声音に、また落ち込む。
きっと、告白だったらどうしよう、と思っているんだろう。私を傷つけたくないのだ。本当に告白だったら、自分の気持ちを無視して恋人になることを了承するつもりなのかもしれない。エリクなら考えられない話ではないけど、だとすればすごく優しくて――残酷だ。
しかしこう訊いてくるということは、エリクも確信はないのだろう。エリクは姉様のことを妹に近い、と言っていたけど、きっと私もそうだ。妹のように思っている相手からすごく遠回しな告白を受けたところで、そう簡単に信じられないはずだ。
ただ単に「月が綺麗ですね」と言っただけ、と私が答えればそれで終わり。告白だったかそうじゃなかったかは、私が決められる。なら……私のすることは一つだけだった。
ごく、と一度唾を飲み込んでから、これ以上涙を零さないように気をつけて口を開く。
「……そんなわけ、ないでしょ。あれはただ、月がほんとに綺麗だったからだよ」
「だとするとわざわざ口調を変えた理由がわからないんだけど」
間髪入れずにそう反論されて、押し黙ってしまう。そっか、初めから告白だってわかってたのか。……逃がす気もないなら、そんなこと訊かないでほしかった。
瞬きを我慢しても、ぽろ、ぽろ、と涙が頬を伝っていく。
「……セレネ? 泣いてる?」
顔を覗き込まれそうになったので、慌ててくるん、と体の方向を変える。腕が掴まれたままだから、そう大きくは動けなかった。
「あのさ、それって肯定してるよね」
「……いじわる」
それくらい、見逃してくれたっていいじゃないか。普段のエリクだったら見逃してくれるのに、今日のエリクは意地悪だ。
私の告白をなかったことにしたほうが、エリクにとってもいいはずだ。それなのに、どうしてそうしてくれないんだろう。
「ねえセレネ」
やっと、エリクが私の腕を放してくれた。
もう泣いているのもばれているのだから、と開き直って、私は両腕で適当に涙を拭いた。先ほどまで掴まれていた腕も、乱暴にこすった目元も、痛かった。
私の名前を呼んだというのに、エリクは何も言わない。私がエリクの顔を見るのを待っているのだろうとは察せても、素直に従いたくはなかった。エリクだってわざと私を逃がしてくれなかったんだから。
しばらく沈黙が続いた。
……ちょっとだけ、離れてもいいだろうか。腕は放されたとはいえ、まだエリクとの距離が近い。いや、これくらいの距離ならいつものことだから別に近いというほどでもないのだけど、今は気まずかった。
ずり、と一歩、小さく足を引く。
「セレネ」
再び名前を呼ばれた。逃げないで、と言われているようだった。……逃がしてくれる気なんてないくせに。
結局それ以上離れることはせず、私はため息をついた。いつもならエリクが折れてくれるけど、今日は無理だろう。私が観念するしかないのだ。
しぶしぶ、エリクと目を合わせた。途端にエリクは嬉しそうに微笑む。その顔にきゅんとしてしまうのがなんとなくムカつく。面白くなかった。
はあ、と再び深くため息をつく。
「……そうだよ。あれは告白だった」
せめてもの抵抗で、好きだ、とは言わなかった。
こんなふうに笑うってことは、私のことを振るつもりはないんだろう。しかし、エリクが私のことを好きでもないのに、恋人になろうと言われたって受け入れられるわけがない。何を言われても心が揺れないようにしっかり構えておかなければ。
私の肯定に、エリクはなぜかほっとしたような表情を見せた。
「僕もセレネが好きなんだ」
――やっぱりそう来たか、と顔をしかめる。
「同情とか、関係を壊したくないとか、私を傷つけたくないとか、そういうのはいらないからね」
「うん、そういうのじゃないよ」
「……いや、だからそういうのはいいってば」
穏やかに言ったエリクに対し、苛つきの滲んだ声が出てしまった。……何を言われても心が揺れないように、なんて思ってたのに、こんな苛ついていちゃ意味がない。声を荒らげていないだけまだマシ、だろうか。
落ち着くため、こっそりと深呼吸をする。
私の苛つきに気づいているだろうに、エリクは変わらない声音で続ける。
「本気だよ。一人の女の子として、君のことが好きだ」
「本気で言ってるように聞こえない」
照れてる様子も緊張している様子もないのだ。ちゃんと嘘をつく気があるんだろうか。エリクはもう少し演技が得意だと思っていたんだけど。
眉をひそめる私に、エリクは困ったように笑った。
「なんとなくそう簡単には信じてもらえないだろうなって思ってたけど……実際そうなると、結構きついな。まあ、今までの関係に満足して何もしてこなかった僕が悪いんだけど」
「……何言ってるの?」
「うん、今はまだ信じられなくていいから、聞いてほしい」
聞きたくない、と思った。耳を塞ぎたかった。でも私の手じゃこの耳は完全に塞ぐことはできない。しかも思考を読まれたかのように、エリクがまた腕を掴んでくる。今度は優しい力だったので、痛くはなかった。
聞きたくない、嘘なんて聞きたくない。
「僕にだけ見せてくれる、子どもっぽいところが好きだ。素直じゃないけど、それが逆に素直なところが好きだ。僕のキャロットケーキを食べて、幸せそうに笑う君が好きだ。ディアナのことを一番に考えて、自分のことを後回しにするところは好きじゃないけど……それがセレネだから、やっぱり好きだよ」
嘘、のはずだ。
私を傷つけないための、ひどい嘘。
「セレネが僕を好きなのは、君にとって僕が家族みたいなものだからなんだと思ってた。昔からディアナと僕だけが君にとっての特別で、それだけで十分だと思ってたんだ。いつか君が他の誰かと結婚することになっても、笑顔で祝福するつもりだった」
でも、とエリクは言う。
「でも、僕と同じ意味で、セレネが僕のことを好きなら――」
……こんなときに気づいてしまった。
私の腕を掴むエリクの手が、かすかに震えている。
それ以上言わないで、と止めたかったのに、エリクの目が、縋るように私を見ていて。開けかけた口は、空気さえ吐き出せずに閉じてしまった。
くるしい。くるしい、くるしい。
「――君を幸せにするのは、僕がいい」
嘘じゃなければいい、と願ってしまう。
願ってしまうから、もう、やめてほしかった。
「僕がセレネを絶対に幸せにしてみせる、なんて自惚れたことは言えないけどね。それでもセレネのことをずっと愛し続ける自信はあるよ。これまでも、これからも、僕はセレネが好きだ」
言っている意味がわからない。……ということに。して、おけたらよかったのに。
「こんなこと、余計なお世話かもしれないけど……そろそろセレネも、自分の幸せも考えていいんじゃないかな」
やっとわからない言葉が出てきた。わからないから、それに対しては思考を止めて、わかりたくないことについて考える。
エリクが私のことを、好き。……なんで? だってエリクは、私は、だってだって。
苦しい息を、今度こそ無理やり吐き出す。
「違う、エリク。たぶんエリクは、何か勘違いしてる。私のことなんて好きじゃないよ。ありえない」
エリクの手を、私は振り払ってしまった。
一気にまた、視界がぼやける。鼻の奥がつんとして、喉が熱くなる。止めようとする努力をしなければ、涙はあっけなく頬を伝い始めた。
……だって、おかしいじゃないか。どうしてエリクが、私なんかを好きになる?
今語ってくれた思いを嘘だと否定したくはなかったけど、でもこんなの、おかしい。何をどうやって勘違いしたら、そんなことになるんだろう。
――ああそうか。
ようやく本当の意味で納得した。ヘルガがフェリクスさんの告白に気づけなかったのは、こういうことだったのだ。『ヘルガ』が『フェリクス』に好かれる展開がなかったから、ヘルガはフェリクスさんの思いに気づけなかった。あれはつまり、今の私と似た状況で。私たちは二人とも、この理不尽な世界に振り回されているのだ。
……でも、彼女が覚えていないだけ、あるいはプレイしていないだけで、『ヘルガ』と『フェリクス』が結ばれる展開があった可能性はある。
『可能性が決まっているわたしとは違う。存在しないってことは、どうにでもなる可能性があるってことだわ』
昨日ヘルガは、そう言った。
確かに『ヘルガ』の可能性は決まっているのかもしれない。しかし、彼女が知らない展開があったって不思議ではないのだ。そういう意味では、ヘルガの可能性の方が私よりも多い。ヘルガは……彼女は、ゲームに存在するのだから。
存在しない私にはどうにでもなる可能性があると彼女は言ったけど、私はそうは思えない。存在しないということは、可能性なんて一つもないということだと、そう思ってしまう。
……少なくとも。こんなことになる可能性なんて、零なのだ。そのはず、なんだ。
「私がエリクを好きになったのは、駄目なことだったけどありえないことじゃない。だけど、エリクは違う。エリクが好きになるとしたら、姉様か、他の人だよ」
「……セレネ?」
「エリクは絶対、私のことなんか――私のことだけは、好きにならない」
私は、この世界にはいない『キャラ』だ。私が『メインキャラ』であるエリクと両思いになれるなんて、そんな馬鹿な話はありえない。絶対にない。……絶対、ない。
エリクの言葉にきっと嘘はないのだろうけど、本当だ、とも思えなかった。矛盾しているのはわかっていても、信じることができなかった。
「っ信じられなくて、ごめん!」
もし、もしも本当にエリクが私のことを好きなら、私はエリクにひどいことを言っている。いや、たとえ好きじゃなくったって、信じられないと伝えるのはひどいことだ。
だけど私には信じられないし、そう伝えることでしか、エリクの言葉を否定できない。
「それに私、わかんない……! わ、私の幸せは、姉様の、幸せで、姉様が幸せになれば、私も、幸せで……だからわかんないよっ……私はずっと、『自分の幸せ』を……考えて、きたんだよ」
自分を大切にしない、という言葉ならまだわかった。
でも、私は姉様が幸せなら幸せだ。姉様の幸せのために、つまりは自分の幸せのために生きてきた。なのにエリクは、自分の幸せをもっと考えていいんじゃないか、なんて言う。
「信じられなくて、わかんなくて、ごめん、ごめんねエリク」
泣きながら謝る私に、エリクが苦笑した気配がする。本当はどんな顔をしているのかは、涙で見えなかった。
見えなくてよかった、と思ってしまう。私は絶対、エリクを傷つけた。自分がつけてしまった傷に向き合わないのは卑怯だけど……今だけは、向き合えない。向き合ったら、自分の中の何かが崩れ去ってしまうような気がした。
「……悔しいけど、あとはもうディアナに任せるしかないかなぁ」
ぽつりと言われた。
……姉様に?
「ディアナにはなんとなく話しておく。そしたら絶対、ディアナは君と話そうとするから……セレネの思ってることを自分の口で言って、怒られておいで」
「……おこられるの?」
「うん、怒られるだろうな。頑張ってね?」
ぽんぽん、優しく頭をなでられる。当然のように耳まで触ってくるエリクに、いつものエリクだ、とちょっとほっとした。……たぶん、私が安心できるようにわざと触ってきたのだろう。
だから私は、大人しく頭と耳をなでられることにした。
数回なでられたところで、予鈴のチャイムが鳴った。名残惜しげに、エリクの手が離れていく。
チャイムの音で現実に戻ってきた感じがして、そういえばここは中庭だった、と思い出す。声が聞こえる範囲にはエリク以外いないにしても、一応人の目のあるところでこんな泣いてしまって……エリクが悪く言われたりしないだろうか。たぶん大丈夫だろうけど、少し心配になった。
「それじゃあ、」
また後で、と言われるのかと思った。
だから続けられた言葉に、上手く反応ができなかった。
「好きだよ、セレネ」
……不意打ちは。ずるい、なぁ。
「次は、君の気持ちを聞かせてほしい」




