使い魔たちの好み
歓迎会から一夜明けて、みんな起きていた
「ねぇ、3人の好き嫌いってある?食べ物に限らず」
「俺様は肉が好きだ!野菜はいらん。静かなやつは好きだ。うるさいやつは好かん」
「僕はね食べ物の好き嫌いはないよ!でも虫が苦手なの」
「オレは好き嫌いなど特にないな」
「なるほどね」
マリはノートにメモをとる
「だが、強いていえばマリが好きだ」
「僕も好きー!」
「オレも同感」
「なんで?」
「料理が上手くて、優しい上に可愛いからだな」
「何だと…?」
マチがふつふつと湧き上がる怒りをあらわにした
「ご主人の事が本当に好きなのは俺だ。異論など認めん!」
「もしかして…それって恋ってことじゃない!?」
パイモンが浮かれている
「ストラス、お前マリに恋してるのか」
「恋愛とは…素晴らしいものだ」
「…ご主人の事を愛しているんだ」
「え、そうなの?」
マリはびっくりしている。マチの気持ちに気づいていなかったのか…
「そうだご主人。愛しているよ」
「そ、それは…あぁ…そうなの…?」
瞬く間に顔が真っ赤になった。体温が上がっていくのがわかる。まさか愛してる、だなんて
「やだ~!恋する乙女じゃない!」
「わ、わたしも好きだよ…あ、暑い」
「俺様達も」
「応援するぞ」
「両思いじゃない!ほらほら、付き合わないの!?付き合っちゃいなよ~!」
お互いに体がかぁーっと暑くなる
「ご主人…俺と付き合ってはくれないか」
「うん…いいよ」
「きゃぁぁぁー!恋するふたり最っ高!!」
「こらパイモン、あまり騒ぐな」
何千年もかけて、やっと、ようやく恋愛が始まった。ただジェイドが打ちひしがれていた。ダリアはそんなジェイドを慰めている。
「マリ様のこと好きだったのに…まさかこうなるなんて……ううう、悪魔許さない…」
「ジェイド様…」
静かにすすり泣いていた。失恋した傷が重く伸し掛る
「あ、あの!ジェイド様もマリ様のこと好きだったのですよ!?」
「そうだ」
マリはジェイドの傍に来てしゃがむ
「気づかなくてごめんね、私も好きだよ」
「わかっています、それは恋愛としての好きじゃないって。でも踏ん切りが付けて良かったです。マリ様のこと、好きでした……今度は2人のことを応援させてください」
「うん?好きだよ、恋愛対象として」
「ええええええ!?」
どよめく家の中。一体どういうことなのか…
「えっと、マチさんのこと好きでジェイドさんの事も好きなの!?恋愛対象として!?」
「そうだよ」
「俺様がマリの立場だったら2人と付き合うがな」
「え、それは有りなんですか?」
ダリアは頭の上にハテナが浮かんでいる
「悪魔のオレたちなど一夫多妻、一妻多夫は普通だからな」
「じゃあ2人と付き合っちゃえばいいんだよ!」
「マチとジェイドと?私はそれでいいよ」
「ご主人!?」「マリ様!?」
耳まで赤くしたマリが言う
「だって…決められないんだもん…二人共どっちも好きだし…」
「ご主人がいいなら俺も別に構わないぞ」
「マリ様…本当に良いのですか?」
「うん、その方が幸せだし、ね?」
マリは5000年生きたハイエルフだ。恋愛観もちょっと変わっている
みんなに三人でデートしてきな!家のことはやっておくからと、半ば追い出されるような形で街に来た。
ここは馬車で1時間かかるウォール街だ。街のシンボルに大きな教会がある。
「いつ見ても綺麗な教会だね」
中はステンドグラスがあちこちに散りばめられて、とても美しいのだ
「いずれ俺達も世話になるだろう」
「そうですね」
「そうだご主人、協会の祭壇に立ってくれないか」
そう言われ、立っているとマチとジェイドがマリの前に屈んだ
「俺たち二人で、ご主人を幸せにする」
「ですからこれを受け取って欲しいのです」
そう言われるとダイヤモンドの指輪を、マリの左手薬指にはめた
「これって…」
マチは右手に、ジェイドは左手の甲にキスをした。たちまちマリの顔が真っ赤になった
「愛を誓うよ、ご主人。何千年先も…な」
「私も愛を誓います、マリ様」
5000年生きていて、こんなに嬉しいことは今まであっただろうか。そう思うと涙が溢れてきた。溢れて止まらない
「ご主人!?泣かせるつもりはなかったんだ」
「マリ様に涙を流されると…私まで感極まってしまいます…」
たまたま教会にいた人達が拍手を送ってくれた
「この指輪はな、ジェイドと二人で選んだやつなんだ」
「そうなんですよ、マリ様に似合うように」
「そうなんだね、今凄く嬉しい…っ。これは嬉し泣きだからね」
そう言うとマリは微笑んだ。いずれこの協会で結婚式を挙げたい…と思うのだった。教会から出て、3人手を繋いで歩いていると…「カップル、夫婦割り!黄金ミルクアイスクリームなど」と、書かれた看板があった
「ご主人、行ってみるか」
カフェのような、落ち着く空間。黄金アイスクリームを頼んだ。ミルクアイスの全体に金箔を乗せたものだ。それとクロワッサンとティーを頼んだ
「すごい贅沢な気分だね」
「そうだな、こうしてのんびりデートするのは初めてだからな」
「そうですね、とても幸せです」
いつまでもこれが続くといいな、と思う。魔王なんかに邪魔されず、ゆったりのんびり幸せに暮らす。それが理想だ。カフェを後にすると、色々と食べ歩きできそうなお店が並んでいる。ロックバードの焼き鳥を2本ずつ買って食べる。タレと塩味だ
「うん、柔らかくて美味しいね」
「うむ、やはりご主人が作ったものには敵わんな」
「マリ様の作る焼き鳥は絶品ですから」
「もう、そんなに褒めても何も出ないよ?」
「本当のことだぞ」
褒められて、またもや耳を赤くするマリ。今日は1番幸せな日だった。こんなに幸せでいいのだろうか。きっとこの世界がくれたプレゼントなのだろう




