美しい花火
「ふぅ、結構お腹いっぱいだね」
喋りながらだいぶ食べた。夜も老け、ふくろうが鳴いている。雪は降っていないが夜だから冷え込む。そろそろ外に出なければならない。皆、厚着をして転送魔法陣の上に乗る。魔法陣は青い光を帯び、4人共シンシャ街に転送された
「おお、すごい賑わってるな」
「やはり花火を見に来る人達が多いのですね」
「ううん、眠い…」
ダリアはなんとか目を擦りながら起きている。街は今までにないほどの賑わいを見せて、出店も出ている
「福袋販売開始まで後10分だよー!」
「安いよ安いよー!」
街にいろんな声が飛び交う中、マリはとある福袋を見つけた
『ぬいぐるみ福袋 レアが入っているかも!?』
ダリアが好きなぬいぐるみの福袋だった。マリは買ってあげようと目を付けた。
「さて、花火開始まであと5分だね。今年もお世話になりました」
「こちらこそありがとう」
「来年もよろしくお願いします」
「お願い…します…」
ダリアが眠りについてしまいそうだ。やっとの事で立っている
「ダリア、大丈夫?」
「…ふぁ!大丈夫れす!花火を見るまで起きてますから!」
さらに街が賑わい、人で埋め尽くされる。窓を開けて花火を見ようとしている人もいる。音楽も流れ始めていよいよ花火が打ち上がる
「カウントダウンします!10秒前!」
「5.4.3.2.1、ハッピーニューイヤー!」
音楽が消え、真冬の夜空に浮かんだ花火は鳥肌が立つほどに美しい赤、緑、黄、青と次々花火が打ち上がる。力強くドーンと鳴り響く花火は厄を落としてくれる
「綺麗だね」
「あぁ」
「星と花火が共演していますね…」
「綺麗…」
花火に思わず目を奪われ、息を飲んでしまう。こんなにも美しいのだから、きっと今年も良いことが起こるだろう。20分間の花火が打ち終わると、拍手が巻き起こった。そして飛び交う「あけましておめでとう」の声
「あけましておめでとう」
「あぁ、おめでとう」
「今年もよろしくお願いします」
「お願いします」
そして福袋屋さんの前に来た。ぬいぐるみの福袋とあともう一つ気になったものがあったのでそれも購入した
「わぁ、ありがとうございます!何が入ってるんだろう」
ダリアは目をキラキラさせた。転送魔法陣で家に帰ってくるとダリアはすぐ眠りについた。
「私たちも寝ようか」
食べたものを片付けてマリ達も眠りにつくのだった。夢の中でも美しい花火が打ち上がっていた
初日の出が昇る頃に起床した。寒さに負けないよう、日光が鋭く森の木漏れ日に刺さる。朝日にとりあえず拝んでおいた
「さて、お正月にふさわしい料理を作っておいたから食べようか」
「キュッキュ!!」
「おや、君たち。あけましておめでとう!」
「キュキュッキュ!」
けだまスライム達も挨拶をしたようだ。身を震わせて喜びを表現している。
さて、元日の朝に食べるもの。それはお雑煮…餅だ。
「いただきます」
「これぞ正月だな」
「お雑煮美味しいですね、よく伸びます」
「ふぁ…温まる…ふぁぁ」
何度もあくびをするダリア。全然寝足りないようだ。大晦日から元旦にかけて寝不足になるのが普通のようなものだ。
「うん、美味しくできた」
あんこ餅も寝不足の頭に糖分を送ってくれる
「甘くて美味いな」
「あんこの甘さもちょうどいいですね!」
「2人はあんこ好きだもんね」
お雑煮もあんこ餅も堪能した。食べ終わった後、ダリアは自室に戻ってお昼寝。マリ達もベッドに横になって本を読んだりダラダラ過ごしていた。
「これぞ寝正月だよねー」
「本を読みながら寝られるって最高だな」
「幸せですね~」
完全に堕落している。まぁこれも正月だからできることだ。3人共いつの間にか眠りに落ちていた。起きたら昼をすぎておやつの時間になっていた。ダリアはまだ寝ているようだ。実を言うとダリアは早起きが大の苦手なのだ。マリはおやつにレアチーズケーキを作った。ダリアが起きたらみんなで食べよう。
「今日も雪が降ってなくていいね」
「外も比較的暖かいな」
今日の気温は5℃。これでも暖かい方なのだ。するとダリアが寝癖をつけて起きてきた。
「おはようございます、すみません長く寝てしまって…」
「育ち盛りだからいっぱい寝た方が良いんだよ」
マリがダリアの髪を梳かしてあげる。ダリアの耳がピコピコ動いて面白い。尻尾も緩やかに動いている。さて、ダリアの髪がサラサラになったらおやつタイムだ
「いただきます」
「ん!チーズの風味がしっかり効いていて美味い」
「とっても滑らかですね!」
「ザクザクのクッキーが美味しいです」
「レモン果汁もほのかに効いてるね」
レアチーズケーキは皆の大好物だ。たまにしか作らないから美味しい。お正月は何を食べても許される。その分、太るかもしれないが。
…魔王のことなどすっかり忘れていた。
「…おいマリよ、浮かれすぎて俺を忘れるな…寂しいだろうが…」
魔王はマリの事を遠隔で見ていた。意外と寂しがり屋なのかもしれない魔王なのであった。




