第5話 営まない夜
真紀と士郎はイチャイチャはしていないが、日を追うごとに確実に親密さは増していた。
少なくとも真紀はそう思っていた。
新居選びも忙しい中、何件も内見に付き合ってくれたし、ちゃんと自分の意見だって言ってくれたわ。
結婚式の段取りも一緒になって考えてくれたし、引き出物だって楽しそうに一緒に選んでくれていた。
どれもこれもちゃんと真紀の意見も尊重してくれるし、蔑ろにされたり丸投げされたなんて感じることすらなかった。
式当日も真紀を見つめる目はとても喜びに満ちていて、士郎との初めてのキスが誓いのキスだった真紀は興奮のあまりに士郎におでこをぶつけちゃったんだけど、すごく優しく心配してくれておでこを擦ってくれたのよ。
参列者には生温かい目で見られまくりだったことは言わずもがなよね。
なのに、初夜にも抱いてくれない。
三日、一週間、一ヵ月。
何日経とうが士郎が真紀のカラダを求めてくることはなかったわ。
別にエッチするのが夫婦の全てじゃないことは判ってるけど、全くしないってのはどうなのよ。
真紀だって待ってるだけじゃなくて、自分から誘ってもみたのよ。何度も。
最初の内は遠回しなこともあったけど、じれったくなって途中からはド直球で攻め続けたわよ。
士郎がお風呂に入ってるところに一緒に入りに行ったり、士郎のベッドに裸で潜り込んで無理やりにでも悲願を達成しようとしたり、ね。
なのに。なのに何で貫いてくれないのよ。
立派なモノは持っているのに使わないなんて宝の持ち腐れよ。
伝家の宝刀を抜いて、真紀の鞘に奥の奥までずっぽり収めなさいよ。
真紀のナイスバディのどこに不満があるって言うのよ。
そりゃ未使用のカラダではあるけど、美紀と違うところなんてほとんどないはずよ。
おっぱいだって巨乳ではないけどCカップは十分あるし、ウエストもちゃんとくびれてて、むっちりお尻だってグラビアアイドルにだって負けてなんていないはずよ。
さすがに女子高生みたいな清楚さはないけど、逆にエロさはある、はず、多分。
もしかして、士郎ってロリコンなのかしら。
頭ポンポンとかよしよしヾ(・ω・`)はしてくれるもの。
幼女にしか興奮しないとかだと、いつか警察沙汰になりそうなんだけど。
でも真紀のカラダに無反応ってわけでもないのよね。
ちゃんとムクムクするときもあるし、ギンギンにだってなることは一度ならずあるのよ。
でも、そういう時に限って真紀はいつの間にか寝ちゃってて気が付いたら自分のベッドで目が覚めるのよ。
それで、除膜式は済んだのか確かめてみたりもするけど、そんな形跡は一切ないからあまりの快感に失神してっていうのでもなさそうなのよね。
ひどい話だと思わない?
そのうち人妻が悶々としてうちの病院の若い医者とか誘うようになったらどうしてくれんのよ。
それだと不貞をしたのは真紀になっちゃうから離婚されちゃうじゃないのよ。
別に真紀は士郎と離婚したいわけじゃないの。
夜の営みがないだけで、それ以外は相変わらず優しいし、家では料理も作ってくれるもの。
自分のことより真紀のことを優先してくれるし、お金遣いが荒いとかギャンブルにはまってるなんてこともない。
暴力を振るわれたことなんて一度もないし、そもそも喧嘩になったことさえない。夜の事以外では。
でも、とうとう尻尾をつかんだわ。つかんでしまったわ。




