第18話 現状整理
なんか判らないことだらけね。
とりあえず、難しく考えるのはやめましょ。
考えたって判んないもんは判んないし、元気になったら直接聞けばいいのよ。
そうだ、士郎なら真紀のカラダの状況って知ってるんじゃないかしらね。
「真紀は…どうなのかしら。意識はあるのかしら。」
「真紀は危機的状況から回復しつつあります。昏睡状態ではありませんが、軽度の意識障害があるので、今は会話できるような状態ではないですね。」
ほっ。それならまだ良かったわね。
真紀のカラダにいるのは多分美紀でしょうからお互い生きててなによりだわ。
まさか、赤の他人が真紀のカラダに入ってるなんてないわよね。
特戦隊の隊長が、戦闘民族の強い人と入れ替わろうとして失敗してカエルになっちゃったみたいなことになってたら大変どころの騒ぎじゃないわ。
真紀の中の人がクラゲとかヒトデなんて考えるだけで嫌すぎるんだけど。
なんてことを割りと真剣に考えてたら士郎が真紀を見ていることに気がついたわ。
なんか言いたそうにしてるように見えなくもないけど、話しかけてはこないみたい。
あ、もしかしなくても美紀らしくないって思われちゃってるのかしら。
マズいわね。
ここで、美紀の中にいるのが真紀だなんてバレたらいろいろと面倒なことになるわよね。
真紀としては、士郎に洗いざらい話して元に戻る方法とか協力してもらうという選択肢がないわけでもないけど、今はまだ踏ん切りがつかない感じなのよね。
ほら、何そんなバカみたいなこと言ってるんだって信じてもらえないかもしれないじゃない。
その程度で済めばまだいいけど、錯乱したと思われて行動の自由を奪われちゃったりしたら、この先がもっと見通しが立たなくなっちゃうもの。
とりあえず、疲れたから少し寝るってことにして士郎と話さないで済むようにしたわ。
士郎は真紀がベッドに横になった後も少しの間部屋の中にいたようだけど、そのうちに出て行ったわね。
それから改めて現状を整理してみたわ。
真紀は美紀の中にいて、脳挫傷かそんな感じで開頭手術をした結果、ちょっとだけ運動機能に障害があったけど、リハビリの甲斐もあってそれなりに動けるようになってきている。
美紀が言っていたすい臓がんについては本当のところは判らないけど、治療が必要な状況にはないってことだけははっきりしている。
なので、美紀のカラダとしては後は元気になるだけ。
真紀のカラダは腎臓が二つともダメになったけど、母がひとつ譲ってくれたおかげでとりあえず危機的状況は乗り越えたらしい。
他にも肉体的な損傷はあるかもしれないけれど、それはなんとかなっているってことみたい。
そう言えば、軽度の意識障害があるって言ってたから真紀同様に頭の手術もしたのかもしれないわね。
で、真紀のカラダには美紀の意識というか人格があるってことでいいのよね。
早く回復できるといいわね。
母は真紀のカラダに腎臓を移植する時に脳血栓が起きてしまって、開頭手術で対応したけどちょっと後遺症が残っている、と。
見た感じだとそれ以上に母らしさが損なわれていたみたいだから、かなり心配ではあるのよね。
でも脳関係は士郎の専門分野だし、その力を存分に発揮してくれるはずだから、母もすぐに元気になってくれると信じているわ。
そんなことを考えているうちに疲れていたのは本当なので、いつの間にか眠りに落ちていたわ。




