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第14話 聖女の力

「鎮守神、あっ…すいません。由紀さまが特別室の方に入られています。」


なんてことかしら。

真紀(ワタシ)と美紀のことでストレス与えすぎちゃったことが原因かしら。

大事がないといいけれど。

お母さんの状態を聞き出そうとしたけど須藤さんも詳しくは知らないらしい。


「由紀さまのことについては箝口令が敷かれたみたいです。」


それほど危険な状態にあるってことかしら。

でも箝口令が敷かれたとか言いつつ、真紀(ワタシ)に話しちゃってるのはいいのかしら。


「美紀さんにとってはお母様ですので、それぐらいを知る権利はあると思います。」


そうね、ありがとう。助かったわ。

ついでに真紀(ワタシ)のカラダのことも聞いてみる。


「真紀さんは一時かなり危ぶまれましたが、今はなんとか持ち堪えていらっしゃるようです。相変わらず集中治療室ですけどね。」


須藤さんは真紀(ワタシ)のカラダの状態についても詳しくは知らなかった。

でも一命は取り留めているようで少しだけ安心することができて良かった。

お母さんも美紀もどうか無事でいてね。

自由に歩くこともできないこの身では、二人の病室に行くこともままならないので歯痒い思いでいっぱいだ。

車椅子で様子を見に行きたいとお願いしてみるけど須藤さんの一存では決められないようで、しかるべき手順を踏んではくれることにはなった。

つまり、美紀の方はどうであれ、箝口令を敷いたのは病院長である祖父なので、その祖父に打診してくれるということだ。

祖父は真紀(ワタシ)の結婚を機に病院長の座を父に譲って勇退する準備を始めていたが、その矢先に父が他界してしまったことでそのまま病院長を続けている。

うっ、うちの親子っておじいちゃんに悲しくつらい思いばかりさせているわね。とてもごめんなさいだわ。

なんとしても三人揃って元気になっておじいちゃん孝行しないとね。

そのためにも、まずはこのカラダがすい臓がんの治療に耐えられるように体力をつけないとね。


と気合を入れたにもかかわらず、それは無駄に終わることになる。


「他に特に異常は認められませんね。ということでリハビリ頑張ってください!」


へ?

それなりに動けるようになったことで改めて経過観察のためにCTやMRIとかも撮ったんだけど特に何の異常もなかったみたいなの。

どういうことかしら。

美紀のカラダはすい臓がんのステージⅢだったはずだ。診断書も確認したのだ。

真紀(ワタシ)の想いが通じてすい臓がんもなくなった、なんてことがあるわけない。

真紀(ワタシ)と美紀が入れ替わったんだから、すい臓がんがなくなるくらいのことがあったって…って、やっぱりそれはあり得ないわよね。

だとすると真実はひとつ。あの診断書は偽物ってことよね。

美紀が騙されたのか、美紀が真紀(ワタシ)を騙すために偽造したのか。

多分、後者ね。

なんでって?

そりゃ処女の…じゃなくて聖女の勘ってやつよ。

男は30歳まで童貞だと魔法使いになるっていうじゃない。

女の方にだって似たような力があって然るべきよ。

30歳まで処女なら魔法少女か聖女、妖精のどれかを選択できたらいいわね。

あと数年だからどうせなら頑張ってみようかしら。

って、今のカラダは美紀のモノだったわね。

この場合はどうなるのかしら。

真紀(ワタシ)のカラダから真紀(ワタシ)が離れている間の時間もちゃんと通算されるのかしらね。

それ以前に美紀が真紀(ワタシ)のカラダでしちゃったらやっぱりそこでお終いってことになるのかしら。

って、そんなことはどうでもよくないけど今はそれよりも優先すべきことがあるわ。


なぜ美紀は偽の診断書を用意したのか。

真紀(ワタシ)の気を引くためってことなら判らなくはないけど、それだけのために偽の診断書まで作ったりするかしら。

それに美紀のあの言葉。


「私の最期を看取ってほしいの。」


美紀が最後の願いだと言っていた。

その真意に真紀(ワタシ)は辿りつけるのかしら。


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