第13話 虫垂炎
さらに次の日、ベッドの上で起きていられるようになった。
それで自分の目でお腹も見られるようになってこのカラダが美紀のモノであることを確信した。
急性虫垂炎、いわゆる盲腸の手術跡があったからだ。
真紀はまだなっていないが、美紀は小学校に入ったばかりの頃に切っている。
あー、そういえば美紀の真紀に対するちょっかいが強くなったのは美紀が退院してからだったかもしれない。
虫垂炎って古くから知られているけど、その原因ってあんまり判っていないし、診断もそんな簡単じゃないみたいなのよね。
原因はストレスや、ウィルスとか細菌感染、疲労などいろいろ言われてるけど、これといった決め手がないみたい。
昔は盲腸だと思って手術してみようと開いてみたけど、違うところが炎症を起こしていたなんてこともあったりしたみたいで、痛みのある部位とかだけでは判らないし、他にも風邪に似ただるさとか吐き気っていった症状もあって一様じゃないんだって。
美紀は痛いのを結構我慢してたみたいで、軽度を通り越してたから抗生物質の投与で炎症を抑えることができないだろうって手術することになったってお母さんが言ってたわ。
えー、それで美紀だけ痛い思いして、手術することになって、入院したから真紀に対するちょっかいが強くなったんだとしたら真紀に落ち度はない気がするんですけどー。
ん-、それでも強いて挙げるなら美紀が痛いのを我慢してるのを気付いてあげられなかったとか?お母さんが気付いてなかったのに小学校に上がったばかりの真紀には無理ゲーなんじゃない!?
あっ、こっちの方が可能性はあるかも?
入院してる美紀の病室に真紀がお見舞いに行かなかったのよね。
そのことを恨みがましく、もしくはお母さんの言葉に従うなら真紀のことで拗らせるようになったのかもね。
だって一日か二日だけってお母さんから聞いたし、ほら、子供の時って病院とか普通に嫌いじゃない。
血を見るのが嫌いだったのもあるし、美紀がお腹を切ったなんて聞かされれば、ねぇ。
結局、一日半ぐらいで家に帰ってきてた気がするわ。
そうそう。真紀を見つけるとダッシュで向かって来て、体当たりされたわね。
もしかして、今になって思い返したら、あれは真紀に抱き着いてきてたのかしら?
当時の真紀としては、間違いなくノーマルタイプのこうげきわざとして認識することしかできなかったけどね。
さらにお母さんに無理して退院してきたのに走っちゃダメでしょなんて怒られて抱きかかえられて行っちゃったから、子供心に親愛の抱擁だったなんて記憶は一切残ってるわけないわ。
お腹の小さな傷跡を確認できたことで、このカラダが美紀のモノであることが確認できた。
さて、すい臓がんのことはどうしよう。
治療するつもりなのはそのつもりなのだけど、どうやって周りに説明しようかしら。
その前に、ワタシが真紀であることを話した方がいいのか、美紀のフリをした方がいいのか方針は決めておいた方が良くないかしら。
馬鹿正直に「ワタシは真紀よー」なんて言い出したら頭大丈夫かしらってなるのは必至な気がするし、かと言って真紀に美紀のフリがうまくできるとも思えない。
どうしたものかしら。
早く真紀のカラダのことも確認したいし、やらなきゃいけないことが盛りだくさんね。
そうすると先ずは士郎と話すのがいいのかしら。もしくはお母さんね。
でも士郎は須藤さんを連れてきた後はこの病室に来ていないし、お母さんもあの夜が現実だったかどうかは判らないけど真紀の意識がはっきりしてから昼に病室に来たことはないのよね。
次の日、須藤さんから衝撃的なことを聞かされた。
お母さんも入院したと。




