表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異形  作者: り(PN)
5/16

41-50

41.暗い路地の奥(夜)


 不気味な音楽に被り、閃光があり、先のカップルが通常ではありえない形(五角形の頂点に顔が配置されたような形)に変形され、しかも組み合わされて息絶えている(顔ははっきりと見えるが、血は流れていない)。 


42.都内の喫茶店


 車道の向こうに喫茶店が見える。

 三井眞奈美が喫茶店に入ると、すでに鳩谷が席に着いている。

 鳩谷「(手を振りながら)おーい、こっち、こっち」

 それを見つけ、席に腰掛ける真奈美。

 鳩谷「いやぁ、悪かったね、わざわざ……」

 眞奈美「(服の皺を直しながら)それはいいけど、今度の企みは何なの?」

 鳩谷が諦めたように、しぶしぶと背広の内ポケットから鹿浜信二の写真を取り出す。眞奈美がそれを引っ手繰り、

 眞奈美「あんまり、いい印象が湧かない顔ね」

 鳩谷が写真を取り返す。

 眞奈美「で、その人をどうしろと?」

 鳩谷「捜索願を出して欲しいんだ」

 眞奈美「(え、)だって、知らない人だよ!」

 鳩谷「そんなことはわかっているが、幸いなことに、この男のアパートも、お前の家も、ウチの所轄内にあるんだよなぁ……」

 眞奈美「何が、『幸いなことに』なのよ? 理由にならないジャン」

 すると、鳩谷は眞奈美の方に顔を近づけ、

 鳩谷「(ひっそりと)実は偶然、幼い女の子に頼まれたんだよ。この人を探してくれって……」

 眞奈美、理由がわからず、目を白黒させる。

 鳩谷「で、その子もいなくなってしまった」

 眞奈美「(呆れたように)お父さん、それって本当は幼い女の子じゃなくって、成人以上のお嬢さんか、娘さんか、奥さんか、ってことじゃないんでしょうね?(最後の「ね!」は決めつけるように)年甲斐もなく……」

 鳩谷「(手を振って、必死に否定しながら)ナイナイ、それはナイ!」

 眞奈美「(真面目に)まあ、お父さんのことだから心配はしていないんだけどサ。……でも実際問題、届け出る理由がないわよ。協力はしてあげたいんだけど」

 すると――

 鳩谷「財布を拾ってもらって、礼をいいたんだが、アパートに行ったら、いなくなっていて、気になるので捜して欲しい……なんてのはどうかな?」

 眞奈美「何それ?」

 鳩谷「昨日から考えてんだが、いいアイデアが出なくてね」

 眞奈美「そんなんでいいの?」

 鳩谷「わからないが、何とかする」

 眞奈美「(考えながら)うーん、いまの話じゃ、やっぱ、ワケアリってこと?」

 鳩谷「詳しくはいえんが、ま、そんなところだ」

 眞奈美「(うーん、)わかったわ。……じゃ、とりあえず旦那(三井)には黙っとくけど、バレたときには、お父さんがちゃんと説明してよ」

 鳩谷「(ああ、)もちろんだ!」

 眞奈美「(表情を変え)で、具体的に、どう手続きすればいいわけ……」

 鳩谷が眞奈美に詳細な説明をはじめる。


43.広島の郊外(夜)


 薄暗い路地を、男が酔ってフラフラと歩いている。と、そこに腕が伸び、何者かに藪の奥に引き摺り込まれる。


44.暗い藪の奥(夜)


 不気味な音楽に被り、閃光!

 先の男が五角形に形成されつつあるとき、別の男女がその場を通りかかる。恐怖の表情を浮かべる男女。が、あっという間に二人に手が伸び、あっさりと捕まってしまう。

 暗転後、閃光!

 歪に組合された計三つの五角形が路地に残される(顔ははっきりと見えるが、血は流れていない)。 


45.北堀署(朝)


 警察学校(中野分校)での三ヶ月の新人研修を終え、戸田が鳩谷と同じ刑事二課に配属される。刑事二課には、課長を含め、九人の人間がいる。

 朝礼の最中。

 課長「今回、わが課に配属された戸田純夫くんだ。えー、学業成績は優秀。スポーツ万能。おまけに顔まで良いときています。(間)みなさん、これからよろしく指導をお願いしますよ。(戸田を見て)では、自己紹介してください」

 戸田「えー、ただいまご紹介にあずかりました戸田純夫です。戸田の戸は開け閉めする戸の戸で、田は田圃の田、ごく普通の名字です。で、名前の方は……(以下、ツヅク)」

 鳩谷のN「そして七月になって、戸田が刑事二課に配属されてきた」

 戸田の自己紹介が終わり、ついで課員(捜査員)たちの自己紹介がはじまる。

 鳩谷のN「(だが、)そのとき事件は、すでに思わぬ展開を見せはじめていた」

 課員たちの自己紹介が終わり、ついで刑事Aが連絡事項を読み上げる。

 刑事A「(メモを見ながら)(えー、)本庁から連絡が入っています。(課員を見て)例のマスコミ・オフレコの猟奇殺人事件についてですが、同一犯の犯行と思われる事件が、昨晩大阪の繁華街で発生したということです。犯行現場の移動、と言いますか、距離の移動が速いので、関東近辺でも厳重な警戒をお願いしたいとのことです」

 課長「わかりました。皆さん、気にかけておいてください。(しばしの間、そして課員を見まわし)他にはありませんか? ……では、散会します」

 一同、バラバラと席に戻ったり、部屋から出ていったりする。

 課長が戸田を鳩谷の席に連れてくる。

 課長「(戸田に)鳩谷さんは今年八月末に定年退職される予定ではありますが、それまで戸田さんのご指導をお願いしようと思っています。(鳩谷を見て)よろしいですね!」

 鳩谷、事前に話を聞いていないので、些か吃驚。

 戸田「(頭を下げながら)鳩谷さん、新参者ですが、これからよろしくお願いいたします」

 課長「(鳩谷に)上手く時間を遣り繰りして、頑張って調べてみてください。たぶんひとりでは、もう時間が足らないでしょうから」

 主に感謝の気持ちから当惑する鳩谷が課長を見ると、課長が「いいんですよ」という表情を浮かべつつ、

 課長「きっと、戸田さんも学ぶところ大だと思いますよ」と鳩谷に告げる。


46.パソコンの画面


 に、パラメトリックス教団のホームページが表示されている。

 教壇の象徴らしい複雑に絡み合った五角形の図が見える。

 マウスのカーソルが移動し……


47.野太い指


 が教義のページをクリックする。


48.北堀署刑事二課(夜)


 でひとり、鳩谷がパソコンを操作している。


49.パソコンの画面


 に、教義(説明)のページが映し出されている。

 教義の文字「わたしたちの教団は、いわゆる神と呼ばれる存在を信仰しているのではありません。私たちの住むこの宇宙、そこに隠された神秘、すなわち真の宇宙の姿をこそを信奉しているのです」


50.怪訝な表情の鳩谷


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ