①自民党は利益者集団のために働く
※筆者個人の経験を元に書いてあるところもあり、地域によっては異なる可能性があります ※2022年4月5日現在の情報です。それ以降のことは最新の情報をご覧ください
質問者:今回は『政治家がどうして働かないのか』という内容のようですね? 前回の『現役世代に投資しない国、日本』https://ncode.syosetu.com/n8784hn/
でもおっしゃっていましたが、私としましては日本の政治家が日本のために働かないというのはちょっと考えにくいのですが。
筆者:もちろん国を想って働いてくれている政治家さんもいます。しかし、大多数においては“日本のために働いていない”ように思えます。
今のK田政権においてでも、減税をせず謎のバラマキ(外国人留学生に対しても含む)、金融所得課税の見直しによる国民困窮政策などがあります。少し遡れば郵政事業などの国有産業の規制緩和によるサービスの低下や地方事業の縮小廃止。また、派遣社員の規制緩和による国民の平均賃金の低下。プライマリーバランスによる緊縮財政など悪しき政策はこれまで枚挙にいとまがないほどです。
質問者:確かにそうかもしれません……
筆者:これは一体どういうことなのか? いつも通り構造上の問題について見ていこうと思います。最後には毎度のようにちょっとした国民にできることも紹介していきます。一人一人の力は小さいですが皆で力を合わせることによって巨石も動かせると僕は思っています。ということで解説を始めていきます。
質問者:はい、お願いします。
1、政治家は国民のためでは無く“利益者集団”のために働く
筆者:まず最初に、皆さん勘違いしているんです。一般的に国民が投票をするから「国民のために働かないのはおかしい!」という発想になります。
質問者:えっ……そうではないのですか? だって、18歳以上の日本国民以外は投票権を持っていないんですよ?
筆者:それについては疑いの無い事実です。しかし、実際には違うと僕は思っています。ここでは彼らを“実際に支援してくれる人”に焦点を当ててみましょう。質問者さんは支援者というとどういう人を思い浮かべますか?
質問者:うーん、お金を寄付してくれる人や選挙に協力してくれた人でしょうか?
筆者:そうですね。では、質問者さんは不特定多数の投票してくれた人と選挙に協力してくれた支援者どちらの意見を聞きますか?
質問者:……確かに支援者の言うことを聞くでしょうね。
筆者:それが政党全体。そして国家政策にも反映されていくのです。
今回は特に自由民主党、いわゆる自民党について焦点を絞って話していきます。
僕の家族が自民党員で長年活動(だが、自民党の最近の政策には飽き飽きしている)しています。僕は自民党員ではありませんが家族の付き合いで自民党の会合に出席したことも度々あります。そう言ったことから色々と情報が入ってくるんです。
見聞きしている感じだと意外と国会議員と言えど当選のために動いてくれる人数というのはそう多くありません。選挙ポスターを公示日に張ったりはがしたりする実働部隊というのが一時的にはいますけど、実際に動いているのは地元議員を合わせて100人ぐらいでしょう。
市議会議員ぐらいだとそれぞれの地盤や地域の人口の影響もありますが、身内を合わせて最低5人~10人ぐらい本気で動いてくれる人がいれば当選している印象です。
まぁ、公職選挙法で選挙支援の労働に対するお金を出すことが出来ませんからほとんど手弁当で動いてくれる人数をそれだけ動かすのも大変ですけどね。
質問者:そ、そんなに動いている人は少ないんですか!?
筆者:自民党総裁選2021で党員票として投票可能な人数が110万人だったそうです。ちなみに、18歳以上の日本国民で自民党の年会費4000円を2年間納めた人が党員資格を得て総裁選投票権を持ちます。
更にこの中からでも“お金を払っても良い熱烈な支持者“というのはもっと少ないです。
結構“付き合い“で党員になったり、”議員が年会費を負担するからなって欲しい”とか言うのもありますからね。
これを全国規模で見ていくと、それぐらいの直接的な支援者で意外と十分なんです。
質問者:へぇ~、そこまでして党員を増やしているんですね。
筆者:自民党では党員数を増やした人が選挙区を割り当てて貰ったり比例区で順位が上がったりすることがあります。市議会議員での自民党公認を得るためには一定期間内で〇〇人党員を増やすこととかそういう規則もあるみたいですね。だから、自民党公認のために自腹を切ってでも党員を増やそうと努力をしているんです。
質問者:なるほど、公認のためのシビアな競争社会なんですね……。
2、自由民主党への寄付を行っている団体
筆者:さて、ここで自民党へ寄付をしている団体を見ていこうと思います。
2021年度の寄付団体のランキングベスト5です。
1 位 一般社団法人日本自動車工業会 6030 万円
2 位 トヨタ自動車 5140 万円
3 位 石油連盟 5000 万円
3 位 一般社団法人日本電機工業会 5000 万円
3 位 日本医師連盟 5000 万円
質問者:あれ? 意外と金額が少ないんですね。
筆者:これはですね1社が年間に寄付できる総額を資本金などに応じ、750万円~1億円に制限しているためですね。多分上位の組織はほとんど上限額寄付をしていると思いますね。
一見すると金額は小さいから影響力は小さいと思えるかもしれません。
しかし、この順位と金額は軽視するべきものでは無いのです。実を言うとこれは“自民党本部に対する寄付”なんですね。
これらは全国組織、超巨大企業ですから、各自治体にいる国会議員、県議会議員、市議会議員などの地方議員1人1人に対しても寄付をしています。組織によっては社員の中から選挙運動員を貸しているところもあります。
さて、先ほどの話の話を思い出してください。これらの組織がこんなにも協力してくれていますあなたは誰の意見を聞きますか?
質問者:寄付をしてくれて、動員に協力してくれた人や組織の意向を聞きます。少なくとも無視はできませんね……。
筆者:そう言うことなんですね。こうして既得権益者がよりその権益を強めていく――これが自民党政治の構造です。
質問者:な、なるほど……。