今の俺には丁度いい
「うるさいっ!うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいっ!!!!頭の中までいちいち指摘して来るんじゃねぇっ!!…………畜生」
もうどうにかなってしまいそうだ。
頭の中のシャーリーが黙ってくれない。
『そんな寂しい事は言わないで下さいまし。親が決めた事とはいえ婚約者同士ではないですか』
「うるさい」
『立派な国王たるには学問や帝王学なども必要な知識ですわよ。サボったらサボった分後々苦労致しますわよ』
「今してる」
『また国王様に怒られたのですの?わたくしも一緒に謝ってあげますから、え?謝りたくない?そんな事では将来国王は務まりませんわよっ!』
「もう謝っても済む問題じゃない」
それに、俺の心はおそらく賊にすら相手にされなかったあの時に『ぐしゃり』と折れた。
『ポキ』などと言う小枝が折れた様なそんな小気味良い音などでは無い。
そんな細い小枝の様なプライドなど折れた所で一日寝れば忘れる程度のプライドであろう。
「おい何ボサっと歩いてんだよっ!邪魔だ退けっ!!」
「ぐ、あ?おわっ!?助け───」
そして俺はふらふらと道の上を歩いている事を平民の冒険者であろう若い青年が率いるパーティー、そのパーティーの青年に邪魔だと突き飛ばされ、そのまま川に落とされる。
「うるせーな。そのまま流されれば誰の邪魔にならずに移動出来るじゃーか」
そっか。
シャーリーは次期国王である俺ではなく、シュバルツという人間を見てくれていたんだと、今になって思う。
そう思えばアイリスは俺の次期国王という権力を使い好き勝手していたという事が今になって見えて来る。
あの青年や賊、そして俺に王位継承も王族の血も無くなった瞬間掌を返した貴族共もとどのつまりあの頃の俺自身であったのだろう。
いつか言われた通り自分に跳ね返って来てしまったな、シャーリー。
「ごめん」
謝って済む問題でも無ければ今の俺では何もしてやれない。
そう分かっていても、誰も聞いていないとしても謝らずにはいられなかった。
この時期の川の水はこんなにも寒かったんだな………今の俺には丁度いいや。
そして俺は、意識を手放すのであった。
◆
「あ?何だあれ?は?人間?おいっ!生きてるかっ!?おいっ!!クッソ、今は四ノ宮家は庭師である俺以外日本へ一週間もの間旅行中だと言うのにっ!帰ってくるのが明日だというのがタイミング良いのか悪いのかわからねぇなぁっおいっ!仕事増やしやがって、生きてんなら起きろっ!」
「ゴフッ、うえっ、ご、ごごは?」
「あ?タリム領を流れるリムコン川だ。とりあえず背負って屋敷、は無理だから俺の住んでいる寮まで行くからな」
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