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食欲が失せるだけでは済むはずが無い

「………ええ、奥方様。こちらこそ宜しくお願い致しますね」


わたくしがなんの嫌悪感も見せずに挨拶を返してきた事に少し驚いたのか一瞬だけ返事が遅れたのだが、わたくしが受け入れた事を理解したミヤーコは満面の笑みで返事をする。


以前の、シュバルツ殿下とまだ婚約していた時のわたくしではこの方の笑顔は見れなかったかもしれませんわね。


そう自虐的な思考をしながら全ての野菜を洗い終えると(と言っても二人分しか無いのでさほど量がある訳でも無いのだが)その野菜をミヤーコがなれた手付きで一口サイズに切っていくと、鍋へと入れて炒めて行く。


まずタマネギと言っていた野菜を炒め始め、赤い根菜、芋に街で購入していた肉といった順番で炒めて行くと水を入れて灰汁を(ミヤーコに聞くと不味いモノらしい)取りながら煮て行く。


そうこうして行くと良い匂いが漂い始め、もう直ぐで料理が出来る事を告げてくれると同時に、鍋の横で一緒に火にかけていた黒い魔鉱石を加工して作られたであろうで出来た箱からぷくぷくと泡が立ち始めるではないか。


「ミヤーコさん、あれ、大丈夫なんですの?」

「あぁ、ありがとうございます奥方様。でも大丈夫ですよ」


しかしミヤーコは慌てる事も無く少して火から遠ざけると蒸らし始める。


十分から二十分蒸らせば箱の中の料理は完成らしい。


どんな料理が出来るか楽しみである。


スープは少しばかり薄い気がするのだけれども、塩で調整するでしょうし道中の食事にしては豪華すぎる内容である。


「では仕上げに旦那様から頂いたルーを溶かして完成です。食器を用意して来ますね」

「…………へ?」


しかしミヤーコは事もあろうに謎の固形物を入れるとスープの見た目は茶色く、そしてドロドロになっていくではないか。


その見た目を例えるのならば………いや、例えるのは止そう。


食欲が失せるだけでは済むはずが無い。


食べれなくなりそうだ。


そしてミヤーコは黒い箱を開けると、その中身をお皿によそうとお鍋の中の茶色いドロドロの液体をかけ始めるではないか。


「んー、この匂い。食べれば食べる程病み付きになってしまうますぅー………っとと。私はラッキョウ派なのですけど慣れない内は福神漬けの方が良いでしょう」

「あ、ありがとうございますわ」


そしてミヤーコは自分のお皿には白く小さな粒状の物を、わたくしのお皿には赤い何かを横に添えてどうやらお昼ご飯の完成の様である。


確かに、見た目はあれだがミヤーコの言う通りいい匂いがわたくしの食欲を刺激してくる。

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